「staycation」のすすめ

おもしろトピックス
スポンサーリンク

みなさん、休暇はどのように過ごしますか? アウトドア派もインドア派も、それぞれ好みの過ごし方があることでしょう。さて、今回は10年ほど前から使われている「staycation」という語に焦点をあてて、その中身に迫りたいと思います。

stay + vacation =「staycation」

上のご覧のとおり、これは造語です。stay「滞在する、とどまる」+ vacation「休暇」ということで、いわゆるまったり派の休暇の過ごし方を指します。なんだか英単語になるだけで、”のんびり&だらだら”の休暇が急にカッコよく聞こえてきませんか?
この「staycation」という言葉は、アメリカで起こった2008年のリーマンショック後に使われ始めたと言われています。世界にも大きな影響を及ぼした経済破綻で財布のひもが堅くなったアメリカ国民が、レジャー費用を削減しはじめたことに由来します。

で? 結局どこにステイするんですか?

「staycation」の stay とはあくまで近場での stay を指しますので、飛行機でわざわざ海外の別荘に行きそこで優雅に過ごすのではありません。(それは本当のザ・バケーションです…!)
まず筆頭は我が家、親戚の家、友達の家、恋人の家。また、家でないにしてもせいぜい日帰りできるような場所ですね。ぶらりと車で行ける距離の日帰り温泉に併設されている休憩用和室で、入浴後に何時間も漫画を読みふけって過ごすのも、日本では代表的な「staycation」と言えるでしょう。要は、日常の延長でも vacation はじゅうぶんに満喫できる! というのがこの語の持つニュアンスです。わざわざ旅行に出なくても、身近にいくらでも楽しめるエッセンスはあるということです。

家族でも! 仲間でも!

たとえば家族の過ごし方として代表的なのが、自宅の庭でのバーベキューです。こういった1日単位でできる「staycation」もあれば、ほかには、ファミリーカーでまる1週間分の食材を買い込みに行き、年末年始をずっと自宅内で過ごすなんてロングプランもあります。夏季オリンピック期間中はずっと自宅にこもるなんて強者もいることでしょう。
過ごす場所が自宅でなくても、友達の家に泊まりに行くのだって立派な「staycation」です。パジャマパーティー、そう英語では slumber party と言いますね。これも子供たちにとっては最高の時間の過ごし方になります。多くの場合、そこで何か特別なことをするわけではありません。一緒にテレビを見たり、スナック菓子を食べたり、会話を楽しんだり… これらはあくまで”普通”の連続です。それでも、友達と過ごすその時間はとても輝いたものになるんです。

恋人同士でも!

たまにドラマや映画で出てくるシーンに、金曜の夜から日曜の夜までは家から一歩も出ないで恋人と2人きりで過ごす、というのがあります。小さなトランクに2泊分の着替えや化粧道具を詰め込んだ彼女が、金曜の夜に彼氏の部屋のドアをノックするシーンに見覚えはありませんか? ドアが開いて2人は勢いよく抱き合い、そこから彼氏の狭いアパートメントで缶詰になって2人だけの甘い時間を過ごすのです。
ロマンチックでありながら生活感も同時に出ているわけですが、合理的に生きる今の世代の若者にとって、こういった週末はとても現実的な過ごし方だと言えます。レストランにも行かないので基本的に食事は自炊か出前でなんとかし、ポップコーンを片手に2人でアメフトの試合を見たり、ときにはバスタブで相手の髪をやさしくシャンプーしてあげたり…… これぞ究極のまったり、2人だけの世界というものです。

攻め系の「staycation」はいかが?

