国際結婚には、先回ご紹介した言葉の壁や文化の違いなどの他に、向き合わなくてはいけない行政的な手続きや問題が、実はたくさんあるのです。
今回は筆者の住んでいるカナダ(オンタリオ州)の結婚後のビザ、DV被害、離婚、その後の親権問題等、結婚のその先にある問題に焦点を当ててお話しします。
※カナダでは、特別な資格を持っている人以外はビザに関するアドバイス等をすることは法律で禁止されていますので、こちらではあくまで私の経験が元になった情報になります。
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◾︎カナダの結婚事情
実はカナダには3種類の結婚の形が存在します。
1:結婚ビザ(Spouse Visa)
日本同様正式に法律に基づいて結婚した場合のビザ。結婚した事実を証明するマリッジサーティフィケートを取得し、苗字変更等の手続きをして結婚をしたという事実の元ビザを申請する手段。
2:事実婚ビザ(Common-law)
カナダにおいては結婚と同じ権利や保障が認められており、申請には最低条件は、内縁の関係にあるとして1年以上同居している、かつ今後結婚する予定があるという証明をしてビザを申請する手段。
3:遠距離婚ビザ(Conjugal Visa)
上記のどちらにも属さない事情、例えば1年以上の付き合いがあり、ビザの関係などで一緒に暮らせない場合などにより、二人の関係を証明できるものと今後結婚する予定があるという証明をしてビザを申請する手段。1番申請が難しいと言われています。
このビザを取得するためにコンサルタントや弁護士への相談、書類の取得や作成、健康診断、移民局とのやりとり等、かなりの時間、料金、労力を注ぎ込むことになります。
パートナーの協力が必ず必要となりますので、力を合わせてビザ取得までの長い道のりを進んでいきましょう。
筆者の場合、1年以上住んだニュージーランドから警察証明を取り寄せる必要があったこと、日本の東京と韓国のソウルオフィスがクローズし、全てフォリピンのマニラオフィスに統括になったこと、そのマニラが洪水被害で手続きが一時的に停止、カナダの移民局の3か月に及ぶストライキ決行、送った書類の一部を紛失され再度取得して送らねばならなかったことが全て重なり、当初7か月で取得可能だったものが、14か月かかったという波乱万丈な道のりでした。
こんなことなら移民なんて・・・とやけになりそうなところを主人に励まされ、持ち直しての繰り返しでした。
その方の置かれている状況やビザの種類等で提出書類が異なります。さらにはルールの変更などで3か月に1回は吐いた書類の要請など色々な変更があったりします。こまめに移民局のウェブサイトを確認するようにしてくださいね!
◾︎結婚前に離婚の話!? ”Prenuptial Agreement(夫婦財産契約)”とは?
結婚前に夫婦生活に関する事柄(家事の分担,資産の取り扱い,離婚の条件など)について 取り決めを行うものです。万が一の時に揉めないように、法的効力を持たせるため弁護士等を通じて公的文書を発行するカップルが多いです。
友人(日本人)がインド系カナダ人の彼と結婚が決まり彼のご両親に挨拶に行ったとき、この話を持ち出され、まだ知識のなかった彼女は大変困惑し、帰宅後に彼と険悪なムードになってしまったらしいです。Prenuptial Agreement(夫婦財産契約)に馴染みのない立場の人からしたら、確かにちょっと引いてしまうかもしれませんね。
◾︎夫婦別姓?子供の姓はどうなる?
我が家の場合ですが、現在は別姓です。理由はただ単にパスポート、免許証、銀行など公的機関の証明書などの変更が面倒だったからです。
カナダで生まれた息子は、戸籍上カナダでは父親である主人の姓、日本では私の姓です。
主人不在で国外に出る場合、カナダ政府が発行した「私たちが親子である証明の特別な出生届と主人のサイン入りのレター」を持参しなければなりません。
また国内での手続きにも親子を証明しなければならない場面が何度かあり、子供が生まれた今、少しずつ不便を感じるようになっていて、変更するか悩んでおります。
こんなことも後々起こることを頭に入れておいてくださいね!
◾︎近年増加しているDV被害
ジャムズネットカナダが行ったアメリカとカナダに住む日本人の国際結婚の実態調査の結果によると、国際結婚間におけるDV(家庭内暴力)は、調査対象者全体の21%の割合で発生しており、
DV専門団体、弁護士、警察への相談は各それぞれ10%、日本大使館や総領事館への相談は4%と非常に低いことも判明したそうです。
海外で頼る家族や友人もいなく、どこに相談して良いかもわからない、そんな不安と戦っている人がこんなにもいるのです。筆者の周りにもシェルターや教会に逃げ込んだ人が数名おります。また数年前に友人に誘われて参加したセミナーの一部でも、DV被害による国際離婚が取り上げられていました。被害者の実体験なども聞かせていただき、DV被害の実態をより身近に感じ恐怖とも言える感覚を覚えました。
◾︎国際結婚の離婚
実は国際結婚の離婚率って非常に高く、全体の7割に上ると言われています。
カナダは離婚の際の規定が州によって様々ですが、いずれも裁判所の介入が必要になります。
そしてDVなどの特別な場合を除き、1年以上の別居が大前提です。筆者の住むオンタリオ州では2011年から訴訟を起こす前にMediation Session(調停員が2人の間に入り話し合う場を設けること)が義務付けられ、これをしないと次の段階に進めないことになりました。
そして夫婦間に子供がいる場合に関係してくるのが、親権問題。
カナダには日本とは違い大きく分けて3種類の親権があります。
1:単独親権(Sole Custody)
どちらか一方の親が子共に関する重要事項を決めることが出来るもの。
2:共有親権(Shared Custody)
どちらか一方の親に養育権と主導権を与え、子供の重要な決定事項(教育、宗教、病気に伴う手術など)に関しては双方の親介入のもと話し合って決めることが出来るもの。
3:共同親権(Joint Custody)
両親が同等の権利をもって子供の生活について意思決定できるもの。
国際離婚に際し16歳未満の子供がいる場合に、一方の親が法的な手続きを取らず、もう一方の親の了承がないまま自分の母国に連れ帰る「International Child Abduction」などの行為に及ぶ人達がおり、これに対応するために「ハーグ条約」という多国間条約が1980年に制定されました。G8の中では日本が1番最後に2014年に加入しました。
過去には日本人が何名か、国際指名手配された例もあるそうです。
同じ国民同士の結婚・離婚とは異なり、国を超えての話し合いになります。そしてそのいずれもが、いくつものステップを乗り越えての長い道のりになります。結婚は勢いやタイミングとは言いますし、そんなに先のことを考えていては前に進めないという意見もあるかもしれません。
しかしながら国際結婚の場合、結婚しただけですぐにビザは発行されませんし、その後の結婚生活でも思い描いていたこととは違う様々な壁にぶち当たるでしょう。また最悪の結果そんな生活に終止符を打つ形になっても、国間のいろいろな決まりごとがあり一筋縄ではいきません。
もし今現在悩んでいて身近に相談できる方がいない場合、詳しい情報が欲しいという方は日本語の通じる専門の相談機関もありますので、ぜひ利用してみてください。
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