どこまでが無料でもいいのか?「Defining Property」から学ぶ

映画・本のフレーズ
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インターネットの情報というのは、ほとんどが無料です。音楽や、映画をはじめ、多くの無料コンテンツを楽しむことができる時代となりました。そんな中で、コンテンツを配布している側は、いったいどのような収益方法で利益を出していかなければならないのでしょうか。

どこまでが無償で、どこまでが有償となりうるのか。考えさせられるエッセイ「Defining Property」を一つ紹介します。
(原文:http://paulgraham.com/property.html

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:匂いもそのお店の商品のひとつ

As a child I read a book of stories about a famous judge in eighteenth century Japan called Ooka Tadasuke. One of the cases he decided was brought by the owner of a food shop. A poor student who could afford only rice was eating his rice while enjoying the delicious cooking smells coming from the food shop. 

子供の頃、私はオオオカタダスケという18世紀の日本で有名な裁判官の話を読んだことがあります。彼が裁いた案件のひとつに、飲食店の店主が持ち込んだものがありました。貧乏で米しか買う余裕がない学生が、その店から醸し出される匂いからご飯を食べていたということです。

The owner wanted the student to pay for the smells he was enjoying. The student was stealing his smells!This story often comes to mind when I hear the RIAA and MPAA accusing people of stealing music and movies.

その店主は匂いの代金を支払ってもらいたかった。その学生は「彼の匂い」を盗んでいたというのだから。音楽や映画を盗んだといって、RIAA(レコード協会)やMPAA(映画協会)が人々を訴えていることを聞くと、いつもこの物語を思い浮かべます。

・As a child:子供のころ
(Asには、原因・理由、譲歩、比較、比喩といった様々な使い方があります。)
・be afford to:余裕がある
・come to mind:思い浮かぶ

通りかかる時に、いつも美味しそうな匂いが醸し出ているお店はありませんか。ついつい、寄ってしまいがちです。さすがに、今回の例のように、その匂いを楽しみながら、ご飯を食べるなんてことはないかもしれませんが。匂いにお金を請求されたことはないと思いますが、後者に説明されている音楽や映画の例はよく聞きますね。

:データもまた、匂いのように広がる

The reason so many people think of property as having a single unchanging definition is that its definition changes very slowly. But we are in the midst of such a change now.

そんなにも多くの人たちが「所有していること」に、ただ不変の定義しかないと思い込んでいることは、その定義の変化がとてもゆっくりであるからです。しかし、私たちは今まさに変化の最中にいるのです。

The record labels and movie studios used to distribute what they made like air shipped through tubes on a moon base. But with the arrival of networks, it's as if we've moved to a planet with a breathable atmosphere. 

レコード会社や映画スタジオはこれまで、月面基地でチューブから空気を配るようにして手がけたものを配布してきたのです。しかしネットワークの到来により、まるで大気圏のある惑星に移住してきたかのような状態になってしまっている。

Data moves like smells now. And through a combination of wishful thinking and short-term greed, the labels and studios have put themselves in the position of the food shop owner, accusing us all of stealing their smells.

もはやデータは匂いのように広がるのです。そして、楽観的な考えと、浅はかな利益を前に、映画・音楽業界は前述したような飲食店の店主の立場を選び、訴えてしまったのです。

・distribute:配布する
・atmosphere:雰囲気、空気

私たちは平然と空気を吸って過ごしてはいますが、火星や空気のないところでは空気を買わなければならないのです。普通の場所では、なにも考えずとも手に入るものが、別の場所では、致命的なものとなり、価値があがるのです。しかし、果たして、そんな匂いを商売にすることは正解なのでしょうか。

:資産の定義を、テクノロジー発展とともに変えていこう

Ultimately it comes down to common sense. When you're abusing the legal system by trying to use mass lawsuits against randomly chosen people as a form of exemplary punishment, or lobbying for laws that would break the Internet if they passed, that's ipso facto evidence you're using a definition of property that doesn't work.

最終的には、常識の問題となってくるのです。見せしめのように、任意に選んだ人々への大量の訴訟をしようと法律を悪用したり、通ればインターネットが使えなくなるような法案を議会に働きかけたりしているのであれば、それ自体、うまくいかない方法だったとしても、ちゃんと働いていない状態で「所有していること」を定義していることになるのです。

・Ultimately:最後に、ついに
・abuse:乱用する、裏切る

Private property is an extremely useful idea—arguably one of our greatest inventions. So far, each new definition of it has brought us increasing material wealth. It seems reasonable to suppose the newest one will too. It would be a disaster if we all had to keep running an obsolete version just because a few powerful people were too lazy to upgrade.

個人の所有物という考えは非常に有意義なものでしょう。おそらく、人類最大の発明の一つにもあたるでしょう。これまではその定義が新しくなるたびに物的な豊富さがもたらされてきました。最新の定義でもそうなると、推測することはおかしなことではないことでしょう。それなのにもかかわらず、極めて少数の権力がある人たちがアップグレードをすることに怠惰な姿勢をとったという理由により、私たちが時代遅れのバージョンを使い続けなければならないのです。それは大損害に違いありません。

著作権は、作り手を守るとても大切な概念です。しかし、インターネットの発展と並行して、その権利の考え方は古いものとなってきています。技術の発展とともに、法律的な定義もまた、変化させていかなければならない時代です。明日まるで違う定義がなされようとしているのです。

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