『ダブリン市民』から学ぶ、いろんな英単語、表現方法~3

ジェームズ・ジョイス『ダブリン市民』、The sisters(姉妹)の3回目です。
亡くなった老神父の様子が描かれています。
そしてその神父の姉妹から秘密が語られ始めるのでした。

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妹 ナニー

In the evening my aunt took me with her to visit the house of mourning. 
夕方、叔母は私を連れてその喪中の家を訪ねた。

It was after sunset; but the window-panes of the houses that looked to the west reflected the tawny gold of a great bank of clouds. 
日は暮れていたが西向きの家々の窓ガラスには雲の大きなかたまりの黄金色を映し出していた。

– tawny:黄褐色

Nannie received us in the hall; and, as it would have been unseemly to have shouted at her, my aunt shook hands with her for all. 
ナニーが玄関で出迎えてくれた。大きな声で呼びかけるのはふさわしくなさそうだったあので、叔母は彼女の手を握っただけだった。

– unseemly:ふさわしくない、見苦しい。

The old woman pointed upwards interrogatively and, on my aunt's nodding, proceeded to toil up the narrow staircase before us, her bowed head being scarcely above the level of the banister-rail. 
その老女は何かを問うかのように上を指した。そして叔母がうなずくと、先に狭い階段をなんとか上りだした。かがんだ彼女の頭はほとんど階段の手すりの高さにあった。

– interrogatively:何かを問いたそうに。
– toil:骨折って進む、難渋しながら歩く。
– scarcely:ほとんど~ない、かろうじて。
– banister-rail:階段の手すり。

At the first landing she stopped and beckoned us forward encouragingly towards the open door of the dead-room. 
最初の踊り場で彼女は立ち止まり、死者の待つ部屋の開かれている扉へ向って進むように励ますかのように僕たちを差し招いた。

– beckon:差し招く、合図する、手招きする。
– encouragingly:励ますように。

My aunt went in and the old woman, seeing that I hesitated to enter, began to beckon to me again repeatedly with her hand.
叔母は部屋に入った。躊躇している僕に、その老女は繰り返し手招きをした。

I went in on tiptoe. 
僕はつま先歩きで入っていった。

– tiptoe:つま先

The room through the lace end of the blind was suffused with dusky golden light amid which the candles looked like pale thin flames.
ブラインドの端のレースを透かして、くすんだ金色の光が入り込んでいて、その中でろうそくは青ざめた細い炎のようだった。

– suffuse:いっぱいにする、覆う。
– dusky:薄暗い、陰鬱な、黒ずんだ。
– amid:前置詞。真ん中に、中で。 amid whichでin whichと同じ意味と考えられます。

He had been coffined.
彼は棺に入れられていた。

– coffie:名詞では棺。動詞では棺に入れる。

Nannie gave the lead and we three knelt down at the foot of the bed. 
ナニーが先にたち、僕たちは三人でベッドの足元にひざまづいた

– knelt:kneelひざまづくの過去形。

I pretended to pray but I could not gather my thoughts because the old woman's mutterings distracted me. 
僕は祈るふりをしたが老女の小さな声に邪魔されて集中できなかった。

– pretend:ふりをする、まねをする。
– mutterings:低いはっきりしないつぶやき。
– distract:散らす、そらす、混乱させる。

I noticed how clumsily her skirt was hooked at the back and how the heels of her cloth boots were trodden down all to one side. 
僕は彼女のスカートの背中のホックがちゃんと止まっていないことや、布製の靴のかかとの片側がすっかりすり減っていることに気づいた。

– clumsily:ぎこちなく、不器用に。
– trodden:

The fancy came to me that the old priest was smiling as he lay there in his coffin.
僕は、老牧師は棺の中で横たわり微笑んでいるような気がした。

– fancy:とっぴな空想、きまぐれな思い。

But no. 
しかしそうではなかった。

When we rose and went up to the head of the bed I saw that he was not smiling. 
僕たちは立ち上がり、ベッドの枕元へ進むと、僕は彼が微笑んではいないことに気づいた。

There he lay, solemn and copious, vested as for the altar, his large hands loosely retaining a chalice.
祭壇に上がるかのように法衣を纏い、厳粛に、重々しく横たわっていた。大きな手には聖杯がゆるやかに押さえられていた。

– solemn:謹厳な、厳粛な、神聖な。
– copious:豊富な、おびただしい。
– vested:祭服を着ている
– altar:教会の祭壇、聖餐台。ミサの時に神父が説教をし祝福を与える、教会の東側に作られる壇です。
– retain:保持する。
– chalice:聖杯。高価な金属によりつくられている脚付きのコップ、ゴブレットです。聖餐式のワインをミサの参列者に飲ませるときに使用されます。

His face was very truculent, grey and massive, with black cavernous nostrils and circled by a scanty white fur. 
 彼の顔はとても獰猛で、灰色で、どっしりしていた。 鼻の穴は真っ黒でおおきかった。わずかながらしろい毛が覆っていた。

– truculent:獰猛な、残忍な、辛らつな。
– cavernous:洞窟の多い、落ち窪んだ。
– nostril:鼻の穴、鼻孔。
– scanty:乏しい、わずかな、貧弱な。

There was a heavy odour in the room - the flowers.
部屋には花のにおいが満ちていた。

We blessed ourselves and came away. 
僕たちは十字を切り、そこを離れた。

– bless oueselves:十字を切って自らを祝福する。このセンテンスについては、テキストによってはblessedではなくcrossedとなっているものもあります。意味は変わりません。

