前置詞withの魔術

英文法
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幅広い意味を持ち、いろいろな場合に使用することができる前置詞のwithはとても便利な単語です。たった4文字の単語ひとつで、いくつかの単語がならぶことになる句と置き換えることができます。文字数や、語数の限られた場合には、制限内に収めるために有効に利用することができます。

以下にご紹介しますジャパンタイムズの記事は、短くまとめられていますが、見出しも含めてwithが8回登場します。もしもwithを使わなければどうなるかという比較をして、withの効用を理解し、使いこなせるようになりたいと思います。

withの意味は

withの意味はご存知のとおりですが、
同伴・同居
抱合
接触・結合
一致・調和
賛意・理解
相対・敵対
手段

などととても幅広いのです。日本語に訳す際にはそれぞれにふさわしい、「と」、「で」、「に」などを当てることになります。
それでは記事内での使われ方を調べてみましょう。

ジャパンタイムズの記事内のwith

日本のパスポート所持者は180カ国もの国々にビザなしで渡航でき、それはシンガポールとならんで、世界最多であるという内容の記事です。
タイトルはこうなっています。

Japan ties with Singapore to top passport power ranking 
 by Daisuke Kikuchi, March 2, 2018
「日本とシンガポールのパスポートが最強で並んでいる」

あえてtop powerを強調した訳にしてみました。
このタイトル内のwithは動詞tieとつながる成句で「並んだ、追いついた、同点になった」などという意味です。

Japanese and Singaporean passport holders have the greatest travel freedom worldwide, with visa-free access to a record 180 countries, according to a survey by the law firm Henley & Partners.
「ヘンリーアンドパートナーズ法律事務所の調査によりますと、日本とシンガポールのパスポート所持者は最多記録である180か国へビザなしで渡航できるという世界規模で最高の旅行の自由を保持しています。」

ここでのwith以下が修飾しているのは、the greatest travel freedom 「最高の旅行の自由」です。

with visa-free access to a record 180 countries,
の部分をwithを使わない表現にしてみましょう。

that means they can enter a record 180 countries even though they are not required to get visas,

あえて長い節にしていますが、withを使わないと長い節によらなければ表現できないということがおわかりいただけると思います。visa-free access という書きかたもwithという前置詞があることによって成り立っていますから、withを使わないとなると、意味が分かるような書き方をするためには長くならざるを得ません。
ただ、このセンテンスを細かく見ますと、a record 180 countriesが少し気になります。不定冠詞aのあとに複数形のcountriesがつながってるというところです。
ここはa recordと180 countriesが同格となっていまして、間に,(カンマ)があったほうが分かりやすいと思います。つまり最多記録(a record)である180カ国(180 countries)へのビザなし渡航(with visa-free access to)ということになるのです。

According to the 2018 Henley Passport Index Ranking released Wednesday, Germany fell to second, with visa-free access to 179 countries, after ranking first for the past five years.
「水曜日に発行されました2018年ヘンリー事務所パスポートランキング順位表によりますと、過去5年間1位であったドイツはビザなし渡航可能国が179にとどまり、2位となりました。」

このセンテンスのwithも先ほどのwithと同じ使い方になっています。修飾されている単語は、ここでは Germanyです。

“Japan and Singapore rose to the top of the index after, among other developments, Uzbekistan lifted visa requirements for Japanese and Singaporean nationals in early February,” the firm said on its website. “Uzbekistan’s efforts to increase tourist inflows saw a number of other countries in Asia and the Middle East (including Turkey, Indonesia, and Israel) gaining access.”
「2月初めに、ウズベキスタンが日本とシンガポールにビザなしを認めたことにより、先進国のなかで、日本とシンガポールがトップとなりました。ヘンリー事務所はウェブサイト上で述べています。トルコ、インドネシア、イスラエルを含み、アジアや中東のいくつかの国々がビザなし渡航を認められていることに、ウズベキスタンが観光客を自国へ呼び込もうとしていることがわかります。」
Japan ranked fifth in last year’s survey with visa-free access to 172 nations.
「日本は昨年の調査ではビザなし渡航可能国は172か国で第5位でした。」

ここでwithが修飾している単語はJapanです。
withを使わない表現を試してみましょう。

Japan whose passport holders could enter 172 contries where they were not required to get visas ranked fifth in last year’s survey.

whoseからvisasまでが関係節としてJapanを修飾しています。どうしても長くなってしまいます。

Overall, nations in Asia and the Middle East have expanded the number of countries their passport holders can travel to without a visa, increasing the mobility of their citizens, the firm said.
「全般的に、アジアや中東の国々が、その国のパスポート所持者がビザなしで渡航可能な国の数を増やしてきた。それらの国々の国民の海外への移動のしやすさが増大しているのですとヘンリー事務所はいいます。」

