訪日外国人向けバスガイドのココが大変!

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こんにちは、ころすけです。
ふだん複数の仕事をかけもちしながら、月のうち1/4~1/3ほどは訪日外国人向けの都内ガイドをしています。個人のお客様もいれば団体のお客様もいらっしゃるわけですが、本日は団体さんのご案内のうち特に「バス旅行」のエピソードをいくつかご紹介したいと思います。少しでもバスガイドの仕事にご興味を持っていただけたら幸いです。

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その① 日本といえば「桜」! 期待をあおる宣伝の恐怖

 さて日本にいらっしゃる方の多くは、よほどの事情がない限り「寺社仏閣」に「寿司・天ぷら」をもれなく旅程のどこかで楽しんでもらうことができます。それと同じように、春に日本旅行に来ればもれなく「桜」も見られると思い込んでいらっしゃる方が実に多く、海外旅行社のパンフレットには「桜旅行」なんて銘打っている商品(コース)もあるんです。

 実はこれ、ガイドにとっては恐怖です。海外の受注会社はお客様の期待を膨らませるだけ膨らませて、「あとは日本でよろしくね!」ということですから、ガイドは大忙しです。確実に桜を見られるように、開花日程に合わせて旅程を変更することもありますし、また一分咲きなのか三分咲きなのかで印象が全然違うことから、早朝や夜のプライベートの時間を使って桜スポットと呼ばれるところへあちこち下見に出たりします。この下見のおかげでバスの中で事前にしゃべる内容を変更することができ、お客様の「期待感」を調整します。八重桜はソメイヨシノに比べて遅咲きのため、いつも救世主的存在です。

 バス旅行の場合は、広島→京都・大阪・奈良→名古屋→東京のいわゆるゴールデンルートで北上してくることが訪日旅行の1つのお決まりパターンなんですが、温かくなりすぎて広島でも京阪神でも桜がまったく見ることができず、すがるように「東京でなんとかなりませんか」と引き継ぎが来たときは冷や汗タラリです。ソメイヨシノ以外の桜がまだ咲いているところを、大急ぎで探します。一般の人たちが投稿するtwitterなんかを参考にしています。

その② 人数確認が大事

朝の出発前に、またトイレ休憩後にバスに戻るときに、お客様の人数を数えることは基本中の基本です。わかりやすく点呼制にしてしまいたいところですが、軍隊ではないのでさすがに点呼は失礼にあたります。また、お客様に指をさして数えることも厳禁です。手のひらを空に向けて、その手をお客様の胸のあたりの高さに持ってきて「1,2、3…」と数えるのが業界ルールとなっています。これなら相手をリスペクトしている感じが出ますよね。(逆に指さしだと、図らずとも「上から見下している」感じが出てしまいます。)

お客様が全員バスに着席していれば人数確認は何にも問題がないんですが、いったんバスから降りるとお客様もその場にじっとしていませんのでうまく数え切れません。数えているあいだに、動き回ってしまうんです。2回も3回も数え直すことも日常茶飯事です。「カウンター」という名前の小道具を握りしめて、カチカチと音を鳴らしながら数えるガイドもたまにいます。
またこれは筆者個人の悩みにすぎないのかもしれませんが、どうも西洋人の顔つきがみな一様に同じに見えてしまい、なかなかお客様の区別がつきません。冬場は紺色や黒色のダウンジャケットにジーンズという身なりが非常に多い彼らなので、さっき話しかけられたあの人とこの人は果たして同じ人なのか!?と思うことすらあります。

その③ 撮影ラッシュ

 今はだれもがスマホでパシャパシャと写真を撮る時代です。データでいくらでも蓄積できて消去も自由ですから、かつてのインスタントカメラのように「現像代がもったいないから、とっておきの場所で1枚1枚を大事に撮ろう」という心構えは現代のトラベラーには皆無です。そのせいか、観光地でもなんでもない場所でも、通りがけに目についたものは片っ端から撮っていくお客様の多いことといったらありません。
 女子高生の制服や駅前のホームレスの姿など、日本社会のリアルを撮ろうとする外国人旅行者が実は珍しくないんです。冬だと日本の通行人みんながマスクをしているのが彼らには非常に奇異に映るようで、彼らに言わせれば”格好の被写体”となるそうです。そのたびごとにガイドは「トラブルになったらどうしよう…」とひやひやしながら、すみませんが人を対象にした写真はご遠慮くださいとお願いをします。
 またついでにお伝えすると、観光地ではガイドはよくカメラのシャッター押しを頼まれます。明治神宮の鳥居の前や、お台場の自由の女神像の前など、お客様の個人(または2~3人グループ)の写真をひたすら撮りまくります。さすがにカメラマンの腕前は求められませんが、ほかにだれも写り込まないように立ち位置に気を配ったりします。撮るのにしゃがみ込めば地面に膝がついてしまいますよね。そこでジーンズなど破れにくい素材のボトムをチョイスするようにしています。白のボトムは膝の汚れが目立ちやすいので絶対に選びません。

