英語リスニング力を「仕事力」として考察してみる①

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こんにちは。元・英語教材編集者のころすけです。教材系の出版社を退職したあとは、都内で外国人向けの個人ツアーガイドをしたり、英語試験の面接官をしたり、塾講師をしたりして、なんとなく「英語を使いながら」仕事をしています。
雇用内容により待遇はそれぞれ違いますが、その前に「求められる英語力」がこんなにも違うものなのかと驚いた場面がいくつかありました。そのなかでも特に、コミュニケーションの根幹となる「リスニング力」が個人的に注目すべき点であると感じています。個人の経験と照らし合わせて、いくつか思うところを述べてみたいと思います。

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どの程度が「聞き取れる」と判断できるレベルですか?

そもそもの定義の話になりますが、英語話者の言っていることをどの程度理解したら、あなたは「聞き取れている」ことになるのでしょうか? この定義づけは非常に大事で、通訳業を生業とするならば、聞き取りが「だいたいでOK」ということはまず起こり得ません。相手方の言語に正しい内容でアウトプットするためには、95%の聞き取りでも厳しいと思います。残り5%を経験だったり想像力だったり、その場しのぎで仮に補うことができたとしても、通訳従事者にとってそれはいわゆる「ピンチ!」なエピソードになるのでしょう。聞き取り力としては、やはり100%が求められる世界なのでしょう。
通訳ともなると、二者間の明確な意思相通を実現するためのアシスタントとして期待されることが非常に多く、正しく聞き取ったあとに、さらに正しく同じ内容を別内容で伝え直すことも必要です。こうなってくると、「聞き取れません、もう一度お願いします」なんてことが言い出しにくい状況であることはご想像どおりです。
一方で、筆者のサイドジョブである外国人向け訪日ツアーガイド職においては、お客様への聞き返しが許される状況にあります。早口でお客様がなにかおっしゃっているときには「もう一度お願いします」と尋ねることは存分にOKです。あまりに頻繁な聞き返しでない限り、相手方もこちらをノンネイティブとして寛容に接してくれます。相手の発したセリフがスラング混じりでなかったかなど、逆にこちらに気を遣ってくれることもしばしばあります。それは、旅行者がガイドに求めることは、安全な旅程管理と、多少のエンターテイメント性であるからでしょう。英語のプロではなく、観光業のプロとしてこちらを見ているからです。
こうして仕事内容によって、英語リスニング力、ならびにアウトプット力に大きな差がある場合も、一律して日本人は「英語で仕事をする人」として我々を同一線上にとらえ、なんとなくどちらにもリスペクトを払う傾向にあるように筆者は感じます。「へえ、英語できるんだ、すごいね! それで仕事しているんだね!」と、かなりザックリした感想を持ってくれることでしょう。実際はその職に就くためのトレーニング法も違えば、たどり着くまでのキャリアパスももちろん違うわけで、聞き取れる英語のレベルにしても、「100%どんな英語でも大丈夫!」なのか「まあ8割オッケー」なのかで全然違うものなのですけれど…。ちなみに筆者は、全然ダメなほうに入ります…。

4択問題で絞り込みに迷ったら、実際の理解度はかなり怪しい

日本国内の多くの英語試験でリスニング問題が課されていますが、だいたいは3択ないしは4択で「正しいものを1つ選べ」と問われることでしょう。単なる英語のリスニング能力だけでなく、サマリー力を問われるものが昨今は主流で、要は「これまで話されてきた内容から、どんな言動がAさんにとっての最適解であるか?」を受験者に問うてきます。What did the man say? ではなく、What will the man probably do? と条件を整理して登場人物がとりうるべき行動を選ぶ問題なんかがいい問題例です。
この時点で、情報整理力がつたないとベストな判断はできません。英語聞き取り力がいい加減でも、持ち前のサマリー力でうまくカバーする!なんてことは、実は無理なんです。なぜなら、細部の聞き取りなしに、すべての条件をいったん頭の中で並べて比較するなんてことはできないからです。
検定試験では、“7割”正解でだいたいのケースでは合格としているように見受けられます。それでも、実際のグローバルな仕事現場で英語試験の正解率が7割程度なんて…使い物になるのでしょうか…!? 外資系企業だと、昨今は少しずつ英語で会議がおこなわれるようになってきているはずです。このとき、検定試験で”7割”正解だったような人は会議の流れをすべて追うことができているんでしょうか? 発言を求められたとき、「今、何をきかれているんだろう?」とドギマギしながら口を開くのか、堂々と自分の発言に集中して述べることができるのかで、聞き手側にしてみれば明らかにパフォーマンスは違って映ります。また、会議の議事録担当を指名されたら悲惨です。これだと如実にリスニング力が試されますよね。今やペンタイプの録音機も安価で出回っていますから、録音内容の再生を前提とした議事録作成は可能でも、時間と労力を考えればあまり現実的ではありません。こういうのはネイティブ並みに英語ができる人が、率先して会議のまとめ・進行役/議事録作成役にまわってほしいな、と個人的には強く思います。