ここにはこの文章のなかでひとつだけwithと反対の意味のwithoutが使われています。このwithoutの修飾している語句は the number of countriesで、ここでは行く先の国の数のことを意味しています。先ほどからのwith visa-free access to xxx countriesのwithの修飾している語句は旅に出る人々の国となっていることに注意してください。

またこのセンテンスでもうひとつ注意が要るのは、countriesと theirの間にwhere(あるいはここではthatやwhichもありえると思います)が省略されていることに気づかなければならないということです。目的格関係副詞(代名詞)の省略です。
目的格関係副詞(代名詞)、という説明の仕方をしますのは、目的各関係副詞whereの省略ならば、あとにでてくるtravelのあとの前置詞toは必要なくなります。それはwhereの場合にはtoまでの意味を含んでいるからです。toと書くということは、省略されているのは、目的各関係代名詞thatまたはwhichであるということもいえるのです。
しかしここは非常に細かいところでどちらであっても間違いとまではいえません。ですからwhere、that、whichのいずれかの省略ということになるのです。

さらに付け加えますと、日本の学校の英語の授業では目的格関係代名詞や副詞の省略ということが教えられますが、アメリカ人の英語においてはこれは省略というよりも表現しないのが当然の姿であるという認識がなされているようです。つまり省略されているのではなくてそれは書かれないあるいは表現されないものということなのです。ですから私たちはアメリカ人による表現を読み聞きするときは省略されていて分かりづらいと思うのではなくて、目的格関係代名詞や副詞はないのが普通だと思わなければならないのです。

This trend has been slower in their European and American counterparts, where the signing of new cross-border agreements on short-term travel has been far less frequent, it said.
「この傾向は相手方がヨーロッパやアメリカの国々の場合には拡大スピードは遅かったといえます。短期滞在者への新しい入境合意の締結が行われなかったためです。」
In Tokyo, the Foreign Ministry was pleased with the result.
「日本の外務省はこの結果を歓迎しています。」
“Allowing visa-free access to a great number of countries has been one of the major characteristics of Japanese passports,” said Yoriko Suzuki, a Foreign Ministry official in charge of issuing passports. “It brings further convenience to the Japanese people.”
「外務省旅券発行当局者(スズキヨリコ)は、多くの国々にビザなしでの渡航が許されるということは日本のパスポートの大きな特徴のひとつでした。今回1位となったということは日本国民への更なる利便性をもたらすでしょう、と語った。」
According to the survey, South Korea ranked third, along with Spain, Denmark, Finland, France, Italy and Sweden with visa-free access to 178 countries.
「調査によると、韓国は178か国へのビザなし渡航が可能で、スペイン、デンマーク、フィンランド、フランス、イタリアそしてスエーデンと並び第三位でした。」

このwithが修飾している語はあげられている7カ国です。

The United Kingdom took fourth with 177 countries and the United States fifth with 176.
「英国は177か国で4番目。アメリカは176か国で5番目でした。」

かなり省略されるようになってきました。

with visa-free access to 177 countriesが with 177 countriesに、with visa-free access to 176 countriesがwith 176となっています。

Syria, Iraq, and Afghanistan were at the at the bottom of the list, with each only having visa-free access to 28, 27 and 24 countries respectively.
「最下位にランクされていますのは、シリア、イラク、アフガニスタンで、ビザなし渡航が可能な国はそれぞれ、28、27、24ヵ国でした。」

この最後のwithの後は再び丁寧に書かれています。修飾されているのはシリア、イラク、アフガニスタンの三カ国です。
そしてhavingという動名詞を使って、この三カ国を修飾しているということをさらに分かりやすく書いています。
eachはこの場合、動名詞havingの意味上の主語で、通常はここには所有格代名詞が書かれます。ですからtheirであるべきなのですが、それぞれに違う数、28、27、24ヵ国、があてはめられるため、each、それぞれ、としているのです。
さらに文尾に respectivelyをつけて、それぞれという意味を強調しています。
onlyはわずかという意味で、28、27、24を修飾していますが、通常、動詞の前に置くことになっているので、havingの前に来ています。

The Henley Passport Index is based on exclusive data from the International Air Transport Association (IATA). Henley & Partners say IATA maintains the world’s largest and most comprehensive database of travel information.
「ヘンリー社パスポート順位表はIATAからの独占的に入手した資料に基づいています。IATAは旅行情報の世界最大かつ包括的データベースを整備しています。」

まとめ

前置詞withについて勉強するのにふさわしい英文記事がありましたので取り上げてみました。前置詞というのは英語を使いこなすときにはキーになる品詞です。多くの前置詞について詳しくなって英語力を向上させていってください。

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