カナダのオンタリオ州ではお酒に関することが非常に厳しく制限されており、免許を所持している限られた場所でしか、販売や購入ができません。そのため、そこで働く人にも資格取得が義務付けられています。これからワーキングホリデーなどでお仕事探しを考えている方は、選択肢を広げるためのひとつのツールとして取得しておくと便利ですよ!
そこで今回は、オンタリオ州でお酒類を取り扱う仕事に必須の資格「Smart Serve(スマートサーブ)」についてご紹介します。
<関連サイト> スカイプ英会話を探すなら! | オンライン英会話比較360°
◾日本とはだいぶ違うトロントのお酒事情
本題に入る前に、筆者の住むトロントのあるオンタリオ州のお酒事情について、少しだけ触れておきます。
JETORO(日本貿易振興機構)によりますと、カナダでは日本酒、焼酎、ワインなどの輸入に関しては州および準州政府に管理権限が与えられており、個人での輸入や州を超えての取引ができません。そのため州によって法律が違います。
厳しい法律や資格所有者側からの監視や管理もあってか、お酒のマナーに関しては非常に良い印象を受けます。犯罪率が低い原因の一つとしてもあげられていますね。
1:公共の場での飲酒は禁止です。
公園でお花見、ビーチでBBQ、ビール片手に夏祭りなんて日本でおなじみの光景。こちらではもってのほかです。皆さん必死で隠して飲酒しようとしていたりもしますが、見つかった場合罰金が科せられます。
2:お酒の購入は政府直営の専門店(LCBO、The Beer Store、Wine Rack)と厳しい基準を突破した一部のスーパーマーケットのみで可能です。
日本のようにちょっと飲みたいから、近所のコンビニで買ってこようなんて事は不可能です。
実はスーパーマーケットでの取り扱いも2016年に始まったばかり。販売時間も制限されており、 スーパーマーケットは営業しているのに、販売時間を過ぎているためお酒の入った冷蔵庫は頑丈にロックされている事もしばしばあります。
3:飲酒できる年齢は19歳から。25歳以下に見える場合はIDの提示を求められます。
アジア人あるあるですが、もうアラサーの子持ちなのに未だにIDの提示を求められることもしばしばあります。
また私より3歳年上の主人がレジでIDを忘れたことに気づき、私がIDを提示したところ「仮に彼が飲酒できる年齢に達していなくて、あなたが購入して与えた場合にお店側の責任にもなるから」と売ってもらえなかった経験もあります。
4:お酒の提供時間は午前11時から午前2時まで。
朝までお店で飲み明かすのは不可能です。ギリギリ2時までにオーダーして手元に届いたお酒は深夜2時45分までに飲みきらないと没収されます。また泥酔している場合などは、お店側からお酒の提供は愚か入店を拒否されることもあります。
5:飲酒運転(運転出来る許容範囲の血中アルコール濃度)の基準値は0.8mg/ml以上。
つまりは飲酒してもこの基準値以下なら運転可能です。
個人差がありますが、こちらでは主流の瓶ビール330mlを1〜2本飲むと、平均的な大人の血中アルコール濃度は0.02%〜0.04%といわれており、数字的に見ると許容範囲いうことになります。とはいえ何か起きてしまった後では取り返しがつきません。お酒を飲むのであれば、タクシー、UBER、バスや地下鉄などの公共機関を利用しましょうね!
◾スマートサーブの学習項目から学ぶお酒のあれこれ
スマートサーブのトレーニングの主な学習内容は、お酒に関するライセンスの種類、法律、権利と責任、アルコールが体内でどのように作用するか、酔った人の兆候、酔っ払いに対する対応や責任などの事故事件防止と介入テクニックなど広範囲にわたります。
◾取得の流れ
1:Smart Serve公式ウェブサイトにてアカウント作成しましょう。
まず最初にトレーニングの受講の仕方を決めましょう。オンラインもしくは所定の場所(トロント市内では現在3ヶ所)にて講義に参加する2種類から選べます。
2:指示に従いトレーニングプログラムの受講に入ります。
各項目ごとのプレテストで80%以上合格すると次の項目を勉強できる仕組みになっており、最終的な資格テストもオンラインで受けることが可能です(プレテストは何回でもやり直し可)。
オンラインの場合トレーニングのみだと$34.95、教材付きトレーニングだと$44.48、受講は購入してから30日間有効で1項目におよそ3~4時間費やす必要があります。
教室での授業スタイルの場合は必然的に教材込みになり、1回3~4時間のセッションでトレーニングと試験を同時に受けることになります。
3:5項目全て終了すると、最終テストの受験が可能になります。
制限時間は約30分。5問中80%(28問)以上で合格となり、1週間ほどで免許が家に届きます。1回目で不合格の場合、2回目まで挑戦可能ですが、それ以降は別途料金が発生します。
気になる方はウェブサイトをチェックしてみてください→https://www.smartserve.ca/en/home
◾受験の際の注意点
もしオンラインで受験される場合は、オンラインだからと侮ってはいけません!実はカンニング等防止のため、試験官に常に監視されます。
最初にID確認のためにウェブカメラを繋いだり、指示を聞くためにイヤフォンやマイクが必要になります。PC画面の操作も共有されるため、開いているタブなども強制的にクローズされます。机の上の携帯やノートなどはしまっておきましょう。
◾お勉強のコツ
1:余裕を持った学習スケジュールを組みましょう。
受験時点での基本的な英語力によっても変わってきますが、かなりの集中力と労力を要します。無理なく最短でと考えるのであれば、1日1項目を3〜4時間、5項目+テストというふうに余裕を持ってスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか?
レジスターから1週間程で取得可能なはずです。
2:わからない単語や表現は繰り返し覚えましょう。
これはどんな学習にも当てはまりますが、内容が内容だけに専門用語やわかりづらい表現などは必ずメモを取り復唱して覚えましょう。
3:トレーニングの内容をしっかり頭に叩き込みましょう。
各項目ごとのプレテストは何度でもやり直しが可能なので、全問正解するまで何度も挑戦しましょう。しかしながら、このプレテストでは全てを網羅できないので、満遍なくテキストも読み込んでおく必要があります。
合格率の高いテストですが、お酒を取り扱う上での必要基礎知識や専門用語、試験問題の意味や主旨を理解できる程度の英語力は必要になります。
ではこの「理解できる程度の英語力」とはどのくらいの英語力なのか?ということですが、テストの点数で比較するのは非常に難しいです。なぜかというと例えば元々TOEIC300点代の人がかなりやり込んで一発合格していますし、逆に700点代の人が苦戦して不合格だったりするからです。
誰でも初めて聞く、見る物に対しての事前知識はありませんので、しっかりとトレーニングの内容を理解し、プレテストで本番の試験に備えて傾向と対策を練るということをしておけば、問題ないでしょう。
この資格試験のための勉強で一石二鳥!少なからずとも英語力アップ、達成感、その後の自信につながるはずです。