『ダブリン市民』から学ぶ、いろんな英単語、表現方法~1

アイルランドの作家、ジェームズ・ジョイスの名作『ダブリン市民』を読みながら、普段はあまり目にすることのない英単語や表現を学んでみたいと思います。

およそ100年前に書かれたこの作品は、当時のアイルランド、ダブリンの社会や人々の様子をよく描いています。日本でも多数の翻訳が出版されています。
また、すぐれた英語の作品として、大学の教養課程の英語のテキストとしてもよく使われています。

15の短編からなるこの作品の最初にでてきます、The Sisters(姉妹)を読み進めていきましょう。

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The Sisters

There was no hope for him this time: it was the third stroke.
今回はもうだめに違いなかった。なぜなら彼にとっての三回目の発作だったから。

– コロン(:)を使用してすっきりとした文章になっています。
このセンテンスのコロンの後の記述は、前の部分の説明となっています。
– stroke: 病気の発作。

Night after night I had passed the house (it was vacation time) and studied the lighted square of window: and night after night I had found it lighted in the same way, faintly and evenly.
夏休みだったこともあって、毎晩、僕はその家を通り過ぎるとき、四角い窓からもれてくる光をよく見た。毎晩、同じようにかすかなそして均一な光に照らされているのを確認していた。

– このセンテンスのコロンの後の記述は、前の部分のよく見た状況を詳細に説明しています。
– study: じっくりと見る。動詞の study には「勉強する、研究する」などのほかに、じっくりとよく見てみるという意味があります。
– faintly and evenly: かすかにそして均一に。

If he was dead, I thought, I would see the reflection of candles on the darkened blind for I knew that two candles must be set at the head of a corpse.
もしも彼が死んだなら、 暗いブラインドにろうそくの炎が浮かび上がっているだろう。なぜなら僕は 亡骸の枕元に二本のろうそくがおかれると知っていたから。

– for: 接続詞。なぜならば。because と同じ意味。for は幅広い意味を持つ前置詞として使われますが、まれにこのように理由を示す節を導く接続詞となります。and、or、so などと同じ等位接続詞となります。because との違いは、because は従位接続詞であるということです。なぜ等位接続詞 for を使っているかといいますと、for 以下に記述されている「自分は亡骸の枕元に二本のろうそくが置かれると知っていた」ということを強調するためです。この主人公の少年は自分は死者に対する儀式についての知識をしっかり持ち合わせているということをはっきりさせておきたいということです。
– corpse: 亡骸、遺体。

He had often said to me: “I am not long for this world,” and I had thought his words idle. 
彼はしばしば僕に「自分はもう長くはない。」と語っていたが僕はそんなことはなかろうと思っていた。

– idle: 意味のない。空虚な。この場合は his word が idle 空虚な言葉であると考えていた、つまりまだまだ死んだりすることはないと思っていたという意味です。

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Now I knew they were true. 
しかし今そのとうりになりそうであった。

– they: 前の行の his words を指す。

Every night as I gazed up at the window I said softly to myself the word paralysis. 
毎晩、その窓をじっと見るとき、麻痺ということばをつぶやいた。

– paralysis: 麻痺。

It had always sounded strangely in my ears, like the word gnomon in the Euclid and the word simony in the Catechism. 
その言葉、麻痺、は僕の耳にはいつも不思議に響いていた。まるでユークリッド幾何学ののノーモンという言葉や教理問答のシモニーという言葉のように。

– It:paralysis 麻痺を指しています。
– gnomon: 平行四辺形から相似する平行四辺形を切り取った残りを指す幾何学用語。日時計という意味もあります。
– Euclid: ユークリッド幾何学。
– simony: 聖職売買。聖職者として祝福や赦免といったことを金銭で売買することで、ローマカトリックでは罪とされている。
– Catechism: 教理問答。主に子どもに対してキリスト教の教義を教えていくことを意味しています。

But now it sounded to me like the name of some maleficent and sinful being. 
しかし今それは悪事を行なう罪深い存在の名前であるかのように聴こえるのだった。

– It:ここでも paralysis 麻痺を指しています。
– maleficent: 悪事を行なうこと。
– sinful: 罪深い。罰当たりな。汚れている。

It filled me with fear, and yet I longed to be nearer to it and to look upon its deadly work.
僕はは恐れおののくが、しかしそれに近づきそしてその死への行いをしかと見たいと思った。 

