カントリー音楽のレジェンド、マール・ハガード死去

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 伝説的なカントリー歌手のマール・ハガードが、肺炎による合併症のために4月6日に亡くなりました。彼の音楽はカントリーだけでなく幅広いジャンルのミュージシャンに影響を与え、元ビートルズのリンゴ・スターもツイッターで「マール・ハガードに神の御加護を。彼の遺族に平穏と愛を。マールは僕のヒーローだった。平穏と愛を」と彼を追悼しました。

 今回は歌詞も交えて英語を学びながら、偉大な歌手の足跡をたどります。(英文は、”Merle Haggard, Country Music’s Outlaw Hero, Dies at 79″ New York Times 2016/4/6付)

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☆反骨の歌手

Merle Haggard, one of the most successful singers in the history of country music, a contrarian populist whose songs about his scuffling early life and his time in prison made him the closest thing that the genre had to a real-life outlaw hero, died at his ranch in Northern California on Wednesday, his 79th birthday.
 最も成功したカントリー歌手の1人に数えられるマール・ハガードが、カリフォルニア州北部の自宅で79歳の誕生日に死去した。反骨のポピュリストであった彼は、若いころの荒れた生活や刑務所での日々を自ら歌い、ならず者のヒーローを地で行くカントリー歌手となった。

・contrarian:人と反対の行動を取る人→「反骨の人」
  contrary(反対の)な人という意味です。
・populist:大衆主義者、ポピュリスト
・scuffling:けんかに明け暮れた
  scuffle(取っ組み合いをする)
・prison:刑務所
  刑務所はjailという単語もありますが、これは同じ発音(ジェイル)でgaolというスペルもあります。
・genre:ジャンル
・outlaw:無法者、やくざ者

 ハガードは60年の歌手生活の中で、全米ナンバーワンヒットを30回以上記録しましたが、若い頃は決して順調ではありませんでした。

Unlike his friend Johnny Cash, Mr. Haggard didn’t merely visit San Quentin State Prison in California to perform for the inmates. Convicted of burglary in 1957, he served nearly three years there and spent his 21st birthday in solitary confinement.
 (同じカントリー歌手で)友人のジョニー・キャッシュとは違い、ハガードは囚人の慰問のためだけにカリフォルニア州のサン・クエンティン州立刑務所を訪れたのではない。彼は強盗罪で1957年から約3年間ここに収監され、21歳の誕生日は独房で迎えた。

・San Quentin State Prison:サン・クエンティン州立刑務所
  1852年に開設された州内最古、全米最大の刑務所。
・inmate:囚人、受刑者
・convicted:有罪判決を受けた
  convictは動詞(有罪判決を出す)では後ろにアクセントがありますが、名詞(受刑者)では前を強く発音します。
・burglary:強盗、窃盗
  burglar「強盗犯、窃盗犯」
・solitary confinement:独房監禁

☆ジョニー・キャッシュとの出会い

 後に友人となるジョニー・キャッシュは、ハガードがいた1958年の元日にサン・クエンティン州立刑務所の慰問行事に出演しました。このステージを見たのがきっかけで、ハガードは以前から始めていた歌作りに真剣に取り組むようになり、21歳で仮釈放された後は肉体労働のかたわら歌い初めました。

Mr. Haggard went on to write “Mama Tried,” “Branded Man” and several other candid songs about his incarceration.
 ハガードはその後「ママ・トライド」「ブランデッド・マン」など、獄中生活をありのままに描いた曲を作った。

・go on to:(続けて)次に〜する
・candid:率直な、ありのままの
・incarceration:投獄

Many of his other recordings championed the struggles of the working class from which he rose.
 彼はその他にも多くの曲で、苦しい毎日を生き抜く労働者階級を力づけた。彼自身そこから身を立てたのだ。

・champion:支持する、擁護する
・rise:出世する
 

☆自分の過去もあからさまに歌う

 自分の暗い過去を正直に明かすべきだとハガードに勧めたのもジョニー・キャッシュでした。話せば観客は必ず味方になってくれると説得するキャッシュに動かされ、その通りにしたことから彼は観客や視聴者に受け入れられるようになり、ヒット曲が次々と生まれました。

Mr. Haggard was probably best known for his controversial hit “Okie From Muskogee,” a flippant broadside, released in 1969, that defended conservative heartland values against the hippie counterculture.
 ハガードを最も有名にしたのは恐らく「マスコギーから来た男」という問題作のヒットだっただろう。1969年に発表されたこの曲は、ヒッピーの反体制文化を痛烈に非難し、アメリカ中部の保守的な価値観を擁護した。

・controversial:議論を起こす
・flippant:ぶしつけな、率直な
・broadside:非難
・heartland:〔アメリカの〕中部地域、ハートランド
  米国の保守的で伝統的な価値観が支配的な地域のこと。
・counterculture:反体制文化

“Okie From Muskogee”はこんな歌です。(Okieは「オクラホマの人」)

We don’t smoke marijuana in Muskogee
We don’t take our trips on LSD
We don’t burn our draft cards down on Main Street
We like living right and being free.

 
 マスコギーではマリファナを吸わない
 LSDでトリップしない
 道で召集令状を焼いたりしない
 まっとうで自由な生活が好きなんだ

☆Sing Me Back Home

 彼には刑務所時代にこんなエピソードがあります。

Haggard considered fleeing from police custody with an inmate nicknamed Rabbit. The other man proceeded with the escape without Mr. Haggard and managed to elude capture until he was caught after fatally shooting a state trooper.
 ハガードはラビットと呼ばれていた男と一緒に留置所から逃げようとした。しかしラビットはハガードを残して1人で脱獄を実行し、逃亡に成功したが、州の騎馬警官を射殺して再び逮捕された。

・flee:逃走する
・police custody:留置
・proceed with:(行動・計画を)進める
・elude:逃れる
・fatally:死にいたるほど
  fatally shoot(射殺する)、fatally injured(致命傷を負って)など。

 その男はハガードのいるサン・クエンティン刑務所に戻され、殺人罪で死刑が確定しました。男は刑の執行を待つ間、子供の頃に母親が歌ってくれたゴスペルをハガードによくリクエストしたそうです。

Sing me back home with a song I used to hear
Make my old memories come alive
Take me away and turn back the years
Sing Me Back Home before I die

 
 昔よく聞いた歌で俺を故郷に連れ戻してくれないか
 昔の思い出をよみがえらせてくれないか
 俺を連れ出して時間を戻してくれないか
 歌って故郷に戻らせてくれ 俺が死ぬ前に

 男の死刑が執行される前夜、ハガードは男の心中を一晩中思いやっていたそうです。”Sing Me Back Home”は、彼が後にその時の体験を歌ったものです。

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