ESPNから読み解く、サムライブルーの内実 後編

前編に引き続いて、ESPNサイトに掲載されているサムライジャパンの記事を読んでいきたいと思います。
Japan name World Cup squad; Arsenal’s Takuma Asano among those cut

日本語のテキストとして、Qolyの記事も参考にさせていただきました。
Qoly Football Web magazine 2018/5/31
【全文その1】日本代表の西野朗監督、W杯の登録メンバー発表会見。浅野や井手口はなぜ外れた?
【全文その2】西野監督が本田、香川、乾を選んだ理由

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西野監督コメント

監督のコメントはもともとが日本語ですから、ESPNの記事でどういうふうに英訳されているかを見て、英訳の勉強をすることもできます。まずは、ESPNの記事を日本語に訳してみましょう。

"There are a lot of players who helped us get to Russia, a lot of players who are doing well at the moment, and a lot of players who are going to become great in the future," Nishino said. 
西野監督は語った、「多くの選手のお陰でロシアへの出場権をつかんだ、多くの選手が現在好調な状態でいる、そして将来の成長を期待できる多くの選手がいる。」
"And it's amongst all these circumstances that I have to select my squad."
「そういった環境の中で、私は私のチームを選ばなければならない。」
"All three are incredibly promising and they contributed a lot to get us to this point. But in considering their top performance level I wasn't able to include them. I think they will carry Japan in the future."
「3人は非常に将来有望な選手であり、今日に至るまでにに多大な貢献をした。 しかし彼らの最高の能力の水準を考慮するとき、私は彼らを選出することはできなかった。彼らが将来の日本をになう選手であると考えている。」

西野監督のコメントについては、日本語のサイトQolyの記事に全文掲載されています。

こちらの記事では、『できるかぎり口語調のまま掲載』とされています。
上記の引用について、実際に西野監督が日本語でどのように語ったのかをちょっと見てみましょう。

「ロシアへの舞台を作ってくれた選手もいます。現在、非常に伸びている選手もいます、これから飛躍してくれるであろう選手たちもたくさんいますし。」

「そういういろんな要素を含めて選ばなければいけない。この代表メンバーですので、これは瞬間に決められるものでもないことで。」

「非常に有望な若手の3人なんです。この舞台に立たせてくれたのも彼らの力が大きいですし、現時点でのトップパフォーマンスという中では、自分の中では持てなかった。これからの日本サッカーを背負ってくれる選手だと思っています。」

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ESPNの記事に戻りますと、次に井手口選手についての記載があります。
有望な若手とされながらも落選した3人のうちの1人で、先日のガーナ戦には出場したのですが、最終メンバーには選ばれなかった選手です。

Ideguchi, who signed for Leeds from Gamba Osaka in January, was the only one of the trio to take the field in Wednesday's 2-0 defeat against Ghana in Yokohama in Nishino's first game in charge after replacing Valid Halilhodzic, dismissed in April.
「1月にガンバ大阪からリーズに移籍した井手口は3人の中ではただ一人、4月に解任されたハリルホジッチ監督の後任としての西野監督のはじめての試合であり2-0で敗れた水曜日に横浜で行なわれたガーナ戦に出場した。」

そしてESPNの記事は、再び西野監督のコメントとなります。
ガーナ戦の結果をふまえて、チームの現状分析やご自分の考えを述べています。

"Some things worked and some things didn't, and the things that didn't led to this result," Nishino said.
西野監督は語った、「機能したこともあったがそうでないこともあった、そしてそれらがこの結果となった。」
"I was able to try out a lot of things and I was able to look at a lot of players, but we were looking to win the game and the fact that we didn't is disappointing.
「いろんな試みもできたし多くの選手も見ることができた、しかし我々はこの試合の勝利を目指していたのであり、そうならなかったという事実については失望している。」
"As time went on things picked up, but we didn't start the game well. We weren't all on the same page."

