学生時代は、ずっと英語が苦手でした。
美術系大学志望ということもあって、学科試験よりも実技重視なのをいいことに、英語の勉強は高校を入学してすぐに、自分の中ではストップしてしまいました。
それから時は流れ、
私はある仕事につくことになるのですが、
その部署というのは英語が必須のところでした。
どうやら、人事が何を間違えたのか、英語が苦手な私に毎日英語漬けになるような異動をしたのです。
本気で「クビに追い込む気なのだろうか?」と配属が決まった時は思ったものです。
しかし、あんなに苦手意識があって、英語が出来ない私なのに、その仕事は予想を超えて楽しかったのです。
どういうことかというと、今まで学生時代に英語は学習したとはいえ、「英会話」ということを殆ど体験してこなかった私は、つたない英単語を組み合わせたり、その英単語を簡単に文法に当てはめるだけで、目の前にいる欧米のクライアントが理解してくれるという感覚が、飛び上がるぐらい嬉しかったのです。
「あれ、わたし、英語話せちゃっているじゃん!」なんて思って舞い上がっていました。今考えてみると、取引先の私に対して、どうにかして私のキタナい英語を理解しなくてはいけないと思ってのことだと思うのですが。
私は本当に英語が出来なくて、その部署に配属になってから、
あっという間に自分の化けの皮が剥がれたのですが。
それから「英語が出来ない人」で有名になりました。
そして先輩からは、「お願い、ラジオ英会話講座の基礎1から聞いてね」といわれる始末。
ラジオの英会話講座を聞いてらっしゃる方は、おわかりだとおもいますが、基礎1というのは中学1年生の英会話レベル。まさにABCのアルファベットからの学習のことです。
そのぐらいお粗末な英語の知識でした。
それでも、私は英語を学ぶことが楽しかったのです。
参考書を買いあさり、英会話教室へ通い、職場ではいつも英語でこういうことを言うときは、何て言うんだっけ?と考えていたおかげで、あれから勉強し続けて10年、今では対等に英会話をこなせるようになりました。
こんな風に、文章にするとあっけないですが、
本当に、挫折感と達成感の繰り返しでした。
たとえば英語の試験で努力して良い点が得られたとしても、
ネィティブによっては、私の英語の発音で全く通じなかったり、
あと、世の中には辞書にのっていない英単語というものがあふれていること。
英語をどんなに勉強しても、わからないことは泉のように湧いてくるということ。
でも、あの社会人の経験があったからこそ、今ではどこの国の人でも英会話で自分の気持ちを伝えることが出来るようになりました。そのことは、かけがえの無い私の財産です。あの落ちこぼれだった私を、クビにせずに暖かく見守ってくれた同僚や上司にも今は感謝の気持ちで一杯です。