海外滞在中に万が一、怪我や病気などでドクターの診察が必要な場合、どこでどのように対応したらよいかわからないと不安になりますよね。今回は筆者の住んでいるオンタリオ州の保険と医療事情についてご紹介します。
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オンタリオ州の保険
以前の記事でも何度か触れていますが、カナダでは各州ごとに保険や医療制度が異なります。筆者の住むオンタリオ州では、OHIP (通称”オーヒップ”はOntario Health Insurance Planの略) 税金でまかなわれる州の医療保険であり、取得は無料です。日本で言えば国民健康保険に相当するものを指します。
カナダ市民権・移民権もしくは就労ビザ保持者(ワーキングホリデーは不可)は下記の条件を満たせば申請可能です。(※以下、在カナダ日本大使館のウェブサイトより抜粋)
加入条件 1)オンタリオ州居住者 2)居住開始後はじめの183日間のうち30日以上オンタリオ州を出ていないこと 3)1年間のうち153日以上オンタリオ州にいること ただし申請後3ヶ月間は待機期間があり、この間は未保険状態になりますので、個人的にプライベート保険(学生はUHIP:大学側が斡旋する保険など)に加入しておきましょう
– OHIPが適応されるケース
医師により施される全ての基本的医療サービス及び緊急医療サービス
歯科:病院で実施された医療行為のみ適用。クリニックでの施術は不適用
足治療(Podiatrist):一部のみ適用
理学療法:66歳以上でOHIPクリニックでの治療に適応。怪我直後など医学的に必要とされる期間のみ適応
検眼:19歳以下もしくは66歳以上で1年に1度の検査のみ適用。眼科関連疾患(糖尿病、緑内障)を診断された場合には年齢に関係なく適応(近視・遠視は不適用)
心理療法・カウンセリング:医師による治療のみ適用(カウンセラーによる治療は不適用)
ほとんど全ての臨床検査:適用(ただし人間ドック、開発直後の新しい検査などは不適用 )
予防接種:ほとんど全て適用(ただし海外旅行目的の黄熱病等のワクチンは不適用)
– OHIPが適応されないケース
美容整形
看護師・介護士・ソーシャルワーカー・カイロプラクティス・栄養士による施術・指導
自然療法・ホメオパシー・代替療法
予約したのに受診しなかった場合に請求されるキャンセル料
救急車($45程度一部負担します。ただし救急の医師が不必要だったと判断した場合には後に$240請求されます)
薬代(ただし65歳以上もしくは低収入者には適応)
旅行、留学、ワーキングホリデーの場合はプライベート保険に加入を!!
以前「海外生活は大変!日本と異なる仕事事情と医療事情」の記事内で少し触れましたが、病気や怪我に自分だけは大丈夫という保証はどこにもありません。それは数日の旅行でも、最長1年まで滞在できるワーキングホリデー中でも変わりません。
OHIP加入には一定の条件を満たしている必要がありますので、短期の旅行、留学やワーキングホリデーの方は、プライベートの保険に加入するのが一般的です。
留学エージェントで勤務をしていた時、ワーキングホリデーで1年滞在するつもりなのに最初の数ヶ月しか保険をかけていなくて、期限が切れてしまったと駆け込みで相談を受けたことが何件もありました。そんな方のために現地で加入できる保険を取り扱っている会社が数社あります。
不安な方は日系のエージェントに是非相談にしてみてください。
トロントの病院事情
トロントをはじめカナダの医療事情は日本とは違い、どの病院に誰でも行けるというシステムではありません。病院の種類は大まかに分けて以下の4つです。
– Walk In Clinic
日本の一般的な病院と同じように、誰でも予約なしで診療を受けることができ、薬の処方箋ももらえます。留学やワーキングホリデーで来る方は、何かあった際はまずこちらに足を運びましょう。ウォークインクリニックは、症状によって優先されるので、診察までに2時間程待つことも多く、時間に余裕をもって行きましょう。
– Family Doctor
日本で言うかかりつけ医のことです。トロントでは、ファミリードクターに診察してもらう時には予約が必要となります。
– Specialist
日本で言う専門医のことです。トロントではまずファミリードクターかウォークインクリニックで診察を受け、必要に応じてスペシャリストを紹介してくれるという流れになります。そのため、専門医に診てもらう場合は、ファミリードクターかウォークインクリニックから紹介状からの紹介状が必要になります。
– Emergency
総合病院の救急医療です。緊急の場合はウォークインクリニックに行かず、エマージェンシーに直接行きましょう。ただし症状や状況に応じて優先順位が決まりますので、命に別状がない限り平均待ち時間は4〜6時間です。救急車を呼ぶ場合は、有料$240で”911”です。
前述したようにクレジットカードに保険がついている方、プライベート保険に加入している方は、その保険会社が提携しているクリニックなどでサービスが受けられるはずなので、いざとなった時に慌てないように事前に確認しておきましょう。
ドクターに診察してもらうべきか迷った場合
もしすぐにドクターに診察してもらうか迷った場合、オンタリオ政府が運営してい「Telhealth Ontario」というサービスを利用することも可能です。こちらは資格を持った看護師達が24時間サポートで電話をすると相談に乗ってくれます。政府が運営しているため、基本的に英語かフランス語での対応になりますが、希望すれば通訳を付けてくれます。その場合は通訳、本人、看護婦と3人で話す形式です。相談料は無料です。
Telehealth Ontario:1-866-797-0000
トロントの中絶事情
おそらくこの記事を読んでいる方は、留学やワーキングホリデーをお考えの方も多いと思いますので、参考までにお話しします。
実は意外に多いのが、留学生やワーホリさんの想定外の妊娠。その正確な数字まではわかりませんでしたが、カナダ全体でクリニックや病院で人工妊娠中絶を行った件数は10万件を超えます。(※2017年4月に更新されたCanadian Institute for Health Information (CIHI) annual statisticsの2015年のデータを基にしています)
カナダの法律としては1988年に中絶に関する一切の法律が撤廃されました。しかし州によってはPEIのように法的に承認していなかったり、アルバータ州やニューブラウンズウィック州のように2人のドクターの許可を必要とするところもあります。
望まない妊娠は避けたいところですが、もしお困りのことがあれば、トロントには無料で避妊の相談及び経口避妊薬の処方などを行ってくれるクリニックが数ヶ所ありますので、一人で悩まずにすぐに相談しましょう。
・Hassle Free Clinic (http://hasslefreeclinic.org/)
・Women’s College Hospital -Bay Centre for Birth Control(http://www.womenscollegehospital.ca)
日本とは医療制度が異なるカナダ。ましてや言葉も違う国で右も左も分からない中、病気やけがに見舞われてしまったら不安でしかないですよね。ご旅行、留学、ワーキングホリデーの際には、所持しているクレジットカードについている保険、申し込んだ海外旅行保険などで提携先の病院やクリニック、カバーの対象範囲、日本語対応の可否を事前にしっかりと確認しておきましょう!
また英語力に自信のない方は、現地の医療通訳や政府の通訳サービスを最大限に活用することをおすすめします。