この一文はどうにも訳が難しいですね。
無理して訳すと、

「いろんなことを試しはしたが、しかしその試合でいいスタートを切れたとはいえない。我々は同じところに立ち止まってはいなかった。」

難しい。

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この西野監督のコメントもQolyの記事ではどのように掲載されているのか見てみましょう。ESPNの記事上のコメントを和訳したものと対照してみてください。

「新体制になって、また新しい戦い方、システムもトライさせました。その中で、選手たちは短い中で、強いチャレンジ、トライをしてくれたと思います。結果、得点が生まれなかったということが、一番悔しいです。そういうスタイルを求めて戦いましたので。これは時間に決められるものでもないことで、昨日のゲームが全てではもちろんないですし。」

おそらく最後の一文が私が難しいとした文の元の日本語なのですね。

続いて、ESPNの記事の最後の部分です。サムライブルーの現状とワールドカップでのスケジュールについて記載しています。

The Samurai Blue have won just two of their last nine games and have now lost four in succession.
「サムライブルーは最近の9試合において2勝しただけであり、目下4連敗中である。」
They now play two European friendlies against Switzerland and Paraguay before the team heads to Russia.
「ロシアへ向う前にヨーロッパにてスイスそしてパラグアイと親善試合を行なう。」
Japan kick off Group H with a June 19 clash against Colombia before taking on Senegal and Poland in a bid to reach the knockout stage for the third time in their sixth appearance at the World Cup.
「日本はグループH でまず6月19日にコロンビアと対戦、そしてセネガル戦、ポーランド戦となる。ワールドカップは6回目の出場であり、3度目の決勝トーナメント進出を目指している。」

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伝えるべきことはなにか

日本語の記事と比較しますとこのESPNの記事はかなりの意訳となっていることが分かります。というよりも、このように会見で述べられた言葉を文章に起こすことは日本語でなされたコメントを日本語の記事として書き直す場合であってもかなり苦労します。話し言葉というのは、語順も不適当であったり、いい直しが挟まれたり、勘違いによる間違った言葉の使用があったりするからです。その場で聞いていれば、いいたいことは分かりますが、その話された内容をそのまま記事にすると、読者に対してはそれを読むだけでは伝わらない可能性があるのです。

それを違う言語で書き記そうといういうことがいかに困難なことかということがわかります。ですから今回のESPNの記事は意訳というよりも語られた内容をできる限り英語として意味の通る文章に再生することを意図していたということになります。

それでは、ESPNの記事がはたして正しく発言の内容を伝えているのかどうか検証するために、Qoly上の『できるかぎり口語調のまま掲載』されている西野監督のコメントを、いったんできるだけわかりやすい日本語の文章に直してみることにしましょう。

「ロシアへの出場権獲得に貢献してくれた選手、現在好調の選手、将来の活躍が期待できる選手、そういう中からいろんな要素を勘案して選考しなければなりません。簡単にはいかないのです。落選となった3人は、出場権獲得にも貢献してくれました。
そうなのですが現時点においては23名の枠に入れることはできませんでした。しかし、彼らは将来の日本サッカーを背負う選手であることは間違いないのです。監督が変わって、短期間にいろんな試みをさせました。選手たちは力強く応えてくれています。昨日の試合では、求めていた結果は出せませんでした。非常に悔しいです。
しかし、まだ時間はあります。昨日の結果が全てではありませんから。」

・選手選考の際には各選手の実績や現状のコンディションを考慮した
・期待された若手の3選手が落選した理由
・チームの現状分析と今後への思い

西野監督のコメントは、大きくまとめると、このような内容です。

そしてESPNの記事においてはこの3点はしっかりと記載されています。記者が西野監督のコメントを正確に把握し、その上で、読者が理解できる内容にして英語の記事にしているということが分かります。

語られた内容を記事として文章に書き起こし、読者がその記事を読んでできるだけ語られた内容を正確に理解できるようにするということは大変難しいことです。
生中継で話し手をそのまま映像で見て、話していることを聞くこととは違います。語り手になり代わって、伝えたいことを文章にすることが重要なのです。

ただESPNの場合は、その記事の中にはESPN記者としての評論が混じりますので、そこは読者が注意すべきところです。たとえば、今回の記事では、浅野選手の所属をあえてアーセナルと記載していること。つまりプレミアリーグのアーセナルに所属しているほどの選手が落選しているということをいいたいのです。なぜなんだというわけです。このことが見出しにもされているくらいですから。
また、本田選手や岡崎選手などをveteransと表現していること。もっと若い選手を選出すべきではないのかということを言外に匂わせています。彼らを本当に経験豊かな選手というふうにいいたいのであればexperienced playersなどという言い方のほうがふさわしいからです。しかし、このような記者の論評を目にできることもESPNを読むときの面白さでもあります。

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