ワーホリさんに朗報!?オンタリオ州の最低賃金アップと考えられる仕事探しへの弊害

前々からニュースにはなっていましたが、ついに2018年1月度からオンタリオ州の最低賃金が今までの$11.60から$14.00へ大幅にアップしました。さらに2019年1月度から$15.00にアップが決定しています。

さて、この最低賃金のアップは果たして朗報なのか?それともそうでないのか?考えられられる問題点を検証してみましょう。
※お酒を扱う職種についても同じ割合の賃金上昇率が適用され、現在の$10.10から$12.20となります(この職種ではこれに加えてチップの収入が見込まれます)

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◾オンタリオ州最低賃金の驚異的な上昇率

カナダ統計局によると、オンタリオ州の最低時給で働く労働者は約54万人で、全労働人口の9.2%と報告されています。最低賃金の引き上げを実現させたオンタリオ首相Kathleen Wynne曰く、

”for Fair Workplaces and Better Jobs(公正な職場とより良い仕事のため)”

で、 今回の最低賃金UPはパートタイム社員や契約社員の保護が目的と話しています。また5年以上勤務した労働者の有給休暇を2週間から3週間に変更する案も検討中だそうで、さらなる労働環境、雇用内容の改善が期待されています。

カナダの最低時給は10・72ドルから13ドルまでと州によって異なります。近年、各州で最低賃金が少しずつアップしています。今回のオンタリオ州の議会の決定は2018年1月から$15になったアルバータ州と並び国内最高額になりました。

2017年10月:$11.40 → $ 11.60
2018年1月: $ 11.60 → $ 14.00
2019年1月: $ 14.00 → $ 15.00

こちらを見ても分かる通り約1年半の間に32%も上がっています。このスピードでの賃上げは異例だとも言われており、以下反対の意見も挙がっているようです。

◾企業(採用)側の採用基準が厳しくなる!?

採用工程、育成期間などに費やす時間、さらには採用後にそれだけ支払うのであればより良い人材が欲しいと誰もが考えるでしょう。また最悪、雇用の凍結も考えられます。

そうなるとだだ単に最低賃金がアップしたからと喜んでいられませんよね。特にワーキングホリデーとなると期間が定められたビザゆえ、お仕事探しの選択肢が狭い上に厳しい採用基準を突破しなくては、そのポジションに就けないわけです。

さらには学生が初めての仕事に就くことや、学校に通いながら仕事を得ることが難しくなるだろうと言われています。

これは実際現地企業の採用を担当している友人の話ですが、全員が全員ではありませんが8割がたやはりお国柄によって働き方にも差が出るんだそうです。

例えばラテン系、南国島育ちの方は大らかですが仕事をサボりがち、ヨーロッパ系の方は英語は問題無いものの、自己主張が強い人が多く場面によっては扱いづらい、アジア系の方は勤勉で真面目ですが、特に日本人は英語能力が低い、出来ない負い目があるからかNoと言えないためブラックな企業なら最低賃金やそれ以下でこき使いやすいなどです。これだけ見ても日本人散々な言われようですよね。話を聞いていて、私が日本人だということを忘れてはいないかい?と突っ込みたくなった程です。

以前お仕事探しの記事で書いていますが、 トロント大学のリサーチで、”アジア系の名前は就職活動に不利”という結果が出たと発表されました。同等の学位を取得したとして、面接の連絡がきた確率はアングロ系の名前を持つ人に比べ、アジア系の名前を持つ人は32.6%も低い結果となったそうです。ということは名前を見ただけで、お国柄のイメージで判断されることも少なくないのです。

◾現在働いている人は自分の立場が危うくなる可能性も!

先述したように企業側はコスト面で時給に見合ったより良い人材を求め、人件費の削減を行う可能性もあります。カナダの大手銀行TD Bankが推定したこの最低賃金引上げによる影響は、9万人の雇用ロスという恐ろしい内容も耳に飛び込んできました。

セルフチェックアウト(レジ)の設置により働く場所が減る、カフェやファストフード店などではシフトがカットされる、それによって一人当たりの仕事量や労働時間が増加することも考えられます。

実際、筆者の近所のMatroや ShoppersDrugmartではセルフチェックアウト(レジ)、Walmartでは、Scan & Go(自分でバーコードスキャナを使いながらお買い物をして、最後にレジで読み取りをするとお会計ができるシステム)が導入されました。大手企業Rogersが大規模なリストラを実施し勤続20年に友人も職を失いました。またカナダではないですが、アメリカでamazonが従業員のいないグロッサリーストアをオープンしました。将来的にカナダでもこのような携帯のお店が現れるかもしれませんね。

◾懸念されていた物価等の上昇

人件費の増加に伴い、色々なコストも上がるので、最終的に商品の値段を上げるしかないというインフレが起きることが懸念されています。今のところさほど大きな変化は感じられませんが、一部現地に生活の基盤がある我々には影響が出ています。

例えば日本人が経営する保育園、ドロップインの値段が去年の夏辺りは$65だったのが、現在は$85といった感じです。最低賃金が上がったことにより企業(採用)側が労働者に支払う金額が上がったためと考えられます。

また、カナダでは言わずと知れた有名ドーナツショップTim Hortonsで、最低賃金値上げ後、従業員の福利厚生内容の変更(休日を減らす、違法となったはずのチップ受け渡しを廃止等)をするという事を決めた店舗があり、これを受けてTim Hortonsをボイコットして、ローカルの個人経営のお店に行こう!という動きもあり大炎上しました。今後、多方面でこのような事態が起こることが予想されますね。

◾経済の専門家によるまったく逆の意見も

今まではマイナスの面ばかり見てきましたが、経済の専門家たちはまったく逆の意見で、この賃上げに賛成しているようです。

その理由としては、過去20年の研究データで失職への影響は非常に少ないことが分かっており、むしろ人々の購買力を引き上げ、結果的に経済全体の個人消費と経済活動を活性化することにつながるそうです。実際にアメリカで初めて最低賃金時給$15.00を導入したシアトルでこういった現象が見られたそうで、これは逆に期待できるかもしれません。

これから留学やワーキングホリデー、または移住をお考えの方々には、目が離せない話題です。

失業率が下がってきて景気が少しでも上向くと思いきや、インフレを受けて困窮している人々を助けるためでもある賃上げのせいで、逆に仕事を失い苦労する人も増加する可能性が出てきました。ただ単に最低賃金が上がるからと、両手を広げて喜んでいられる状態ではありませんね。

6月に選挙を控えていますが、カナダは政治家が変わるとすぐに政策がひっくり返るくらい統率力、団結力がありますので、選挙の結果次第ではまた何か動きがあるかもしれません。ミクロ的、マクロ的見解でこうも意見が分かれると一体どちらを信用すべきなの!?と混乱しそうですが、私達にできることはただ1つ。そんなことに負けない力をつけるのみです!

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