自分の親世代が次々に定年を迎え、家族の会話に「残りの人生をどのように過ごすか?」といった話題が出るようになりました。祖父母の時代と比べると皆まだ若々しくて、海外旅行や新しい習い事など色々なことに挑戦しているシニア世代と呼ばれる年齢層の方達。
その中でも今1番人気があるのが「英会話」なんだそうです。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催の余波もあり、筆者の母やその友人達までもが、英会話を習い始めました。
今回は本人に実際に話を聞いてみましたので、実体験を含めてお話ししていきます。
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◾シニア世代とは!?
そもそもシニア世代とはどのくらいの年齢層を指すのかご存知ですか?
実は明確な基準はなく、とても曖昧なんだそうです。例えば転職市場で言うなら50代、WHOでは高齢者を65歳以上と定義付け、人口構造を示す世界データでは老年人口を65歳以上としていることから、業界や目的によってかなり差があります。
◾シニア世代の習い事は英会話がアツい!!
リクルートマーケティングパートナーズ(東京都中央区)が50〜64歳の男女を対象に実施した過去1年間の習い事に関する調査によると、女性は1位が英語(25%)、2位がヨガ・ピラティス(17.3%)、3位がフィットネスクラブ(11.1%)。男性は1位が英語(27.4%)、2位がゴルフ(8.7%)、3位がフィットネスクラブ(7.2%)という結果になったそうです。
数字を見てもわかるように男女共2、3位を大きく引き離して、英会話がダントツの1位です。
「学生時代に苦手で苦労した、就職後に忙しくなって諦めたので、時間ができた今また始めたいと思った」、「孫や奥さん/旦那さんと一緒に海外旅行したい」など、やり直し、生活環境や気持ちの変化によって習い始める方が多いようです。
◾英会話教室や短期留学でもシニア向けプランが登場
英会話教室、留学エージェント、旅行会社などでシニア世代向けのプランが登場し、人気が出ているようです。
先述したように筆者の周りでもその影響が出始めているのか、母が60歳にして英会話を習い始めました。娘が国際結婚し、海外に住んでいるということもありますが、孫も生まれカナダに会いにきたい欲が高まったようです。
「孫と公園に行って遊ぶ」という最初の目標はすでに達成し、次の目標は「今後ひとりでもカナダに行けるように簡単な日常会話ができる程度までレベルを上げる」ことだそうです。
母の友人で「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてボランティア活動がしたい」と英会話を始めた方が数人います。
いろいろな技術も進歩し、自宅から出られない場合はオンライン英会話が可能ですし、対面が良いけどスクールがちょっと遠くて不便という場合は近くの公共施設での出張英会話というプログラムも自治体によってはありますし、海外渡航への敷居も低くなり外で学びたい方への選択肢も増えました。
カナダの友人宅では、ある程度自立した年齢層が高めの生徒さんのホームステイの受け入れをしています。ここ5年間で日本人のご夫婦、ケベック州(カナダですがフランス語圏)からの主婦の女性、ブラジルからビジネスマンの男性、ドイツから元薬剤師の男性など、いずれも定年を迎えた60歳以上の方が非常に多いです。
◾シニア世代が英会話を始めるメリット
– 脳細胞の活性化につながる
新しいものを覚えることによって、脳への良い刺激になります。
エジンバラ大学によると、二言語以上話す人は認知症の進行が遅いということが研究結果で出ており、BCCの記事に載っていました。以下、記事の一部を日本語訳とともに抜粋してみました。
“The researchers suggested bilingual switching between different sounds, words, concepts, grammatical structures and social norms constituted a form of natural brain training, which was likely to be more effective than any artificial brain training programme.” “研究者によると、音、単語、概念、文法構造等の違いが脳に作用するため、他のあらゆる人工的な脳トレよりも外国語学習の方が、認知症予防に効果的である”
と言われているそうです。
– 時間ができるので、自分のペースで進められる
加齢による記憶力の衰え等の理由ゆえにスタートする年齢を気にする方も多いですが、仕事や子育てなどが一通り一段落する時期でもあるので、以前のように時間に追われることも少なくなります。自分の時間が多く持てる分、ゆっくりと自分のペースで取り組むことが可能です。
また若い世代に比べ、学校や仕事で必要に迫られて学ばなければならないといったプレッシャーもないため、楽しみ見ながら学べるという利点もあります。
– 交友関係が広がる
月日が流れるとともに友人達との連絡が途絶えてしまったり、加齢とともにと外に出るのが面倒に感じてしまうこともあるでしょう。
新しい習い事を通じて、同世代のクラスメイトにライバル心を抱き、娘息子と同い年くらいのクラスメイトの話を聞いたり、たまに振替でクラスに入ってくる高校生を微笑ましく思ったりと色々な世代、業種、人々との交流が生まれます。
◾日本の将来に向けたシニアと若者の雇用の動き
エコノミストの方々が述べているように、国全体の人口が減少している以上、雇用の確保のためのシニア層の就労促進は必要不可欠です。
“2000年以降の12年間で、60~64歳の男性の就業率は65.1%から71.3%へ大幅に上昇、逆に20~24歳の同じく男性の就業率をみると、65.7%から61.5%へと低下しています。 高齢化社会におけるシニア層の雇用増加に伴い、それによって生じる「高齢者の就業率の上昇が、若者の職を奪っている」という考え方。 この問題を解決するためには、既存企業の「雇用」促進ではなく、地域社会が新しい「就労」機会を創出することを考えていくべきであり、①保育・子育て、②介護、③教育、④観光などの分野で、地域社会発の新しい「働く場所」を創り出すことが重要です”
とあります。
※参考資料:日経ビジネスオンライン 若者とシニアの雇用を両立する「世代間ワークシェアリング」より
2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、その動きを加速化する大きな事柄であることは間違いありません。社会全体の動きを見る限り、先進国の中でも一番劣っていると言われている日本。これから増加する海外からの短期滞在者(観光客や留学生、オリンピック選手や取材のメディア等)、長期滞在者(留学生、労働者等)へ向けてのサービスや手助けの充実へ、シニア世代が一役かってくれることは間違いないでしょう。
頑張るシニア世代。人生の節目に新たなる目標を見つけ、それに邁進している姿は、自分もリタイアしたら、そんな風になれたらいいなという良い見本になってくれていると思います。
おそらくこちらのウェブサイトにいらっしゃる皆さんは、比較的お若い方が多いのかなと思いますが、若者の意識低下がささやかれる中で、元気なシニア世代に負けないよう、または今日共存できる道を探りながら、あらゆる面で力をつけて行く必要があるのではないでしょうか。