– long: 動詞です。熱望する、あこがれる、希望する。長いを意味する形容詞の long とは別の単語です。She is longing for you to write a letter. 「彼女は彼の手紙を待ち焦がれている。」

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Old Cotter was sitting at the fire, smoking, when I came downstairs to supper. 
While my aunt was ladling out my stirabout he said, as if returning to some former remark of his:
“No, I wouldn’t say he was exactly ... but there was something queer ... there was something uncanny about him. I’ll tell you my opinion....”
僕が夕食のために一階へ降りたとき、コッター老人は暖炉のそばにすわり、パイプをくゆらしていた。
私の叔母が私のオートミール粥をよそっているとき、彼はさっきの話の続きのように語りだした、
「確かなことはいえないが、ちょっとおかしいな、薄気味悪い感じというか、なんていうかな・・・・」

– ladling out: よそう(スープなどを。)
– stirabout: ミルクで煮込んだオートミールのお粥。
– queer: 風変わりな、怪しい。
– uncanny: 不気味な。

He began to puff at his pipe, no doubt arranging his opinion in his mind. 
彼は一服し、考えをまとめているかのようだった。
Tiresome old fool! When we knew him first he used to be rather interesting, talking of faints and worms; but I soon grew tired of him and his endless stories about the distillery. 
 やっかいなじいさんなんだ! 最初はウイスキーの製造方法なんかを語ってくれてちょっと面白い人かなと思ったんだけど、 結局いつもその話で飽きちゃったんだよね。 

– tiresome: やっかいな。めんどうな。あきあきする。
– faints and worms: ウイスキー蒸留工場の設備に関する言葉で、フェインツとはアイリッシュウイスキーの蒸留工程のこと、ワームとはミミズ式の冷却装置のこと。

“I have my own theory about it,” he said. “I think it was one of those ... peculiar cases.... But it's hard to say....”
「わしなりの考えもあるにはあるが、やっかいな病気だよ。いいづらいけど・・・・。」とじいさんはいった。

He began to puff again at his pipe without giving us his theory. My uncle saw me staring and said to me:
話の途中でまたパイプをふかした。私の叔父がじいさんを見ていた私を見つめそしていった。

“Well, so your old friend is gone, you'll be sorry to hear.”
「あの仲良しのおじいいさんが亡くなったんだ、つらいね。」

“Who?” said I.
「誰のこと。」と私は聞いた。

“Father Flynn.”
「神父のフリンさんだ。」

“Is he dead?”
「死んだの?」

“Mr Cotter here has just told us. He was passing by the house.”
「コッターさんがそういうんだよ。家の横を通ってきたんだそうだ。」

I knew that I was under observation so I continued eating as if the news had not interested me. My uncle explained to old Cotter.   
僕は見られていると分かっていたので、その話に関心がないかのように食事を続けた。叔父がコッターさんに説明した。
   
“The youngster and he were great friends. The old chap taught him a great deal, mind you; and they say he had a great wish for him.”
「この子と神父さんとはいい友だちだったんだ。あの老神父はこの子にいろいろ教えてくれてね、この子は見込みがあるって思ってくれていたんだ、あんたはどう思うか知らないが。」

– youngster:子ども、若者。
– chap:人、男。man と同一です。
– a great deal:いろんなこと、多くのこと。
– a great wish for him:老神父が主人公の少年を高く評価していて、ゆくゆくは自分のような聖職者になってもらいたく考えていたということを示唆しています。

“God have mercy on his soul,” said my aunt piously.
「神父さんの魂に神のお導きを。」叔母が敬虔につぶやいた。

– mercy:慈悲、寛大な心、ありがたいこと。

Old Cotter looked at me for a while. I felt that his little beady black eyes were examining me but I would not satisfy him by looking up from my plate. He returned to his pipe and finally spat rudely into the grate.
コッターさんはしばらく私を見ていた。ビーズ玉のような小さな黒い目にじっと見られていた。
しかしわざと皿から目を離さないでいた。
コッターさんはパイプを再び手にしてなんとも粗野に暖炉につばを吐いた。

“I wouldn't like children of mine,” he said, “to have too much to say to a man like that.”
「わしなら自分の子どもにはああいう人とはあまり話をさせないよ。」