この「staycation」という語には、楽しさの反面「のんびり」と、また「だらり」と過ごすイメージがついてしまっていますが、アクティブに過ごすことだってもちろん可能です。毎日同じようにボーっと過ごすのもこれ以上ない贅沢で、もちろん素敵だと思います。しかし、ときにアクセントをつける意味でスペシャルデーを入れ込んでみてはいかがですか? 以下にいくつかアイディアを記します。

【アイディア① 料理で盛り上げろ!】
料理はいつも決まった人がおこなうのではなく、この日だけはAさんがサラダ、Bさんがメイン、Cさんがデザート、というように全員参加型の料理デーを設けましょう。和洋中のしばりも入れず自由発想に任せると、メニューのハチャメチャさも含めてとても印象深い夜になるはずです。

【アイディア② ホラー映画鑑賞会】
ひとりではなかなか勇気がなくて見られなかった話題の作品も、鑑賞仲間がいれば怖さも半減しますね。”貞子”のシリーズを朝から一気に見てしまうなんてのもアリです。ほかに、シリーズもののドラマをDVDボックスで借りてきて、何日もかけて見るのもいいでしょう。

【アイディア③ 外国人ゲストを招く】
お子さんに英語の家庭教師をつける感覚で、自宅に3泊ほど外国人を招いてみましょう。ホームステイの逆バージョンで、自分の家に泊まってもらうのは新鮮ですね。語学習得を目的とするお子さん本人以外にも、家族全員にとって忘れられない休暇になるはずです。

【アイディア④ 残金僅少のサバイバル生活】
リアリティ番組でもよく企画されますが、1か月を○○円で過ごす、なんてゲーム感覚のものもおすすめです。まずは手近に「3日間を1,000円で過ごす」のはいかがですか? 冷蔵庫の断捨離を兼ねておもしろい体験になるでしょう。

最近はこんな解釈も出回っている

本来の英語の「staycation」とは違った使い方になりますが、この2~3年のうちに日本の雑誌でもカタカナで「ステイケーション」という言葉が見られるようになりました。
しかし、それらの提案するものは「5つ星ホテルに1泊して心身をリフレッシュさせる」などの高級路線がほとんどです。シモンズ製のキングベッドでひとり贅沢に大の字になって寝てみるのは、もちろん最高のリフレッシュであることに間違いないでしょう。ホテルのスパでまる1日おこもりするのも、これ以上ないくらいリラックスできる時間です。そう、何もしない時間を求める点においては確かに本来の意味と合致しているのですが、そこに大枚をはたいて「わざわざ」そうするのならば、それはまた違った話になります。ホテルと自宅との距離がどんなに近くても、しっかりとお金を遣っているということもあってこのニュアンスはもはや「staycation」ではありません。
同じように、関東圏の人に向けて「葉山の別荘、ステイケーション用に販売開始!」なんて広告が出ているのも、本来とは違うニュアンスでの使われ方ですね。神奈川県の葉山市はなるほど確かに近いです。それでも、別荘を買うなんて、それはいわゆる「バケーション」の提案です。

小さな幸せ、それは我が家

ホテルに宿泊するならば、確かに掃除も皿洗いもしなくて済みます。しかし、それと引き換えに、ふだん使い慣れているシャンプーやお気に入りのリネンでいつもどおりリラックスすることができません。枕が違ったら眠れない人、それにシャワーの水圧に神経質な人などは、やはり自宅が一番なのでしょう。衣類の洗濯などこまごまとした家事から逃れることはできませんが、それでも自宅でゆっくりすることはリラックスの最高の形とも言えるでしょう。
実際、旅行から帰ってきたら「楽しかった」思い出と「疲れ」の両方をだれもが経験したことがあるでしょう。疲労が蓄積した体をいたわりたいときには、自宅で休暇を過ごすのがおすすめです。文字通りの「自宅療養」です。英気を養うのは、なにも外気にあたるだけではありません。ぼんやり天井を見つめながら、または部屋の窓からのぞく木々を見ながら、いかようにも可能です。せっかく家賃を払っているんですから、1日でも多くそこにいないと損だと思いませんか?(笑)

次の休暇のヒントになりましたら幸いです。

タイトルとURLをコピーしました