日本とはこんなに違う!?カナダで妊娠・出産

人生における大きなイベントのひとつ、妊娠・出産。筆者はこの一連の流れをカナダのオンタリオで経験しました。各州によって保険や病院、ドクターの方針の違いもありますが、一例としてご紹介します。
※私は日本での経験がないので、ウェブサイトや友人たちから聞いた情報との比較になります。

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◾︎出産費用は無料

カナダの健康保険は連邦政府や各州の税金によってまかなわれています。よって、各州の健康保険制度は異なりますが、オンタリオ州では一定の条件を満たした居住者が必要な医療サービスを無料で受けることができます。
日本だと自治体からの助成金があるそうですが、地域によってはそれだけではまかなえなかったりすると聞きますので、出産, 中絶手術, 助産婦等に関する費用が無料なのは有り難いなと思います。

◾一般的な受診の流れ

1: 薬局などで販売されているhome pregnancy test(妊娠検査薬)で確認。
2: ファミリードクター、またはウォークインクリニックを受診。

最後の生理が始まった日などの簡単な問診を受け、尿検査または血液検査で再度妊娠が確定すれば、Referral(紹介状)をもらい、産婦人科専門医を紹介してもらうか、もしくは自分で探す事になります。
またはドクターという選択の他に、Midwife(助産師)を選択することができます。この場合、自宅か病院か出産場所を選べます。彼らも他のドクター同様、大きな総合病院に部屋を確保しており、万が一妊婦さんに何かあったときは、専門のドクターを紹介してくれるシステムになっています。最初から最後まで1人の人にみてもらいたい、産後のケア(母乳の指導とか)をしてくれるサービス、自宅出産を希望などであれば助産師さんでも良いですね。

私の場合ウォークインクリニックから紹介していただいたドクターの口コミがあまり良くなかったことと、彼女のオフィスがトロント市内でありながらバスを3本乗り継ぎがないといけない不便な場所だったので、お断りし自分で探すことにしました。少し前に出産していた友人の紹介で連絡したドクターですが、最初はハイリスク(高齢出産や持病があっての出産)ではないのでと断られましたが、友人が交渉してくれた結果、受け入れが決まりました。

つわりがひどい場合には、緩和するお薬を処方してくれます。
私は妊娠超初期5週目から出産までつわりで苦しみ、全く体重が増えなかった(最終的に赤ちゃんの分3㎏増のみ)ので、食べられる時にイチゴやパイナップル、栄養価の固いナッツ類や(これはカロリーが低いのでドクターに怒られましたが)ポップコーンをひたすら食べていました。

3: 最初のアポイントは12週目前後。一般的に最初のUltrasound(超音波検査)は病院から指示があり、受診となります。

当日は少し早めに病院に行き、受付で診察券などの作成、その後超音波検査(子宮外妊娠でないか、また胎児の心拍数、サイズを測り、出産予定日に大きな差が生じないかを確認するため)、ドクターとの面談、血液(HIVや梅毒感染も含め、まずは母体の状況確認とTriple Marker Screeningと言われる、Down syndrome(ダウン症)などの可能性を見る検査)・尿検査という流れでした。
超音波検査や血液検査ですが、一般のクリニックには設備がない為、クリニックから超音波やレントゲン専門のクリニックへ予約を入れてもらい、その病院へ行って超音波検査を受ける事になります。

私はそれが面倒なこともあり、院内に全て設備の整った大きな総合病院を選びました。個人的には移動時間も短縮でき流るので、良かったと思います。
そして驚いたのが超音波検査の回数。妊娠発覚から出産までわずか2〜3回のみです。胎児の脳に何らかの影響を与えると言われていますので、できる限りリスクを軽減するためと考えられますが、日本だと多いところで15回以上のところもあるとか・・・

