英語の「電話」、もうこわくない!

ヒアリング
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英語を学んで長い年月が経つ人も、なかなか英語で「電話」をするという経験はなかったのではないでしょうか。それもそのはず、英会話を習うにしても講師と”対面”の場合がほとんどであり、オンラインの場合も結局はスクリーンで相手の顔を見て話すわけですから、いつもあなたの目の前には相手がいます。
ところが、「電話」だと音声のみが頼りです。そこにはジェスチャーも表情もなく、まさに純然たる”英語力”が必要とされる場面なのです。このため英語での「電話」を苦手とする方が非常に多く、また筆者もつい最近までその一人でした。今回は、苦手意識の打破とその方法について記していきます。

英語の「電話」はここがイヤ!

なんと言っても「自分のリスニング力に自信がないからイヤ」という理由が筆頭に挙がりますね。相手が目の前にいればなんとかなりそうな気がするのに、音声のみでやりとりを完結させなくてはいけないとなると心理的ハードルが一気に高まります。聞き返しばかりしては怒らせてしまうのではないか、要点をわかっていたつもりでズレていたらあとで大変なことになるのではないか…と不安は尽きません。

解決① はじめから「聞き取れない」と伝えてしまおう

たとえば外資系の会社にお勤めの場合、かかってくる電話が外国からというのはよくある話だと思います。相手もあなたのことを「英語でできるから〇〇社に勤めている」のだと当然思っていることでしょう。こうなると機関銃のように早口で話が展開されてしまいますし、こちらもスピードについて行けません。
こんなときは「Please bear with me.」とひとこと前置きをすればスムーズです。直訳すれば「私に寛容になってください」ですが、これはさまざまな場面で有用なフレーズです。慣れないことにモタモタ時間がかかってしまうときにも言いますし、ここでは英語を一発で聞き取ることができないのでご堪忍くださいという意味合いで使っています。いわゆる Please be patient. をビジネスシーンで言うと Please bear with me. になるということです。
とにかく正直に「聞き取れない」ことを伝えることが、のちのトラブル防止につながります。究極の選択としては、はじめから自分は英語のネイティブスピーカーでないことを伝えてしまうのもよいですね。以下のように言ってみましょう。

【例】
Please bear with me. I’m trying hard but I can’t catch what you say, so it would be nice if you could talk slowly.
(すみませんがどうしても聞き取れませんので、ゆっくりお話しくださると助かります)
Bear with me please, ma’am. I’d get someone instead who can better communicate in English. Could you hold the line?
(お客様、ご面倒をおかけします。英語がわかる者につなぎますので、このままお待ちくださいませんでしょうか?)
Excuse me, sir. I’m not a native speaker of English so I’d appreciate if you could kindly say that again.
(申し訳ありません。英語の母語話者ではないもので、もう一度言っていただけたらありがたいのですが)
Oh, wait a moment please. Let me get something to write with to jot down your English one by one.
(あ、お待ちください。あなたの英語を1語ずつメモをとるのに何か書くものが必要でして)

解決② いきなりミス! かけ間違いをしてしまったとき

英語で「電話」をかける緊張のあまり、電話番号を間違えて電話口にまったく知らない相手が出たとします。日本でなら丁重に詫びの言葉を言ってから電話を切るようにする方でも、英語では Oh, sorry! なんて瞬時にガチャンと切ってしまうこともあるのではないでしょうか。この姿を職場で上司に見られたら致命的です。
ここは定型表現を覚え込むに限ります。簡単な言い回しですので、ぜひきちんと日本人らしい礼儀をもって相手にお詫びのひとことを伝えてください。相手も That’s all right. と流してくれることでしょう。

【例】
I’m sorry, it seems I had a wrong number.
(すみません、番号を間違えたようです)
I’m sorry but I’ve dialed the wrong number.
(ごめんなさい、誤った番号にかけてしまいました)
Oh, isn’t this 123-456?  I’m so sorry at this late evening.
(あら、こちらは123-456番ではないのですか? それは夜分に失礼しました)
Let me verify the number.  Is this 123-456?  Oh, please excuse the call.
(番号を確認させてください、123-456番ですか? ああ、それは申し訳なかったです)