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姉 エリーザ

In the little room downstairs we found Eliza seated in his arm-chair in state.
階下の小さな部屋では、エリーザが粛然と、彼の肘掛け椅子に座っていた。

– in state:威儀を正して、粛然と。

I groped my way towards my usual chair in the corner while Nannie went to the sideboard and brought out a decanter of sherry and some wine-glasses. 
僕は手探りするかのように部屋の隅のいつもの椅子に進んだ。ナニーは戸棚からシェリー酒の瓶とワイングラスを取り出してきた。

She set these on the table and invited us to take a little glass of wine. 
彼女はそれをテーブルに並べ、みんなに少しのワインを勧めた。

Then, at her sister's bidding, she filled out the sherry into the glasses and passed them to us. 
それから姉の指示に従い、シェリーをグラスに注いでみんなに手渡した。

– bidding:命令。

She pressed me to take some cream crackers also but I declined because I thought I would make too much noise eating them.
ナニーは僕にクリームクラッカーも食べるようにいったが、音を立ててしまうので遠慮した。

– press:強く勧める。

She seemed to be somewhat disappointed at my refusal and went over quietly to the sofa where she sat down behind her sister.
彼女は僕が食べなかったのでちょっとがっかりしたようでしたが、エリーザの背後にあったソファーへ静かに腰を下ろした。

No one spoke: we all gazed at the empty fireplace.
誰も口をきかず、空っぽの暖炉を見つめていた。

– gaze:じっと見つめる。

My aunt waited until Eliza sighed and then said:
叔母はエリーザがため息をついたときにいった、

“Ah, well, he’s gone to a better world.”
「彼は天国に召されたのね。」

– このセンテンス:そのまま、「よりよい世界」としている翻訳も多いです。しかしa better world はheavenやgloryと同じ意味として訳してもいいと思います。ただし、この a better worldという表現は、この作品の最初のパラグラフにあった、老神父のことば、I am not long for this world 「もうこの世には長くいられない。」 のthis worldに対応しているとも考えられ、この世よりもよりよい世界とそのとおりの訳とした方がいいのかもしれません。

Eliza sighed again and bowed her head in assent.
エリーザはまたため息をつき、そのとおりと頷いた。

– in assent:同意して。

My aunt fingered the stem of her wine-glass before sipping a little.
叔母はワイングラスの脚をつまみ、すこしすすった。

– finger:動詞、指で触れる、いじる。
– stem:ワイングラスの脚。
– sip:少しずつ飲む。

– このセンテンス:簡単に訳しましたが、微妙な情景です。単に、picked up the wine-glassとせず、fingerという動詞を使って時間の経過を表現しているように思えます。「指でワインの脚に触れそしてしばらくそのままでいてからおもむろにつまみ上げてほんのすこしワインを口にした。」といった意訳をしてもいいと思います。

“Did he ... peacefully?” she asked.
「安らかに・・・?」叔母が尋ねますと、

“Oh, quite peacefully, ma'am,” said Eliza. 
「とても安らかに逝かれました、奥様」とエリーザはいった。

“You couldn't tell when the breath went out of him. He had a beautiful death, God be praised.”
「いつ息を引き取ったのか分からないほどで。美しい死でした。ありがたいことです。」

“And everything...?”
「そしてすべては?」

“Father O'Rourke was in with him a Tuesday and anointed him and prepared him and all.”
「オルーク神父が火曜日に聖油を塗り心構えをさせてくださったのです。」

– prepare:心構えをさせる、覚悟を決めさせる。

“He knew then?”
「分かっていましたの?」

“He was quite resigned.”
「すっかり身を任せていました。」

– resign:任せる、委ねる。

“He looks quite resigned,” said my aunt.
「彼はまったくもって身を任せているようですね。」叔母がいった。

“That's what the woman we had in to wash him said. She said he just looked as if he was asleep, he looked that peaceful and resigned. No one would think he'd make such a beautiful corpse.”
「彼を清めにきた女性もそういいました。まるで眠りについているかのようだって。平穏にすべてを受け入れているようでしたの。あんなに美しく逝かれるなんてだれにも想像できませんでしたわ。」

“Yes, indeed,” said my aunt.
「本当ですね。」叔母がいった。

She sipped a little more from her glass and said:
叔母はさらにワインをすこし口にしてこういった。

“Well, Miss Flynn, at any rate it must be a great comfort for you to know that you did all you could for him. You were both very kind to him, I must say.”
「フリンさん、いずれにしてもできることはみんなしてあげたのですね。お悲しみになることはありません。お二人は彼に尽くされたのですね。よくわかります。」

– at any rate:とにかく、すくなくとも、どんなことがあっても。

Eliza smoothed her dress over her knees.
エリーザはひざの上でドレスをなでつけた。

“Ah, poor James!” she said. “God knows we done all we could, as poor as we are - we wouldn't see him want anything while he was in it.”
「かわいそうなジェームズ。貧乏ですができることはしたのです。神もお分かりかと。彼に不自由はさせたくなかったの。」

まとめ

主人公の少年は、部屋の隅の椅子に座って話を聞いているだけになりました。
次回は姉妹から、若き日は将来を嘱望されていた神父の挫折について語られます。
よく読んでみたいと思います。
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