インバウンド業種の方へ ~「おもてなし検定」を受けてみませんか?

上達法
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みなさん、こんにちは。これまでみなさんが英語の勉強をしてきたなかで、なにかしら1つは英検やTOEICといった検定試験を受けた経験がおありかと思います。英語の試験は数えきれないほど世の中に存在していますが、昨今はやりの「おもてなし」に特化した外国人旅行者対応のための検定試験をご紹介したいと思います。

正式名称は「英語応対能力検定」

俗称では「おもてなし検定」なんて言われていますが、正しい名称では「英語応対能力検定」と言います。教育出版社の旺文社と、カシオ電算機株式会社と、毎日新聞社の3社が合同出資にて、2017年に実施をはじめたばかりのできたてホヤホヤの検定です。

検定誕生の背景

この「英語応対能力検定」は、おもに外国人旅行者へ”英語での接客”が必要とされる業界従事者のために開発されました。ホテル業界はもちろん、飲食業界なども、「わざわざ外国人相手に商売をしている」わけでなくとも、年々押し寄せる外国人の波、波…! たとえば浅草エリアに店を構えているのであれば通行人の半分は外国人という状態です。従業員としては採用時には英語能力を問われなかったものの、今まさに英語会話力は必須であり、これは国からも都からも要請されていることでもあります。個人の努力で英語応対力を身につける場合もあれば、勤務先が面倒を見てくれるならトレーニングに参加させてもらうなど、なにかしらの努力はおこなっているようです。この英語での応対力トレーニングをないがしろにすると業界の激しい生存競争で勝ち残っていけませんから、学ぶ側としても必死なわけです。

日本に来てよかった!と思ってもらえるためには

近代的な建築のおかげで、もはや「和式トイレだったらどうしよう」という不安もなく、多くの観光地はバリアフリーで楽しむことができます。しかし、そういったハード面での進化はあれど、あいかわらず日本の国民性である「英語が話せない」は克服できていないようです。実際、観光庁が過去に外国人旅行者を対象におこなったアンケート結果は次のようになっています。
【質問】
「旅行中に困ったことはどんなことですか?」
【回答】
1位「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない」32.9%
2位「無料公衆無線LAN環境」28.7%
3位「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図など)」23.6%
4位「公共交通の利用」18.4%
5位「両替」16.8%
(以下は割愛)
なかなかソフト面のほうは手入れするのが難しく、改善したと実感してもらうにはおそらく数年はかかるでしょう。インバウンド業の従事者の個人の努力に頼っているばかりでは、観光立国を目指す日本としては完全に後手です。そこで、タクシー業やホテル業などで大きな規模の会社は、従業員に団体でトレーニングを受講させるなどしているのですが、その取り組みの一環として「英語応対能力検定」の団体受験をしていることもあります。

試験は全部で6種類、お好きなものを選べます

 この検定のユニークなところは、業種別に必要な応対力が異なるので、試験内容もそれぞれ異なるように作られています。いわゆる業種別試験で、「販売」「宿泊」「飲食」「鉄道」「タクシー」と、どのカテゴリにも属さない「一般」の計6種類です。全方位の英語表現をまんべんなく学ぶのでは、忙しい社会人には即効性に欠けます(まんべんなくやりたいのであれば、英検を受ければよいのです)。自分の仕事で必要なものだけバッチリ押さえておきましょう、というのが本検定の主催者側の意図です。対策問題集もこの6種に分かれて販売されていますので、最短距離でコンパクトに学習ができます。

合格/不合格ではないA,B,C,D評価

 上にご覧のとおり、A,B,C,Dの4段階評価が与えられます。つまり、同じ試験を何度も受けることができ、そのたびごとに自分の伸び具合がわかるのは学習継続の大きな意欲となります。一歩ずつ丁寧に階段をのぼっていく感覚なので、外国語に苦手意識のある年配の受験者にも心理的な負担が小さいと言えます。

どうやって受けるの?

 パソコン上、あるいはスマートフォン上での受験となります。いわゆる「iBT」と呼ばれるものです(Internet-Based Test)。1年中いつでもどこでも気軽に受けることができます。スピーキングのテスト項目もあるので、マイクやヘッドフォンの周辺アイテムも整えておかねばなりません。現在はWindowsのみ対応していますので、Macユーザーの方には明らかに不便であると言えます。
 1回の受験料は税別6,500円です。クレジットカード払いかコンビニ払いのみです。英検と
違って規模の小さな試験ですから、書店の申込特約店などはありませんのでご注意ください。

どんな問題が出るの?

