「フィレオフィッシュ」の材料が変わる?NZの漁業スキャンダル

 マクドナルドが「フィレオフィッシュ」の材料に使っている「ホキ」という魚の乱獲を、ニュージーランド政府が知りながら隠蔽したのではないかという疑惑に、国全体の経済がゆるぎかねない事態になっています。

 意外と身近な問題を含んでいるこの記事を読みながら、英語表現をチェックしていきましょう。(英文は、”McDonald’s fish: Row over sustainability ‘cover-up'” BBC News 2016/5/19)

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☆白身魚「ホキ」

 最初に誤解のないようにおことわりしておくと、これはマクドナルドがホキの違法な乱獲に加担したという話ではありません。むしろこれがきっかけで材料調達の見直しを迫られるかもしれないので、マクドナルドは困惑しているでしょう。

 また面倒なことに、この問題には世界的にセンシティブなイルカ問題までからんでいるため、ニュージーランド政府も対応に苦慮したようです。ではどんな話か見ていきましょう。

The document shows that the government was aware of made-up data and illegal practices such as the dumping of vast quantities of unwanted fish.
 その文書で明らかになったのは、(ニュージーランド)政府が、データが改ざんされていることや、不要になった魚を大量に捨てるような違法行為があることを認識していたということだ。

(単語チェック)
・made-up:でっち上げた(←作り上げた)
 名詞makeupなら「作り話・作り事」になります。
・dump:(不要な物を)捨てる
 日本語の「ダンプカー」はdump (dumper) truck。
 廃棄物や土砂などを捨てるための車ということですね。

 今回リークされたのは、ニュージーランド政府の内部文書です。この中には、従来から絶滅が危惧されていたホキ漁の実態が報告されていました。

 ホキはオーストラリア南部からニュージーランド近海に生息する、タラ科の魚で、世界的に食用にされています。日本の「ほっともっと」も、のり弁当の白身魚のフライの材料にニュージーランド産のホキを使っていますが、マクドナルドも世界中で販売する「フィレオフィッシュ」の材料として、タラ、スケトウダラとともにホキも使っています。

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☆ニュージーランド漁業の「実態」が明らかに

 今回リークされた文書には、ホキを実際に水揚げした量の2倍近くを捨てているといった驚くべき内容が含まれています。

It paints a picture of a fishing industry that routinely discards full nets of fish back into the sea, even when government cameras are present.
 その文書を見ると、漁業者の間では一度捕獲した魚を全て海に捨てることが常態化しており、政府がその様子を撮影している時でさえそれが行われているという現状がわかる。

(単語チェック)
・paint a picture of:~の実態を表している
・discard:捨てる

 ホキ漁はトロール網(trawl)を使った底引き(bottom-trawling)で行われていて、一気に大量の魚を捕らえます。魚の多い時期には、より新鮮な魚を持ち帰るために先に捕った分(恐らくその時までに大部分死んでいるのでしょう)を海に捨てるということが、日に2回は行われるという漁船員の証言もあります。

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☆「最悪のシナリオ」

 こうした違法な漁は今に始まったことではありません。1990年から2013年までの統計では、ホキはどの魚よりも多く投棄されていて、その結果実際の漁獲量ははるかに大きかったことがわかっています。

 さらに、今後漁業者に調査が入って、操業記録などから実態がさらに明らかになったら、水産業界だけでなくニュージーランド経済にとって大打撃になるだろうと懸念されています。内部文書には次のように書かれています。

“A worst case scenario could see a large international company eg. McDonald’s, refusing to buy our non-green image fish.”
 「最悪のシナリオになったら、たとえばマクドナルドのような国際的企業が環境にやさしくない国の魚を買わなくなるだろう。」

(単語チェック)
・eg.:たとえば(ラテン語exempli gratiaの略)
 通常はe.g.とそれぞれにピリオドがつきます。

 なお、この文の動詞seeは「〜を経験する、〜が起こる」の意味で、A worst case scenario(主語)になるとa large international company eg. McDonald’s(目的語)がrefusing(補語)という形です。それに加えて、「最悪のシナリオ」なので可能性はまだ高くないけれどそうなったら、という気持ちで仮定法過去のcouldを使っています。

 マクドナルドは原料の最大15%までホキを使っていましたが、最近では8%まで比率を落としていました。また2011年からはヨーロッパでは国際機関である海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)から取得した、資源の持続可能性認証ラベルを表示して販売するなど、環境に配慮した企業としての姿勢をアピールしているだけに、今回の事件は見過ごせないものです。

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☆絶滅危惧種のイルカにも影響

 この内部文書のリークによって、もう1つ問題視されたのは、こうした乱獲の過程で絶滅危惧種のイルカが一緒に捕獲されていたことです。

The government memo draws attention to the impact of fishing on Maui’s and Hector’s dolphins, widely regarded as the most endangered dolphin species.
 政府文書で目を引いたのは、最も深刻な絶滅危惧種として広く知られるマウイズドルフィンとヘクターズドルフィンへの影響だ。

(単語チェック)
・draw attention to:〜に注目する
・endangered species:絶滅危惧種

 これらのイルカは50頭しか生存が確認されていませんが、2012年には2頭が漁船の網に捕らえられ、さらにそのうち1頭しか報告されなかったこともわかり、問題はさらに広がりました。またニュージーランド政府がこうした事実を知りながら意図的に隠していたのではないかという疑惑も高まっています。

 イルカの保護を訴える環境保護団体は、最近マクドナルドに対しニュージーランドの魚を使用しないように要求し、同時に消費者に対しては、マクドナルドのフィレオフィッシュの不買運動を呼びかけています。

“They could say they saved the Maui’s dolphins, and how good would that be for their brand?”
 「マクドナルドが、マウイドルフィンを救うためと言っ(てニュージーランドの魚の使用を止め)たら、ブランドイメージは限りなく高まるだろう。」

 マクドナルドがこれをそのまま信じるとは思えませんが、これまで政府や国際機関の判断を信じて今の材料を使ってきたという立場である以上、その前提が崩れてしまうと違う決断を迫られるかもしれません。

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