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丁寧じゃない?! Pleaseを使った依頼

ほとんどの人は学校で、「丁寧に話すときは『Please』をつけましょう」と教わって来たと思います。英語圏の子どもたちは、人に何かを依頼するときは「Please」をつけなさいと教わるといいます。
Pleaseとは丁寧にいいたいときにつける単語である、と覚えて以来、あらためて意識したこともないかもしれません。
実に身近な単語ですが、適切に使うには、実はそう単純でもないPleaseの使い方を再確認してみませんか。

お願いにPlease

基本的な使い方として習ったのは、次のように何かをお願いするときにつけるpleaseでしたよね。

・Please come in.(どうぞお入りください。)
・Please open the door.(ドアを開けてください。)
・Please send us your comments.(コメントをお寄せください。)

上の例のように、pleaseが前に来る場合は不要ですが、後ろにつけるときはpleaseの手前にコンマが入るとも習いました。文の中にある場合にはいりません。あくまで最後につく場合だけです。

・Yes, please(はい、お願いします。)
・Pass me the pen, please.(ペンを取ってもらえるかな?)
・Will you please show me?(見せてもらえますか?)

本当に丁寧なのか?

丁寧にいうときはpleaseと習った割には、pleaseを単独で使うような場面がなかなか浮かんできません。Pleaseを使うとすれば、「Can you~?」「Could you~?」などと併用することが多いですね。

・Can you please come with me?
(ちょっと一緒に来てもらえますか?)
・Could you advise me anything, please?
(何かアドバイスしてもらえませんか?)

実は、Pleaseだけでの依頼は、丁寧な「依頼」というよりも「指示」というニュアンスになります。

・Please tell me what happened.
(何があったのか言ってごらんなさい。)

例えば、先生が生徒から何かを没収しようとするときもこんな感じではないでしょうか。

・Please give it to me.(ちょっとそれを渡しなさい。)
・Please come here.(ちょっと来なさい。)

口調にもよりますが、先生からこのように言われたら、ちょっと尻込みしてしまいそうです。

何かをして欲しいと頼んだのになかなか行われないとき、催促するのにも使います。
丁寧語のはずのpleaseなのに、「いい加減にそろそろやってもらえませんかね?」といったニュアンスにさえなるのです。

・Can you do that now, please?
(それをすぐやってもらえませんかね?お願いですから。)
・Please!(いい加減にしてくださいよ!)

こうした例を考えてみると「Please=丁寧」の説明は、しっくりきません。

けれども、次のような例もあります。

・Can I help your bag?(かばん持ちましょうか?)
・Please!(お願いします!)

一体どんな風に使ったらよいのか分からなくなりそうですね。
例えば、飛行機の中でフライトアテンダントに飲み物は何がよいかと聞かれたときなどに「Tea, please」と返答するにはピッタリです。
それでも、自分からお茶をリクエストするには「Please give me a cup of tea」とは、私は言わないでしょう。

・May I have a cup of tea?(お茶をいただけますか?)

丁寧な頼み方とは?

では、確実に丁寧に頼みごとをしたいときは、どのようにいったらよいでしょうか。
やはり先ほど触れた「Will you~?」「Can you~?」「Would you~?」「Could you~?」「Would you mind if~?」「I was wondering if~」などを使うことになります。

複数あるそれらは、どのように使い分けたらよいのでしょうか? 段階ごとに追ってみましょう。

「Will you~?」「Can you~?」
「ちょっと○○してもらえる?」という感じなので、家族や友人など親しい間柄であれば、これでOKです。前述のフライトアテンダントにお茶を依頼するときもこれか、次の段階の「Would you~?」「Could you~?」でよいと思います。

Will you~?だと、Can you ~?に比べてお願いの度合い強く、お断りするにはそれなりの理由が必要そうです。

・Will you go to buy some eggs?(ちょっと卵を買って来てもらえるかしら?)
・OK, but can you give me 10 minutes?(いいけど、10分待ってもらえる?)

Can you ~?の方が、まだこちらの意向次第でNOと言える余地がありそうに聞こえます。

・Can you bring my CD player?(私のCD プレイヤー持って来てもらえるかな?)
・Why should I?(何で私が?)