“How do you mean, Mr Cotter?” asked my aunt.
「どういうことですか。」叔母が聞いた。

“What I mean is,” said old Cotter, “it's bad for children. My idea is: let a young lad run about and play with young lads of his own age and not be.... Am I right, Jack?”
「つまりだねえ、子どもにはよくないよ。子どもは同じ年頃の子どもと遊びまわるのがいいんだよ。ジャックはどう思う?」

– lad:少年、若者。

“That's my principle, too,” said my uncle. 
「私もそう思うよ。」叔父が言った。

“Let him learn to box his corner. That's what I'm always saying to that Rosicrucian there: take exercise. Why, when I was a nipper every morning of my life I had a cold bath, winter and summer. And that’s what stands to me now. Education is all very fine and large.... Mr Cotter might take a pick of that leg mutton,”
「自分の居場所を学ばせなきゃ。いつもバラ十字会でも言っているんだが、運動しなさいってね。子どもの頃には毎朝水風呂に入ったもんさ。夏も冬もだ。だからいまこうしていられる。教育っていうのも大事なんだろうが・・・・・。コッターさんはあのマトンを食べるんじゃないか。」

– to box his corner:自分の場所で戦う。

he added to my aunt.
叔父は叔母に言った。

“No, no, not for me,” said old Cotter.
「いやいや結構だよ。」

My aunt brought the dish from the safe and put it on the table.
叔母は戸棚からその皿を出してテーブルに置いた。

– safe:戸棚

“But why do you think it's not good for children, Mr Cotter?” she asked.
「でも、どうして子どもにはよくないと思うのですか。」叔母がコッターに聞いた。

“It's bad for children,” said old Cotter, “because their minds are so impressionable. When children see things like that, you know, it has an effect....”
コッターがいった、「子どもの心っていうのは影響を受けやすいんだ。子どもがそういうものを見てしまうとね、どうなるかっていうと・・・・」

I crammed my mouth with stirabout for fear I might give utterance to my anger. Tiresome old red-nosed imbecile!
私は粥を口いっぱいに入れた。そうしないと怒鳴りだしてしまいそうだったから。
年寄りの口うるさい鼻の赤いいやな奴にね。

– crammed my mouth with:口いっぱいに詰め込む

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It was late when I fell asleep. 
寝たのはだいぶ遅くなってからだった。

Though I was angry with old Cotter for alluding to me as a child, I puzzled my head to extract meaning from his unfinished sentences.
コッターが僕を子ども扱いしたことに腹がたったが、彼が何を言おうとしていたのか思い悩んだ。

– angry with~for~:for 以下のことで、with 以下の人に対して腹を立てる。
– puzzle:puzzle my head で頭を悩ませたです。ここでは、彼が言い切らなかったセリフの意味を引っ張り出そうとして、頭を悩ませた、という表現になっています。

In the dark of my room I imagined that I saw again the heavy grey face of the paralytic. 
暗い部屋の中で、麻痺患者の土色の顔をまた見たような気がした。
 
I drew the blankets over my head and tried to think of Christmas. 
毛布を頭にかぶってクリスマスのことを考えようとしてみた。
 
But the grey face still followed me. 
 しかし土色の顔が浮かんでくる。
 
It murmured; and I understood that it desired to confess something. 
 小さな音が聞こえてきた。何かを知らせたいんだということは分かった。

– murmur:さらさらという音、かすかな音、ぶつぶつ言うこと。

I felt my soul receding into some pleasant and vicious region; and there again I found it waiting for me.
僕の魂が心地よく堕落した領域に入り込んでいくのを感じた。
そしてそこでは再び僕を待っていることが分かった。

It began to confess to me in a murmuring voice and I wondered why it smiled continually and why the lips were so moist with spittle.
それはつぶやき声で僕に告白を始めた。
ずっと笑っていて、唇はつばで湿っていたのが不思議だった。

But then I remembered that it had died of paralysis and I felt that I too was smiling feebly as if to absolve the simoniac of his sin.   
麻痺で死んだのだということを思い出した。
そして僕自身も彼の罪の聖職売買を許すかのように弱々しく笑っていたような気がした。

– to absolve the simoniac of his sin:神父は懺悔した罪びとからその罪や罰を解き放つことができます。いま主人公の少年は、小さなつぶやきによって告白つまり懺悔を受けているということを意味しています。

まとめ

少年と神父の関係はどういうものだったのでしょうか。そして神父の不思議な姉妹たちは次回に登場します。どういう展開になっていくのでしょうか。よく読んでみたいと思います。

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