香港で実感するアジアの英語

こんな時にこんなフレーズ
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はじめに

香港は、1997年にイギリスから返還された中華人民共和国の特別行政区というのはみなさんもご存じのことと思います。街や人の雰囲気は中国本土に比べてスタイリッシュ、また世界規模の金融街らしい超高層ビルの数々、紅茶文化に英国風の地名…。こんなに日本に近いのに欧米文化の場所があるなんて、う~んなんて最高なのだろう!と当時大学2年だった筆者は香港への留学を決めました。1999年の夏のことです。

さあいざ香港での生活が始まると、やはりここはアジアであると実感。やはり訛りはあります。彼らの母国語である広東語アクセントに引きづられて、香港人は独特のイントネーションとリズムで英語を話します。しかし、前提として本記事はこのことへの批判姿勢で記しているわけではありませんので、あしからず。純然たるレポートとしてお読みください。

「香港人の英語」良くも悪くもびっくりなポイント10

1.なんか後ろアクセントが多くないですか?

Ginger「生姜」という単語であれば、正しい英語のアクセントは「ンジャー」と前に来ますが、香港人は「ジンジャー」と後ろアクセントで話す人が多かったです。ほかにもtoilet「イレット」ではなく「トイレット」なんてのもよく聞きましたね。アクセントが異なるだけなので、この点ではコミュニケーション上のトラブルはあまりなかったと記憶しています。

2.音が跳ねてしまう  その1

これは慣れるまでは一番つらいポイントでした。英語は語末の子音はしっかり聞こえない、というのは、米国英語・英国英語共通ですが、これって言い返せば「小さくならば聞こえる」ということなんです。しかし香港人は、話者の癖に大きな幅があり、語末の子音が完全に脱落してしまっていることも珍しくありません。例えばeastは子音が2つ続く語ですが、ぎりぎりsが小さく聞こえて最後のtが完全に聞こえないので、日常でよく使われる単語でありながら「ー(ス)」にしか聞こえず苦労しました。(米国や英国の発音ならば「ース(トゥ)」になるところなのですが。)

3.音が跳ねてしまう その2

これは上記2の変形です。語末ではなく、単語の途中でも子音がはねているので、さらに聞き取りは難しいものでした。筆者は大学キャンパス内で香港人の友人と談笑中、5回聞き返しても分からなかった単語がactor「俳優」でした。アッターアッター、と言っているように聞こえました。真ん中のcの音がみじんも聞こえず、ただ強烈な前アクセントで飛び跳ねるように発音していました。一緒にいたほかの香港人の友達にはきちんと聞き取れていたようです。(抜群の耳を持つ彼らがもし英検やTOEICのリスニングテストを受けたら、きっと全問正解なのでしょうね!)

4.人によって英語力の差がある

これは留学前に知っておくべきでした。いくら香港といえど、英語がペラペラの人とそうでない人はいるものです。空港なら誰に聞いても必ず英語できちんと返ってくるものだと思っていましたが、さすがに清掃のおばさまには英語が通じませんでした。接客業ではない場合、こういうこともあるのですね。さて街中ではどうかというと、若者は比較的よく通じます。きれいな英語で返ってくる場合はごくわずかで、いわゆる香港イングリッシュで返ってくることがほとんどです。それでもコミュニケーション力は総じて高いと言えます。逃げる人など皆無です。(日本人なら、最初の発話までたぶん10~15秒はかかりますよね。)

5.さすが対応力あり!

時計を持っていなくて時刻を知りたいときは、まず頭に浮かぶ表現が「Do you know what time it is now?」や、もう少し丁寧に言えば「Could you tell me what time it is now?」といった表現ですね。いずれもwhat timeを使ったわかりやすい表現です。意地悪な筆者は、香港人大学生がどの程度の対応力があるのかを試してみたく、キャンパス内で「Excuse me, do you have the time?」なんて何度か尋ねてみたことがありました。すると皆さん一様に時刻を答えてくれます。すばらしいです。日本人学習者でも、質問の意味すらわからない人は多いでしょう。会話表現は本当によく慣れているんでしょうね。

