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カナダを変える?マリファナ完全合法化へ

 カナダ政府は2017年春にもマリファナを嗜好品として合法化する意向です。カナダの保健相が、世界の薬物問題に関する国連(UN)の特別会合で表明したものです。

 英語を勉強しながら、日本との考え方の違いについても考えてみましょう。(英文は、”Canada aims for marijuana legalization in 2017″  Reuters.com 2016/4/21)

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1.選挙公約だった

 G7国家でマリファナが合法化されるのは初めてですが、アメリカの一部の州ではすでに嗜好品としてのマリファナ(recreational marijuana)が合法化されていて、カナダのトルドー首相は昨年10月に選挙公約(election pledge)として掲げていました。

Canadian Prime Minister Justin Trudeau promised during last year’s election campaign that his Liberals would legalize recreational marijuana, but the time frame has been unclear. Trudeau has previously admitted to smoking marijuana a few times in his life but said he never enjoyed it much.
 カナダのジャスティン・トルドー首相は昨年の選挙運動期間中に、自由党政権になれば嗜好品としてのマリファナを合法化すると公約したが、その時期はこれまで明らかにされていなかった。トルドー首相は何度かマリファナを使用したことがあると認めているが、それほど好きではなかったとも言っている。

・election campaign:選挙運動
・legalize:合法化する
・time frame:(必要とする)時間、期間

2.子供や犯罪者の手に渡る懸念

 もちろん、合法化は今すぐできるわけではありませんが、早くもマリファナ関連株(医療用マリファナの製造会社など)の株価が急騰し、一方ではアメリカで合法とされている州のように財政が好転することへの期待も高まり、カナダ国内には歓迎ムードが強まっています。

 しかし合法化されたからといって、誰の手に渡ってもいいものではありません。特に子供が手に入れることができないようにすることと、マリファナの取引に関わる資金が裏の犯罪組織に流れないようにすることは絶対に必要です。トルドー首相の公約も、これらの面での規制を厳しくすることを訴えたために支持されたのでした。

Health Minister Jane Philpott, speaking at a special session of the United Nations General Assembly in New York, said the Canadian law will ensure marijuana is kept away from children and keep criminals from profiting from its sale.
 ジェーン・フィルボット保健相はニューヨークで行われた国連総会の特別会合で、カナダはマリファナが子供の手に渡らないことと、マリファナの売買によって犯罪者が利益を得ることがないことを、法律によって確保すると述べた。

・special session:特別会合
・General Assembly:(国連の)総会
・keep A away from B:AをBから遠ざけておく
 この文ではAはmarijuanaですが、受動態なので主語になってA is kept away from Bの形になっています。
・criminal:犯罪者

3.利用者は爆発的に拡大すると予想

 カナダでは、前政権(保守党)時代の2001年に医療用マリファナ(medical marijuana)が合法化されました。それ以来、保健省の厳しい規制のもとで医療用マリファナの製造業者はすべて認可制になっていて、許可を受けた約5万人に対して医療用マリファナを供給しています。ただし、実際にはカナダ国内のマリファナ使用者はその10倍に上ると見られています。

 こうした状況で嗜好用のマリファナが合法化されれば、現在1億カナダドルと言われるマリファナの市場規模は数十倍にふくれあがる可能性があるため、保守党はさらに利用が自由化されることに対して強く警告しています。

Gerard Deltell, a legislator from Canada’s opposition Conservatives, said the country’s proposed legislation would harm people’s health and lead to life-long problems among users.
 野党である保守党のジェラード・デルテル議員は、現在提案されている法案は国民の健康を損なうものであり、使用者を一生苦しめることになると主張した。

・legislator:国会議員、立法者
・opposition:野党(opposition party)
・legislation:法案、立法

4.法制化への課題は多い

 保守党時代に医療用マリファナを合法化した時、最初は医療用マリファナを処方される患者が自宅でマリファナを栽培することも認められていました。その結果、マリファナ栽培や生産を許可される件数が急増し、これに慌てた政府が計画を変更して、栽培者や製造会社の規制をより厳しくしたという経緯がありました。

 そのために、保守党政権の下では医療用マリファナを処方するのを控えていた医師が、嗜好用マリファナが合法化されると積極的にマリファナの処方箋を増やすと見られています。痛みを和らげたいと患者が言えば簡単に医師はマリファナの処方箋を出し、街の薬局で簡単に手に入るようになりそうです。

 嗜好品としてのマリファナが手に入りやすくなれば、健康への影響が当然懸念され、薬物依存や異常な精神状態での自動車の運転が増えることも予想されます。酒・タバコのように未成年への販売の年齢制限をどうするかなど、実施までに決めなければならないことはたくさんありますが、政府はまだそれらの具体的な方針を明らかにしていません。

The Canadian government has not provided details on production and distribution plans. But many investors expect the federal government to dictate the supply chain, while provincial governments oversee the distribution model.
 カナダ政府は生産と流通をどう規制するかということに関する詳細をまだ提示していない。しかし大方の投資家の予想では、連邦政府が供給側(生産者)を監督し、州政府が流通側を監督するだろうと見られている。

・federal government:連邦政府
・dictate:決定する、指示する
・supply chain:供給プロセス(サプライチェーン)
・provincial government:州政府
・oversee:監督する
・distribution model:流通モデル

 同じ嗜好品で、健康に悪影響を与える可能性のあるたばことの関係もあり、税率の決め方などについても、今後紆余曲折がありそうです。こうした問題に折り合いをつけて、カナダではマリファナを合法化できるのでしょうか?またカナダの社会にどんな影響を与えることになるのか、今後も注目ですね。

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