 試験問題は全部で3パートから成ります。「リーディング」→「リスニング」→「スピーキング」の順で進行します。なお、スピーキング試験開始前には、動作環境のチェックがもれなくおこなわれるのでご安心ください。音の聞こえはもちろん、マイクがきちんと音を拾えているかなど、はじめに不安点を解消してから試験問題に移ります。
 では、各パートをつぶさにみていきましょう。
 「リーディング」は計28問、約13分、配点35点。「リスニング」は計31問、約27分、配点50点。「スピーキング」は計8問、約15分、配点60点。3パートの合計で、計67問、約55分、合計点145点です。お気づきのとおり、「リーディング」は配点も低くおまけのようなものです。現場に即した英語力をはかる検定らしく、「リスニング」と「スピーキング」を重視した実践度の高い内容となっています。
 「リーディング」であれば、たとえば「期限切れである」を正しく言い表している英単語は次の4つのうちどれか、といった問題が出ます。「リスニング」であれば、客の要望の大意理解を問うものが出されます。あれこれ変更を重ねた後で、結局レストランの予約人数は何人で、何曜日の何時からなのか、などです。「スピーキング」であれば、英語そのものの能力と、自分の「気の利き度」の両方が問われます。客の質問にそのまま回答を示すだけでなく、さらに提案ができているならば高得点がゲットできます。

名だたる協賛企業の数々!

 すばらしいことに、多くの企業がこの検定に協賛しています。日本のおもてなし力をUPするために英語応対能力は必須だと考える企業が、一部紹介するだけでもこんなにあるんです。
・株式会社 三越伊勢丹
・東京地下鉄株式会社
・株式会社 松屋
・株式会社 高島屋
・株式会社 ビックカメラ
・日本空港ビルディング株式会社
・株式会社 サマンサタバサジャパンリミテッド
・キリンシティ株式会社
・藤田観光 株式会社
・一般社団法人 草津温泉観光協会
・セコム株式会社
…などなど100社近い企業の団体受験が見込まれています。

就職活動にも使えそう

 さて、今も昔も就職活動といえばTOEICが主流ですね。しかし、TOEICは一般的には「リーディング」と「リスニング」の2技能試験です。追加料金を支払って「TOEIC S&W」をオプションでつければ、「スピーキング」「ライティング」も加わった4技能試験となります。しかし、そのガチ度と言ったらハンパないのです。時間拘束は何時間にも及ぶのでもうこの時点で過酷な試験であり、レベルの面でもライティングを中心に事前準備がしっかり必要となります。検定料もずいぶん高額です。このS&Wの追加料金だけでも1万円はするのですから…!
 そこでおすすめなのが、この「英語応対能力検定」です。6,500円にもかかわらず「スピーキング」が含まれていますから、もし最高ランクA評価を得られれば「即戦力としてこの人、使える…!」と期待を持ってもらうことができます。大手ホテルなどインバウンドに関連する仕事を希望するのであればなおさらです。もし英文レターをバンバン書くようなデスクワークをお望みでないなら、「話す」に力点を置いた接客英語に特化して就職活動の強みにするのも手だと思います。

 さあこの「英語応対能力検定」ですが、どのような感想をお持ちになりましたか? この試験が日本人の英語応対力UPの追い風となればいいな、と思います。
筆者の本業である「通訳ガイド」は、実は団体客のガイド時はとても悲惨なものになります。昼食時はカオスで、ガイドは3分で早食いして終わり、というほどお客の対応に時間がとられるものです。レストランの従業員のある方が、Toilet is here. ですとか、 How many glasses for SAKE? なんて英語で対応してくださったときは神様に見えました。60歳台とおぼしき女性でしたが、きっと日々のお仕事のなかで外国人対応の必要性を感じて英語を身につけられたんだと思います。短い文、しかも接続詞なしのSVOばかりでも、使い倒してどんどんコミュニケーションできるようになればカバー範囲は結構広いはずです。5年後の日本は、きっと今よりもっともっと街中で英語が通じる国になっていると思いますよ!
お読みいただきありがとうございました。

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