「Would you~?」「Could you~?」
もうちょっと丁寧にいいたいときは、次段階のこちらになります。日常生活で一般に対して使うには最も使用頻度が高い表現です。

・Would you check the doors if they are closed?
(ドアが閉まっているか確認してもらえませんか?)
・Could you send this back to the sender?
(これを送り主に返してもらえませんか?)
・Could I have an application form?
(申請書を一通いただけますか?)

「Would you mind if~?」「I was wondering if~」
さらに丁寧にいうならば、「Would you mind if~?」「I was wondering if~」の段階に行きましょう。
へりくだったニュアンスが明確に伝わる表現です。

・Would you mind if I ask your name? 
(お名前をお聞かせいただくことは出来ますか?)
・I wonder if you mind if I leave earlier today.
(私は今日、早めに帰宅させていただくことはできますでしょうか。)
・I was wondering if I could visit you tomorrow.
(明日そちらへお伺いしてもよろしいでしょうか。)

I will / would appreciate if~というのもあります。appreciateのところをgratefulやhelpfulなど様々に言い換えたり、さらに強めるためのmuchを入れることも出来ます。

・I would much appreciate if you could do so. / I would be grateful if you can do so.
(そうしていただけると、非常にありがたく存じます)

何かを頼みたいときは、相手の意向を重んじるほど丁寧な言い方になるということが分かりますよね。相手にYes・Noの選択の余地がないPleaseを使った表現と比べると、pleaseの丁寧さというのがどの程度なのか想像がつきませんか。

日本語でも、「~してください」は端的な丁寧表現ですが、実のところは有無を言わせぬ依頼だったりします。人に対して本当に何かをお願いしたい場合は、「していただけますか」や「していただけませんでしょうか」などと言いますよね。

Pleaseは「おねがい」だけではなかった

Pleaseという単語を辞書で見ると、「○○を喜ばせる、楽しませる、満足させる」などといった、お願いのpleaseとは違った意味も書かれています。

・I just wanted to please you.
(君を喜ばせたかったんだ。)
・I will be very pleased if you can pass him my message.
(彼に私のメッセージを届けてもらえたらありがたく思います。)
・Your message pleased me a lot. 
(メッセージとても嬉しかったです。)

受動態にしてI’m pleasedとすれば、私は嬉しく思いますという意味になります。

・I'm so pleased with the way you welcomed us.
(私たちへのおもてなしを、とても嬉しく思います。)
・I was very pleased to hear from you.
(ご連絡いただけて、とても嬉しかったです。)

if you pleaseで「よければどうぞ」です。

・Take some, if you please.(よければ、お取りください。)
・Have a look, if you please.(よければ、見てください。)

pleasant(心地の良い、素敵な)やpleasure(喜び)といった言葉はこのpleaseの派生語です。

・What a pleasant scent!(何て良い香りなんでしょう!)
・Thank you for the pleasant time.
(ありがとう、素敵な時間を過ごせました。)

Pleasureはpleaseの名詞形で「喜び、楽しみ」です。

・It is a great pleasure to see my children smile.
(子どもたちの笑顔を見るのが何よりの喜びです。)
・Never mind, I'm just doing this for my pleasure.
(これは私が好きでやっているだけですので、お気になさらず。)

お礼に対する返答「どういたしまして」としても使われます。

・Thank you.(ありがとう。)
・My pleasure.(どういたしまして。)

まとめ

使い方によって丁寧にも威圧的にもなる「Please」。違いや使い方の感覚を少しはつかんでいただけたでしょうか。
使い方に不安があると、丁寧に言いたいのにきちんと伝わっているだろうかと心配になってしまうかもしれませんね。けれども、口調やジェスチャーでも、丁寧にしたい気持ちは伝えられるのではないでしょうか。
言葉というのは、いくら辞書を読み込んだとしても経験しながら感覚をつかむしかないという面があります。Pleaseの使い方に注意が必要ということが分かっていれば、これからは使われる場面を意識して学んでいけますね。

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