解決③ 相手からの間違い電話にはこう対処

この場合はあなたに心理的負担はないと思います。シンプルに定型表現で伝えれば大丈夫ですし、まあ多少言い間違えたとしても今後つきあう相手ではありませんから気にしないでいきましょう。

【例】
You must have the wrong number.
(番号をお間違えのようですね)
What number are you calling?
(何番におかけですか?)
There’s no one here by that name.
(こちらにそういった名前の者はおりませんが)

解決④ 緊張度MAX! はじめての相手に電話するとき

特に気を遣うのが、顔も知らないはじめての相手に電話をかけるときでしょう。アポイントをとりたいときなどは、相手に不審がられないようにどうやって連絡先を得たのかを明らかにし、また先にあなたの要件を簡単に伝えてしまうのも手です。こちらがあまりにも限られた情報しか出さないと、不必要に相手に警戒心を抱かせてしまいますので、くっきりはっきりした英語で伝えましょう。こういったときは英語の上手い・下手ではなく、あなたが”誠実そうであるかどうか”に力点が置かれます。話しぶりにノンネイティブらしさが出てしまってももちろん構いませんので、とにかく第一印象をよくするよう心がけましょう。

【例】
This is ○○, a Japanese translator and I’m calling for the first time.
(日本人翻訳家の○○と申します。はじめてお電話させていただきます)
I got your number from your website and I wonder if I could speak to a person in editorial section. I’m a writer at XXX.
(ウェブサイトを拝見してお電話をしたのですが、どなたか編集部の方とお話しできないものかと思いまして。こちらはXXX社のライターなのですが)
Hello, sir. My name is Taro Yamada and I’m one of the graduates at ○○ university.  Prof. XX gave me your number.
(こんにちは、○○大学卒業生で山田太郎といいます。XX教授から先生の番号を教えてもらったのです)

解決⑤ こまかいことは「あとで」!

用事をすべて電話で解決しようとするのは、英語学習者にとっては特に上級技です。なぜなら、こちらから伝えたい内容は予行演習でなんとかなるものですが、相手の発話内容をきちんと100%理解するのは次元の違う話です。たとえばあなたがコールセンターなどに電話をして、オペレーターから正しい手順をあおぐ場面などがそうですね。
つい「わかったふり」をして話を聞き続けてしまうと、修復がたいへん困難です。自分の理解力に自信がないことを正直に告げて、こまかいことはあとで落ち着いてチェックできるように何かしらの手助けをあおぎましょう。メールで箇条書きに直してもらうですとか、マニュアルのようなwebサイトがあれば紹介してもらうですとか、相手の手間はかかるもののそれに対してあなたが丁重に謝意を述べれば大丈夫です。それよりも、あなたの用事を確実に片づけることのほうが大切です。解決しないで泣き寝入り、なんてことは絶対に避けましょうね。

【例】
Excuse me, I’m afraid I don’t understand fully. Do you have a website which has illustrations or pictures so that I can understand easily?
(すみませんが、全部は理解できないようです。わかりやすいように絵か写真のあるウェブサイトは御社にありませんか?)
OK. I got the point but I couldn’t catch the precise information you gave me. Could you send me the detail by email?
(はい、だいたいはわかりましたが教えてくださったこまかい情報がうまく聞き取れませんでした。メールで詳細を送ってもらえないでしょうか?)
I’m sorry, but could you repeat one by one from the top? I took notes and I’d like to make sure if I’m right.
(すみませんが最初からもう一度おっしゃってもらえますか? 自分のとったメモが正しいかどうか不安なので)

ノンネイティブにとってリアルな「電話」での窮状を想定して、いくつかアイディアを上に述べさせていただきました。カッコつけずに相手の言うことが「わからない」なら「わからない」と告げたうえで、それでも必ず用件は済ませるという強いハートを持ってくださいね。

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