筆者の場合は…

筆者の場合は、英検1級のリスニング問題が6割程度しかできませんでしたが、英作文問題などほかの得意ジャンルでカバーしてかろうじて合格を得ました。こんな状態で英語を使う仕事を始めてしまったものですから、正直に言ってしまうと自分が情けなくて仕方がないときがあります。アメリカやイギリスに1年ほど留学していれば別だったのかもしれませんが、中華圏への留学だったので英語半分/中国語半分の中途半端な仕上がりで帰国し、英語関連の仕事はいつも自信がないまま応募して、ギリギリ採用してもらうという状況が続いています。英検1級を取得したあとも、通訳案内士(英語)を取得したあとも、常に自分の中途半端な感じは気になっています。
英語試験のリスニング問題には、あくまで試験問題として録音された明確な発音でのスクリプトが再現されているだけです。答えも間違いなく1つに絞り込めるよう、選択肢は試験実施前に精査されています。これで100%正解を果たすことは、言ってみれば必須なのでしょう。くっきり、はっきりした発音、論理的な会話の展開、調整された発話スピード…、これはグローバルビジネスの最前線で働く人たちには朝飯前のレベルなのでしょう。実際は人は言いよどむものですし、賛否どちらにもつかない人もいて、タスク内容も締切も担当部署も会議中に名言されずに、グレーな会議が日本中のここかしこで開かれています。日本語ですら、会議中の交通整理をすることは至難の業と言えるでしょう。筆者にはとても外資系企業で勤めるなんてできません。想像するだけで胃が痛くなります。

考えれば考えるほど、自分の英語の至らなさが浮き立ってしまい悲しくなるのですが、職業によっては英語リスニング力がそこまで高くなくてもいいものが確かにあることにも気づきました。まさにそれは、ガイド業です。英米圏からお越しのゲストの言っていることは、ご想像どおり口調が早くて100%の聞き取りは無理です。早さのせいなのか、スラングのせいないのか、それすらも判断できないこともあります。失礼を承知のうえで、1日のうち何度も聞き返してしまいます。
逆に英語圏以外のお客様とは、95%以上の正確さで意思疎通できている自負があります。ノンネイティブどうしならではの、「言っていることを完全に聞き取ってもらえるように話そう」という無意識がはたらいているからかもしれませんね。もちろん相手方は流暢で、完全に英語を操っている人たちです。筆者のほうが相手よりデキたなんてことは一度もありませんでした。
こんな筆者でもなんとか業界の片隅でフリーランスとして観光ガイドを受注できる状況をかんがみると、顧客満足度のベースとなるのはガイドの英語力ではないのでしょう。英語力がまったく気にしないポイントであるとは思えませんが、それでもせいぜい評価の30~40%のような気がします。ガイドのホスピタリティ、もっと言えばパーソナリティでジャッジされる世界のような気がします。リスニング力より、アウトプット力のような気がしてなりません。

ご覧になった皆さまには、リスニングが苦手な筆者の体験から今回は少しネガティブな文章に感じられたかもしれませんね。それでも、正確なリスニングを期待されてようやく任される仕事と、そうでない仕事が世の中にはあることを、ぜひ皆さまに知っていただきたくご紹介させていただきました。ご参考となれば幸いです。

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