4: 16週目頃に再度受診。体重、血圧、尿検査と合わせて、胎児の心音を確認します。

定期検診は30週目までは4~6週間に1度。その後2~3週間に一度になり、最後の1ヶ月は1~2週間に一度の頻度となります。

5: 18~28週の間に再度超音波検査。

胎児の成長状況と位置を確認し、出産予定日の再確認も行われます。この時には大抵性別もわかります。

6: 24~28週の間にGlucose screeningと呼ばれる妊婦糖尿検査を受けます。

ボトルに入ったオレンジ色の甘いドリンクを飲み、その後に血糖値を調べます。
この時期になると病院の見学ツアー(Hospital Tour=ベテランナースが引率し出産当日にどうしたら良いか、実際の分娩室、病棟などを見学病棟などを見学)や両親学級(Parenting Class=参加するクラスによって高いものだと$380以上します。内容は脳の発達からバースプラン作成、授乳まで色々)を受け始めます。

7: 35~37週目にGBS=Group B streptococcus(B群溶連菌)という細菌保持者かどうかの検査が行われます。

GBSとは膣の中の常在菌の一種で、性行為感染症ではありません。約20%前後の妊婦さんが保菌者だそうです。出産時に膣などを通して 新生児に感染すると、深刻な症状を引き起こす事があるそうです。この検査で陽性になると、保菌者には分娩時にペニシリン系の抗生剤を数時間毎に投与する方法が一般的です。これにより、新生児が重い症状の感染にかかる確率が低くなるそうです。

これ、実は検査を自分でします。検診の日に受付で検査薬を渡され、やり方をさらっと説明された後に「じゃ、今からトイレでやってここに持って帰ってきてね」という感じです。

8: いよいよ出産が近づいてくるとバースプランなどについて担当医とも話し合いをします。

無痛分娩、帝王切開希望なのか、病院内のプールのあるお部屋での出産なども選べます。

私の場合は、陣痛が10分間隔になった時点主人に連絡し、仕事を早退してもらい車で病院へ。
その日は出産の妊婦さんでいっぱいで分娩室が空かず、待合室で波水、陣痛の痛みに耐え、主人や他の妊婦さんに付き添いのご家族までもがナースに掛け合い、やっと子宮口を確認してもらった時は産まれる寸前。「まだいきんじゃダメ!!すぐ出ちゃうからドクターが来るまで待って」と言われストレッチャーで分娩室へ。あまりに出産が早く進みすぎて麻酔医の準備も間に合わず、希望していた無痛分娩は却下。2回目のいきみの時に息子の心拍数が落ちたため吸引分娩にて、 出産しました。
病院到着から2時間半程で主人がへその緒をカットし、Skin to Skin(生まれたての赤ちゃんと肌が触れ合うことによって母子の繋がり強化、母乳の出をよくするため)をしてから、息子を抱えて病室へ移動。ナースが息子の状態を確認している間、私はサンドイッチを頬張りながら待機。その後すぐに授乳開始しました。

気が散る、気を遣われるのが嫌だったので、両家族には事後報告。日本の両親へは病室のモニターにスカイプをつないで、義家族には電話で報告しました。
医療費が無料なのに病室だけがなぜか有料。個室を予約していたので一泊$400。この値段なら近くのヒルトンやリッツカールトンやフォーシーズンズホテルに泊まりたいと一瞬思いましたが、ちょうど1週間ほど前に改装オープンした病棟はガラス張りでもモダンでとても綺麗。設備も整っており快適でした。
通常の出産であれば1日、帝王切開の場合は3日ほどで退院です。また里帰りという概念がないため、退院後は自宅に戻りすぐ育児が始まります。

自分が某有名雑誌やメディア媒体で読み聞していた日本の情報とはかなり違い、本当に手探り状態でした。ましてや全て英語。検診前には妊娠・出産に関する単語を調べ、気になる質問事項は箇条書きにして持って行きました。またドクターの言っていることがわからなければ何度も聞き直し、スペルや図まで書いてもらったりして帰宅してから調べることを繰り返しました。
日本に帰国しての出産も考えましたが、出産費用に加え、飛行機代や滞在費もかなりの経済的負担になります。またカナダをベースに子育て、自身の子宮内膜症や子宮筋腫などの経過観察もありますので、最終的にこちらで出産を経験して良かったと思います。

これからカナダでの妊娠・出産を控えている方へ少しでも参考になれば、幸いです。

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