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オンライン英会話レッスンの功罪 ~よいところ編~

日本でも数年前から「オンライン英会話レッスン」のサービスが格安で提供され始めました。これはまさに科学技術の成せる技で、世界中で待機している英語講師と、Skypeなどのビデオ機能を通じて会話をするというものです。あなたの周りにもきっと、オンライン英会話レッスンを受けたことがある人がだれかしらいるはずです。
筆者も一時期だけ、自分の子どもと一緒にレッスンを受けたことがあります。受講期間はたった1か月ほどでしたが、そのときに感じたことと世間一般の評価を交えながら、オンライン英会話レッスンの”よい点”について述べたいと思います。

よいところ/その① いつでもどこでも

オンラインレッスンの何がよいか、ずばり「いつでもどこでも」が実現できる点にあります。英会話だけでなく、たとえば大学受験対策の化学のレッスンも今やwebで提供されるのが当たり前になりました。まさに「自分の好きな時間に、好きな場所で」学ぶことができるのが最大の利点です。この時流に乗って、これまで英会話教室に行きたくてもなかなか決断がつかなかった人たちが、どんどんオンラインレッスンを始めています。

英会話については、自宅でレッスンを受けるのが主流です(カフェなどの公共の場所では、自分が話しているのを周りの人に聞かれてしまうので、避けることが多いようです)。サラリーマンであれば、会社の屋上にラップトップ型PCを持ち込んでベンチに腰掛け、昼休みのだれもいないときにレッスンを受けることも珍しくないそうです。多忙な人がすき間時間をうまく活用するのに、このレッスン形態は適しています。

自宅であれば、起きてすぐ、あるいは寝る前に10分間のルーティンワークとして英会話時間を設定する人もいます。日本の朝6時であっても、地球の裏側は夕方6時です。必ずだれか待機している講師はいるものです。
レッスンを受けたい時間の30分前までに(15分前のことも!)予約を入れることができるのも、このサービスの強みです。思いつきで「今から!」という需要にも対応できますし、あるいは「毎日〇時に」と定刻開始をしたい人にも対応可能です。さまざまな会社が拮抗してサービスを提供しているので、1回10~15分のお気軽なものからガッツリ1回30分というものまで、希望に合わせて多様な選択ができます。

よいところ/その② 低価格だから続けやすい

オンライン英会話が人気である理由の1つに、レッスン1回あたりが非常に低価格に設定されていることが挙げられます。ある大手の会社は、月額6,000円程度で毎日1回25分のレッスンが受けられます。なんと、1回あたりのレッスン代金は200円です…! こんなことがあっていいのでしょうか…! ちなみにこの会社は、毎日2レッスンのパッケージで申し込んでも月額10,000円程度です。毎日1時間近くもレッスンを受けられるのに、支払うのはたったの10,000円というわけです。

正確に言えばインターネット接続代金は別に負担がかかるわけですが、オンライン英会話レッスンをしてもしなくても、今どきはインターネットの代金というのはほとんどの家庭が水道光熱費と同じような感覚で払っているものです。実質、レッスン代だけで済んでしまいます。
もしAEONやNOVAなどの有名英会話教室に通うとなると、週1回50分のマンツーマンレッスンを組めば最低でも月額30,000円にはなります。初期投資の入学金や教材費、施設運営費(冷暖房の季節費用)を含めれば、とても大きな出費になりますね。その点、オンライン英会話レッスンは、これと比べ物にならないほど低価格と言えるでしょう。無料で2レッスンを体験できるなど、サービス申し込み開始前に「おためし」期間を設けてくれていることがほとんどです。迷っている方は、臆せず気軽に受けてみましょう!

よいところ/その③ 登録講師陣の国籍が豊か!

登録している講師陣は、必ずしもアメリカ・イギリス・オーストラリアの方たちばかりではありません。オンライン英会話市場においてはフィリピン人講師が激増しているのはご存じのとおりですが、ほかにヨーロッパ、南米、アフリカなど実にさまざまな地域にわたって講師の登録があります。彼らの話す英語にあまりにもひどい訛りがあれば、そもそも講師として採用されませんので一定の質は担保されています。安心してレッスンを受けてください。

これは筆者の持論ですが、1人のコスモポリタンとしてセンスを磨いていくのに、さまざまな国籍の人と話してみることはとても重要です。英語圏以外の人と英語を「介して」コミュニケーションをする、という体験が、回数を重ねるごとに皮膚感覚であなたの中に浸透していくと思います。
英語を学ぶことじたいが最終目的になるのではなく、あくまで英語は「道具」であるという感覚は、今後の世界のあり方を見ても必要なセンスです。「こんにちは」程度のことは講師側の母国語で言ってあげれば、人間力もアップするでしょう。またたとえば、今日の朝ごはんには何を食べたかを互いに共有することで文化交流にもなります。

よいところ/その④ 教材も存在する

意外に知られていないのが、オンライン英会話レッスンにも教材が存在しているということです。もちろん紙媒体ではありません。web上で提供される、いわゆるデジタル教材です。文法項目に分かれているものもありますし、会話場面で分かれているものもあります。受講する側がきちんと意識的に「自分に足りないところを網羅したい」と思えば、こういった教材を活用してレッスンに臨むことができます。毎度ついついフリートークばかりしていると、自分の文法力や単語力を確かめるすべがありませんし、また伸びてもいきません。英会話塾のようにカリキュラムがないので、自分で自分を律していくことが必要になります。

ちなみにオンライン英会話レッスンで用いられる教材ですが、講師側からも生徒側と同じものを見ることができます。Skypeが立ち上がっているまさにそのPC画面上にデジタル教材が展開されます。その際、互いの顔が映っている枠は小さく表示されて、教材がメインの画面構成となるのが一般的です。レッスンの始めに「この教材を使用する」と講師と合意をとりつけ、そのユニットの中で決められたタスクを順番にこなしていきます。
たとえば、書かれている英文を生徒であるあなたが音読すれば、発音の良し悪しについて講師がコメントをくれます。教材を利用しない場合、つまりまったくのフリートークであった場合、講師は生徒の発音の悪さを指摘しにくいものです。「あなたはrとlをまったく区別できていない」というコメントは、指摘じたいはざっくりしているのに、相手を傷つけることは確実です。相手の気持ちを慮れば言いにくいことの1つが、発音の下手さへの指摘です。
でもまさに目の前に教材があれば、そこに出てきた具体的な単語を例に「rateがlateに聞こえてしまっていましたよ」と遠慮なく指摘できるわけです。rate, rate, rate, late, late, late…と発音レッスンまで展開してくれるでしょう。確実なフィードバックとトレーニングを講師から引き出したいなら、教材を活用する価値はおおいにあります。

ここには書き切れないほど、オンライン英会話レッスンを受ける利点はあります。ただ残念ながら、何事にも”よい点”&”悪い点”はあるものです。筆者の体験から、また知人の体験談から、今度は”悪い点”について次の記事でいくつかピックアップして述べたいと思います。まずは前半である本記事をお読みいただきありがとうございました。

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