6.スペルはやっぱり英国式

当たり前のことですが、香港は英国領だったためブリティッシュイングリッシュとなります。colorではなくcolour、recognizeではなくrecogniseとつづります。そして発音のほうはアメリカンでもブリティッシュでもない、というのが実情です。先に述べたとおりの独特の発音です。アメリカ発音に強い憧れを持っていた筆者は、waterを「ワラー」と言う癖がなかなか直らず、香港ではなんだか浮いてしまっていました。こんなことなら留学前にあんなに必死こいてアメリカ教材でシャドーイングしなくてもよかった、と。

7.英語を話している途中でも、感嘆語は現地語で

そういえば香港でもWow! だけはよく聞きました。しかしHeyやguysなどの呼びかけはもちろん、Oh, ohやOopsは筆者の周りでは一度も聞いたことがありません。代わりに広東語の「はい~」や「あ~」がよく飛び交っていました。おばさまだと「あいや」「あいよ」なんてのも。ちなみにこれらは、表情と声のトーンで喜怒哀楽いかようにも使えるという便利な感嘆語です。Oh, my goodness! のニュアンスで使われることもありますし、Oh, my poor girl.のニュアンスのときもあり、「あいや」「あいよ」のマルチユース度はすばらしいです。Wow!と聞こえていたのはもしかすると英語としてではなく、現地語の「わう」「わあ~」なのかもしれませんね。真相はいまだわかりません。

8.コーヒー店ではWithout milkよりもNo milkとはっきり

世界的なスターバックス熱はここ香港でも。スターバックスに限らず、顧客が自分好みにあれこれ注文を出して極上の一杯を作ってもらうシステムは、もはや時代の代名詞とも言えます。すらすらと流れるような文章で注文を伝えても、実はかなりの割合で通じません。単語のぶつ切りのように、まさに「箇条書き」として伝えると、しっかり店員さんに聞き取ってもらえます。
香港人といえど英語力の個人差がどうしてもあるので、大衆向けチェーンのお店では特に、わかりやすい表現に変えてオーダーするのがコツです。同じ意味を表す単語においてもWithoutよりはNo、purchaseよりはbuyがよいでしょう。また同様に、星付きホテルでもない限り、complimentaryとは言わずにfreeと言っておくのが無難です。なぜなら…後述します。

9.「あぁ!?」と聞き返されるのがこわいんです

香港は中国の一部ということを忘れてはいけません。おじさん・おばさんに限らず、若い人たちも香港では堂々としかめっ面でお客に「あぁ!?」と聞き返すのです。ゆえに、絶対に一発で通じるような単語のチョイスと、またきちんと正しく発音できると自信のある表現で発話したほうが、後で自分が傷つかなくて済みます。
ちなみにこれの別バージョンで、短い「あ?」というのもあります。何がすごいかって、英語を話している流れの中でこれが聞こえることなんですよね。日本人に例えるなら何でしょうか。英語を話している途中で「ああもう」や「あら」たみたいな語が出てくるということなんでしょうかね。

10.さすが香港!圧倒的な英語への露出度

それでも総じて香港は、英語習得におすすめの留学先候補の1つです。街中の表記はすべて英語と広東語で併記、これは目に入る英語情報がとにかく多いということなので、街歩きしているだけでも習得効果は十分です。さらに大学構内ならばeducated peopleの集まりという特殊環境ですから、よどみなく英語で受けこたえしてくれる人たちばかりです。発音の聞き取りづらさだけ最初にちょっと我慢すれば、温暖な気候とおいしい食事に恵まれたの最高の環境です。

まとめ

さあ、いかがでしたでしょうか。依然としてアメリカ・イギリス・オーストラリアの人気は学生たちに高いですが、最近ではセブ島留学のようにアジア圏での英語習得も見直されてきました。まして香港は安全であり、4時間のフライトで行き来できる、親御さんにとっても「安心して子供を送り出すことができる留学先」なのではないかと思います。
めくるめく食の宝庫、香港で素敵な思い出をつくりませんか? ビビっと来た方は、香港大学や香港中文大学への留学生募集要項を見てみてくださいね。

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