大統領選:アメリカ国民は外交政策に無関心?

アメリカ大統領選もいよいよ終盤。クリントン、トランプ両候補はテロとの戦いを外交政策の重要な柱にしています。英語を学びながら、アメリカ国民の反応を見てみましょう。
(英文は、”What Americans want from the world”, Reuters.com, 2016/8/8)

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☆ 「矛盾に満ちた集団」

When it comes to foreign policy, American voters have always been a mass of contradictions. 
 外交政策に関して言えば、アメリカの有権者はこれまで常に矛盾に満ちた集団だった。

(単語チェック)
when it comes to:~のことになると、~に関して言えば
(例)When it comes to computers, nobody knows more than my father.
  コンピューターのこととなると、私の父は誰よりも詳しい。
voters:有権者《複数形》
 本来は「投票する人」、つまり有権者ということになります。
mass:集団
contradictions:矛盾《複数形》

記事の始めの部分ですが、「矛盾に満ちた」というのはどういうことか、この段階では読者にはわかりません。先を読みたくさせるテクニックです。では先に進みましょう。

The majority still believes their country is the most powerful in the world, but they see that position slipping. 
 大多数の国民がアメリカは世界一の強国だと今でも信じているが、その地位が低下していることもわかっている。

(単語チェック)
see that position slipping
 see A 〜ing:「Aが〜するのがわかる(を見る)」という形です。
slipping:(状態が)衰える、悪化する 《現在分詞》

アメリカは世界一の経済大国であるだけでなく、第二次大戦後は「世界の警察官」として、世界中の安全保障についても積極的な役割を果たしてきました。

しかし、特に2001年の「911」アメリカ同時多発テロ事件以降、イラクやアフガニスタンでの「テロとの戦い」を経てアメリカにその経済的余力がなくなっていることが、国民の目にも明らかになっています。

In many cases, they just seem to wish the rest of the planet would go away.
 多くの場合、彼ら(米国民)はただ世界の他の国と関わりがなければいいのにと思っているように見える。

(単語チェック)
planet:惑星(地球=世界のこと)

国民にとっては、政府があまり他国に関わって国力を衰えさせるようなことをしてほしくないのが本音です。しかし一方で、大統領選挙では「アメリカをナンバーワンにする」といったスローガンに心を動かされてしまうというのが「矛盾」の意味のようです。その心理をさらに読んで行きましょう。

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☆ テロとの戦い

11月の大統領選挙に向けて、民主党のクリントン候補も共和党のトランプ候補も、雇用拡大など内向きの政策課題を強調していますが、一方で国民の安全を守るテロとの戦いを無視するわけには行きません。

The recent attacks in Orlando and Nice inevitably fueled calls from both Hillary Clinton and Donald Trump to step up military action against Islamic State in the Middle East—even though the attack itself appeared homegrown. 
 最近起こったオーランド(米国)とニース(フランス)でのテロ攻撃がきっかけで、ヒラリー・クリントン候補とドナルド・トランプ候補の両方が、攻撃それ自体を起こしたテロリストは米仏に潜んでいたにせよ、中東のテロ組織IS(イスラム国)に対する軍事行動を強化すべきだという国民の声をあおったのは当然のことだ。

(単語チェック)
inevitable:避けられずに、必然的に
fueled:(感情を)あおる、刺激する《過去形》
calls:要求《複数形》
step up:強化する
homegrown:自国の(で作られた)

しかし、国内でテロ事件が起こるのは困るが海外で起こっていることに必要以上に首を突っ込んでほしくないというのが、アメリカ国民の本音のようです。

Inside the United States, many voters seem to have lost their belief that America's engagement in the world—military, economic and diplomatic—genuinely serves their interests. 
 アメリカ国内の多くの有権者は、アメリカが世界の軍事、経済、外交に大きな役割を果たすことが自国の利益になると信じなくなっている。

(単語チェック)
engagement:従事(没頭)していること
genuinely:真に

「メキシコとの間に巨大な壁を作る」「移民を制限する」というトランプ候補が共和党のレースを勝ち抜いてしまったのも、こうした背景があることは間違いありません。

To them, globalization has simply meant exporting jobs overseas while importing security problems and competition, particularly through migration.
 彼らにとって、グローバリゼーションは単に雇用の海外への輸出であり、安全の問題と競争を特に移民の流入を通じて国内に持ち込んでいるだけだ。

(単語チェック)
migration:移住、移民
 移住、移民を表す単語にはimmigration(国内へ)とemigration(国外へ)もありますが、”m”の数が違うところに注意してください。

このように、海外と関係が深まるほどアメリカにとっては不利益だと考える人が、アメリカ国内には増えているということですね。対中国でも国民の目は、軍事力、環境問題、人権問題よりも、多額の対中貿易赤字を通じて雇用が奪われていることに向いています。

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☆ アメリカの伝統

From the beginning, America's founding fathers such as George Washington and Thomas Jefferson were keen to avoid "foreign entanglements." 
 アメリカ建国以来、それを指導したジョージ・ワシントンやトマス・ジェファーソンたちは外国との関わりを避けようとしていた。

(単語チェック)
keen to:しきりに〜したがって
(例)We were keen to travel.
  私たちは旅行したくてたまらなかった。
entanglements:(関係の)もつれ、からみ合い《複数形》

初代大統領ワシントンは、離任演説の中で、「世界のいずれの国家とも永久的同盟を結ばずにいくことこそ、我々の真の国策である」と述べました、これ以来第二次世界大戦前まで、アメリカ外交の原則は「対外不干渉(孤立)政策」でした。

Only after 1945 did it show any enthusiasm for becoming the "global policeman"—and even then, it has often been a very reluctant role.
 (第二次大戦が終結した)1945年以降になって初めて、アメリカは「世界の警察官」となることに何らかの意欲を示した。とは言え、その役割でさえこれまでアメリカはしかたなく演じてきた。

(単語チェック)
enthusiasm:熱烈な興味(願望)
reluctant:気が進まない
(注)did it showはit(=アメリカ)showedが倒置された形です。

建国から200年を過ぎた現在のアメリカ国民がこの原則を意識しているとは思えませんが、外交と内政を別物と見るムードが高まる中で大統領選は進んで行きそうです。ただ、国民がどんな選択をしたとしても、世界の中でのアメリカの役割がなくなることはないでしょう。

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