トランプ夫人の演説は「コピペの反面教師」

アメリカ大統領選挙に向け、共和党の党大会で行われたトランプ氏の夫人の演説の「盗用」を教育的見地から見ると・・・?英語と一緒に文書作成のマナーを勉強しましょう。
(英文は、”Teachers are thanking Melania Trump”, BBC.com 2016/7/19)

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Teachers and academics in the UK and the US have taken to Twitter to thank Donald Trump's wife for providing the perfect material to teach their students what plagiarism is and why it is wrong.
 英米の教師や学者がツイッターで続々とドナルド・トランプ氏の夫人に感謝のつぶやきを寄せた。彼女のスピーチが盗用とは何か、またなぜ良くないかについて学生に教える上での絶好の材料を提供してくれたためだ。

(単語チェック)
academics:学者、研究者
taken to:
 take to「~(手段など)を取る」の過去分詞
plagiarism:盗作、盗用
 発音は「プレィジャリズム」。アクセントは前の「レィ」にあります。)

共和党大会の初日(7月18日)、トランプ氏の夫人のメラニアさんが演説しましたが、その中でメラニアさんは、「みずからの言葉は自分との契約で、言ったことは実行し、約束を守る」などと述べました。

ところが「両親から教えられた価値観」というこの部分は、8年前にオバマ大統領のミシェル夫人がその年の大統領選挙の民主党大会で行った演説とそっくりだという指摘が相次いだことから騒ぎに発展しました。

Melania Trump's speech at the Republican National Convention has notable similarities with a speech given by current first lady Michelle Obama in 2008.
 共和党大会でのメラニア・トランプ夫人のスピーチには、ミシェル・オバマ大統領夫人の2008年のスピーチと明らかな類似点がある。

(単語チェック)
Republican National Convention:共和党大会
notable:目立った
similarities:類似点

当初、トランプ陣営の選挙対策責任者は「盗用はない」と公式に否定しました。さらにこの盗用疑惑は、民主党のヒラリー・クリントン候補がメラニア夫人を貶(おとし)めようとするものだ、と責任をクリントン候補に向けました。

しかし演説の2日後になって、トランプ氏のスタッフが「メラニアさんが例として読み上げたミシェル夫人の演説の一部を私が書き留め、草案に盛り込んでしまった」と責任を認めるという、ドタバタのような決着になりました。

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☆ 「絶好のビデオ教材」

ワイオミング州(アメリカ)で英語を教えるブラッド・フランシス氏は、8年生(中学2年生にあたる)に盗作の危険性を教えるための「絶好のビデオ教材」が現れたと言います。

"Melania's speech is probably the most blatant example that I have ever seen. Eighth grade students need very literal examples, and her speech is basically verbatim to Michelle Obama's. It will help them learn absolutely what not to do in their writing," he told BBC News.
 「メラニア夫人のスピーチほど盗用とわかりきった例はこれまで見たことがありません。8年生の学生に理解させるためには典型的な例が必要ですが、このスピーチはどこから見てもミシェル・オバマのものです。このスピーチのおかげで、文章を書く時にしてはいけないことを学生は間違いなく学ぶことができます。」と彼はBBCにコメントした。

(単語チェック)
blatant:(うそなどが)見え透いた、あからさまな
literal:(意味が)文字通りの、元の言葉に忠実な
 literature(文学)と同じ “liter-“なので「言葉」に関係がある、と気がつけばこの単語を知らなくてもほぼ間違えずに読み進められます。
verbatim:一語一語、逐語的に、文字通りに
 これも、verbal(言葉による)の “verb” に気づけば意味が想像できます。
what not to do:してはいけないこと
 what to doは「すべきこと」ですね。否定のnotはto不定詞の前に来ます。

このコメントはトランプ側が責任を認める前のものでしたが、世界中がこういう反応一色でした。これでは認めざるを得ないわけです。

ところで、フランシス氏は仕事で不正に利用したコピペコンテンツを含む文章を大量に読む立場にありますが、今回のスピーチはそれと同程度のルール違反だと言います。

"I have students who try to copy and paste material from the internet all the time to pass it off as their own. That speech was Michelle Obama's intellectual property."
 「私の教えている学生の中には、インターネットで見つけた資料をコピー&ペーストして自分のもののように見せる人が常にいます。あのスピーチはミシェル・オバマの知的財産です。」

(単語チェック)
pass it off as 〜:それを〜としてごまかす
 pass off A as Bは、「AをBとして押し通す(ごまかす)」。
 ここではAが代名詞itなのでpass it offという語順になっています。
intellectual property:知的財産

さらに、ケント大学(イギリス)でジェンダー研究とライティングを専門とするデクラン・カバナ博士も、メラニア夫人の演説ほど盗用の危険性をよく表すものはなく、絶好の実例だやはり彼女に「感謝」しています。

"It completely undercut everything else she was saying and it means people don't trust or believe her words."
 この盗用があることによって、彼女のスピーチのこれ以外の全ての部分もまったく説得力がなくなります。つまり誰も彼女の言うことを信用しません。

(単語チェック)
undercut:~の価値を低下させる、効果をなくす

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☆ どうすれば良かったのか?

カバナ博士は、続けて次のように話しています。

"The proper thing to do would have been to reference Michelle's speech and build upon it, but plagiarising is very embarrassing."
 「ミシェル・オバマのスピーチについて触れ、その上で自分の論を進めるのが妥当な方法だったでしょう。しかしあのような盗用は困ったものです。」

(単語チェック)
reference:~に言及する、~を引き合いに出す
 referenceは名詞(言及、参考、参考文献)の礼を見ることの方が多いですが、このように、そのまま動詞としても使われます。
build upon:〜の上に構築する
embarrassing:当惑させるような
 embarassed(当惑して)と混同しがちですが、現在分詞と過去分詞とは意味の方向が反対です。
 A embarrasses B.(AはBを当惑させる)という関係の時、Aの状態がembarrasingで、Bの状態がembarassedです。

学問の世界での基本的なルールに「引用と言及」があります。他人の文献や業績を利用するのはかまいませんが、その際、出典に言及した上で検討を重ねて行くのです。

その意味で、メラニア夫人は問題になっているスピーチの部分を、「オバマ大統領夫人はこう言いました」という形で紹介して、そこから自分の意見を発展させていくべきだったということです。

いかがでしたか?
コピペ自体が悪いわけではありませんが、あくまで他人が書いたものだとわかるように、というのがルールです。くれぐれもご注意を。

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