どうなる米国株価~今年も逆風を乗りきれるか?

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 今年は、世界の株式市場が荒い値動きを続けています。日米の株価は年初から大きく下落しましたが、そこからの戻りの鈍い日経平均株価とは違って、アメリカのダウ平均は年初から約10%の下落分を、3月末までに完全に回復しました。

 今回は英語を学びながら、今年のアメリカ株式市場の展望を読んでみましょう。(英文は、”What’s next: Stock mojo clashes with persistent headwinds” USA Today 2016/3/31付)

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Wall Street pros say there are a slew of headwinds that will continue to weigh on stocks. And while the stock market can continue to grind higher from here, and perhaps make new record highs, the upside will be limited as old fears and new ones reenter the investment picture.
 ウォール街の専門家は、市場にとって逆風となる多くの要因が、これからも株式市場に重くのしかかるだろうと言う。今後株式市場は上昇を続け、おそらく新高値に達するだろうが、これまであったような不安要因や、新たな悪材料が投資家の視野に入ってくるために、上昇の余地は限られるだろう。

・a slew of:多くの
・headwind:逆風
・weigh on:〜にお重くのしかかる

☆ 今年の米国株は横ばい?

 米国の著名なエコノミストであるエドワード・ヤルデニ氏は、米国株の動きは横ばい(sideways action)になると予想しています。大きな下落もなさそうな反面、大きく上昇することも考えにくいと言うのです。

The good news is with the Federal Reserve out of the picture now that they have said they are in no real rush to hike interest rates, stocks will continue to find buyers in the coming months.
 良い材料は、米国の金融政策を心配する必要がないことだ。連銀は利上げを急がないことを明言しているため、今後の株式の買い材料になるだろう。

・the Federal Reserve:アメリカの中央銀行、FRB
 「FRB」は新聞によく出てきますが、Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)とFederal Reserve Bank(連邦準備銀行)の両方に共通する略称です。ややこしいですが、どちらが出てきても中央銀行(日本の「日本銀行」に相当)だと思って間違いありません。
 アメリカの金融制度では、国全体が12の地区に分けられ、その中の主要都市(サンフランシスコ、シカゴなど)に”Bank”の方のFRB(連邦準備銀行)が置かれて地区全体の金融行政を行います。そしてこれら12の連邦準備銀行を統括するのが、”Board”(理事会)の方のFRBという関係のため、金融政策全体のことを言っている時はBoardを指しているのが普通です。

・out of the picture:無関係な
・in no rush to:〜することを急がない
・hike:(金利を)上げる
 動詞ではraiseもよく使われますが、hikeはそのまま名詞にもなり、ニュースに出てくる「利上げ」はhikeまたはinterest rate hikeです。

 ここでout of pictureと書いているのは、ふだん株式市場(為替市場もそうですが)の投資家は常にFRBの動向を見ながら投資判断をしているためです。アメリカでは、金融危機以来続けてきたゼロ金利政策が終了し、利上げ局面に入っています。しかしFRB自身が利上げのスピードは緩やかになるという見通しを明らかにしているので、当面あまり気にしなくていい、という意味のout of the picture(関係ない)です。

☆ 不安材料も目白押し

But on the downside, investors must still deal with an array of political and geopolitical events that could put downward pressure on stock prices this summer.
 しかし弱気材料を見ると、投資家は依然として、この夏株価を押し下げそうな数々の政治的、地政学的な出来事に対応しなければならない。

・an array of:ずらりと並んだ、数々の
 arrayは「整列、配列」のこと
・geopolitical:地政学的な
・put pressure on:〜に圧力を与える

 夏に懸念される出来事というのは、たとえばイギリスがEUからの離脱を問う国民投票が6月にあります。イギリスではBrexit voteと呼ばれています(「ブレグジット」はBritain + exitの造語)。

 また、アメリカ大統領選では、民主党と共和党がそれぞれ候補を決める党大会を7月に行う予定で、結果によっては株式市場の悪材料になる可能性があります。

☆ 強弱入り混じって昨年と同じような動きに?

 昨年の米国株は、何度かの乱高下がありましたが、年末の水準は前年末とあまり変わりませんでした。多くの市場関係者が、今年も強弱の材料が入り混じって、結局同じような動きになるだろうと予想しています。

 強気の根拠は、米国経済がゆっくりでも成長を続けるという見方です。住宅市場は史上最高に近づく活況で、雇用も改善を続けています。また金利水準が低いことも景気を後押しします。

 一方、弱気の主な根拠は、株価の源泉となるべき企業収益が伸び悩んでいることです。

Corporate America isn’t making as much money as it did a few years ago, with corporate earnings contracting the past two quarters and expected to shrink in the first two quarters of 2016.
 「企業国家アメリカ」は以前に比べ利益を上げていない。企業収益は過去2四半期にわたって減少しており、2016年の第1・2四半期も縮小する見込みだ。

・Corporate America:「企業国家アメリカ」
 アメリカの産業界全体を指す言葉で、自由な企業活動に基づく資本主義体制
を原則としている米国を、こう呼んでいます。
・make money:利益を上げる
・corporate earnings:企業収益
・contract:縮小する
・shrink:縮小する

 強気な見方をする人も、実はもっと力強い材料が必要と思っているようです。それはアメリカやヨーロッパの景気が上向きであるというはっきりした裏付けやドルの安定、また中国景気の回復も待ち望まれています。

 日本の株価の先行きの不透明感が解消されるためにも、アメリカ株価に早く明るい兆しが見えるといいですね。

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