その④ 交通規制との兼ね合い

 たとえば観光のメッカである東京都東部の「浅草」ですが、バスの乗降が可能な場所は厳格に指定されています。降りるところと乗るところは異なる場所になることがほとんどで、お客様の自由時間後の集合は「バスの前で」なんて簡単に言えないのがツライところです。当然、遅刻者はもちろん迷子も出ます。
 お客様によっては全員が65歳以上の女性陣ばかりということもあります。その場合、「ここにバスはお迎えに来れないので、すみませんが5分ほど〇〇まで歩いていただく必要があります」とアナウンスするととたんにブーイングの嵐です。年齢的なこともあって長く歩く体力がないのは確かに気の毒ですね。おばさまパワーも相まって、ガイド側が押し切られるのが常です。こういうときはドライバーと相談して、本来ならば禁止されている場所にバスを停めて、警察にバレないようにささっと乗り込むようにしています。今のところまだ一度も警察に声をかけられていないので、筆者の場合は単に運がいいんでしょうね。何かあればバス会社に迷惑がかかるだけでなく、ドライバーさん個人の運転経歴にも傷がついてしまうので、とても気を遣います。

その⑤ ドライバーへの配慮

 ドライバーの方は、基本的には日本人です。でも英語が話せない方がほとんどです。たとえばお客様のうち1人が「具合が悪いので、この観光地はギブアップしてバスの中で1時間ほど休みたい」とリクエストがあったとします。その場合ガイドは15分に1回ごと、ドライバーに電話を入れてお客様に何か異変がないか、ある場合は電話を代わってもらい直接やりとりをする、といった対応をします。
 またドライバーの方は、常に交通規制との闘いやスケジュール遵守で神経をすり減らしています。旅行のトップシーズンの場合は駐車場が空いていない場合もあり、そのときは近くを「流し」て走ってもらいます。道路を走って集合時間まで時間を潰してもらうということです。これはドライバーの立場ではたいへん酷なことと言えます。1日のうち5つほど観光地をカバーするのが都内バスツアーの常ですが、待機中に3回も4回も「流し」が発生すると、ドライバーは食事をとることができません。ドライバーのために、ガイドがコンビニで片手でも食べやすいおにぎりやサンドイッチなどを調達してくることもあります。

その⑥ ランチタイムは激務中の激務! 時給5000円欲しいぐらい!

 バスガイドもお客様と同じ席で食事をとることが多いです。団体枠で事前に予約しているレストランで、お客様の食事のアシストをすることが求められるからです。レストランに英語を話せるスタッフがいる場合もごくまれにありますが、ほとんどの場合はそうではありません。ガイドはレストラン側とお客様の通訳の役割を担います。
 たとえば定食についてくる味噌汁は、西洋人ならばスプーンを欲しがります(彼らはお椀で直接すすらない文化で育ったからです)。必要としている人のところに必要なものを調達してあげるのもガイドの仕事の一部です。
別の例を挙げますが、ランチは全員同じメニューを予約してはいるとはいえ個別に日本酒やビールの注文をしたいというお客様がいつも一定数いらっしゃいますから、ガイドは注文と個別会計のアシストをします。消費税まで含めて、「このテーブルは合計〇〇円追加で、△△さんはいくら、△△さんはいくらです」と計算をしてあげるのです。会計の段になって「日本円がもうない」なんて言われたら地獄です。いったんガイドが立て替えてあげて、一日の終わりに両替+精算をします。

ほかにも、席予約だけしてあり注文は自由におこなう場合は、多忙を極めます。メニューに載っている料理の説明から始めなくてはいけないからです。写真付きのメニューもありますが、天丼だと「この茶色いブニョブニョしているものは何が入っているの?」と写真を一見するだけではわからない天ぷらの具材の詳細を尋ねられたりします。寿司屋の例だと、同じ赤身・白身でも魚の種類が違いますから、その説明もしないといけません。「〇〇さんはワサビを入れてOK、〇〇さんはワサビ別添え、○○さんはワサビなし」なんてことも寿司職人さんに伝えます。すべてを終えてからガイドはようやく自分の食事となるわけですが、残り時間もほとんどなく、寿司10貫を3分で早食いするなんて状態です。

その⑦ でも、いいことだってあるんです!

バスガイドにとっていいこと、それは何と言ってもお客様にかわいがってもらえることです。年齢が1まわりも2まわりも違うお客様のグループだと、特に「My daughter in Japan.」なんて言ってくれます。別れ際の握手でギュっと1000円札を握らせてくれるなんてこともしばしば。いわゆるチップですね。
怒涛のランチタイムを過ぎたあたりから急に、朝の”緊張ガチガチ”の自分はすっかり消え、自分もなんだかお客様をいとおしく感じ始めます。味噌汁をスプーンで飲む所作がかわいらしいと思えたり、日本円と韓国ウォンが混じっていてぐちゃぐちゃの財布に母性本能をくすぐられたりします(日本まで直行便がない場合はソウル経由や香港経由はよくあります)。
また観光先で彼らの写真をパシャパシャ撮っているうちに、レンズ越しにのぞく笑顔が「この仕事をしていてよかった!」とたびたび思わせてくれるんです。
ちょっとクサいかもしれませんが、人を喜ばせる仕事がしたいという欲求を見事に叶えてくれるのがガイドです。大変なこともある反面、やり切ったときの充実感がほかのどの仕事よりも大きいと個人的には感じています。

いかがでしたでしょうか。訪日旅行者がますます増える昨今です。あなたも一緒にガイド業に就いてみませんか?

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