プロテニス界を支えるのは男子選手?~大会主催者の発言に騒然

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 3月20日まで行われたテニスのBNPパリバ・オープンの期間中に、この大会のディレクターが「女子は男子テニスの人気に便乗している」などと発言し、スター選手を巻き込んだ騒動に発展しました。

 この記事では、よく使われる慣用表現に注目してみました。慣用表現の勉強にお役立てください。(英文は、”WTA: ‘Alarming’ comments by Indian Wells’ tournament director under review” CNN.com 2016/3/21付)

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☆「女子テニスは男子の人気に便乗」

 そもそもの発端は、大会主催者のトップであるレイモンド・ムーア氏が次のように発言したことでした。

“In my next life when I come back I want to be someone in the WTA, because they ride on the coattails of the men,”
「生まれ変わったら女子テニスの選手になりたい。男子の人気に便乗していられるのだから。」

 ムーア氏はさらに続けました。

“They are very, very lucky. If I was a lady player, I’d go down every night on my knees and thank God that Roger Federer and Rafa Nadal were born, because they have carried this sport. They really have.”
 女子テニス選手はとても幸運だ。もし私が女子選手だったら毎晩ひざまずいて、ロジャー・フェデラーやラファエル・ナダルが生まれてきたことを神に感謝するだろう。彼らが本当にテニス界をここまで引っ張ってきたのだから。

 この発言に、女子世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ選手がいち早く反発したのをきっかけに、ムーア氏に非難が集中し、世界の女子プロテニスを統括する団体WTA(Women’s Tennis Association)も「このような発言は許されない」という公式声明を出すまでに発展しました。

Moore later apologized but the damage had been done and drew swift reaction.
 ムーア氏は後に謝罪したが、もう後の祭り。反応はすぐに現れた。

★チェック★ 慣用表現
 ここまでに英語の慣用表現(イディオム)が3つ出てきました。
・on the coattails of(人):〜の人気に便乗して、〜のおかげで
 最初のパラグラフに出てきますが、coattailは男性のフォーマルコートの背の裾のこと。2つに分かれているので、coattailsと複数形で使うのが普通です。
(例)
 She was looking for fame on the coattails of her husband.
  彼女は夫に便乗して有名になろうとしていた。

動詞rideと一緒にride on the coattails ofとなることが多いですが、onを入れないride the coattails ofとなることもあります。
(例)
 Japan rode the coattails of economic recovery in the US.
  日本はアメリカの景気回復に便乗した。

・go down on one’s knees:ひざまずく
 on one’s kneesで「ひざまずいて」という状態のことですが、go down on one’s kneesは礼拝でひざまずく時も含め、力のある相手に嘆願する時の表現です。

(例)
 He went on his knees begging for his job back.
  彼はひざまずいてもう一度働かせてくれと頼んだ。

 なお、動詞には次のようにいくつかバリエーションがあります。
  go (down) on one’s knees
  get (down) on one’s knees

・damage is done:「後の祭り」
 3つ目のパラグラフのdamage is doneは日本語の「後の祭り」に当たります。この記事では、ムーア氏が謝罪した時(過去)より前に、彼はダメージを受けてしまっていた(各方面から反発が起こっていた)ので、the damage had been doneと過去完了形になっています。

☆選手の反応

 セリーナ・ウィリアムズ選手は、女子選手が誰にもひざまずく理由などないと強調しました。

In backing up her statements, Williams pointed to last year’s U.S. Open, when the women’s final sold out before the men’s for the first time. Williams was chasing a calendar-year grand slam, which hadn’t been accomplished since 1988.
 その裏付けとして、ウィリアムズは昨年の全米オープンで女子決勝のチケットが初めて男子決勝より先に売り切れたことを挙げた。それは彼女にとって1988年以来誰も成しとげていない年間グランドスラムをかけた大会だった。

・calendar-year grand slam:年間グランドスラム

 「あの試合にはフェデラーが出たのですか?それともナダルか他の男子選手が出たのですか?そんなはずはありませんが。」とも付け加えました。実際にはウィリアムズ選手は準決勝で敗れましたが、彼女の快挙を期待して決勝のチケットが早々に完売したことは明らかでした。

 一方、男子テニスのスーパースター、ノバク・ジョコビッチ選手の発言も注目されました。

“I think that our men’s tennis world, ATP world, should fight for more because the stats are showing that we have much more spectators on the men’s tennis matches,” the world No. 1 said. “I think that’s one of the reasons why maybe we should get awarded more.”
 世界ランキング1位のジョコビッチは「男子テニス選手はもっと戦わなければならない。数字で明らかなように男子テニスの試合の方が多くの観客を集めているため、男子はより多額の賞金を得てもおかしくない。」と語った。

・ATP:男子プロテニス協会
  男子プロテニスツアーを運営する団体(Association of Tennis Professionals)。
 
 彼は、男子の方が優れていると言っているわけではなく、多くの観客を集め、入場料などの収入に応じて賞金に差があることこそ平等だという考えです。4大大会のうち全米オープンの賞金が男女で同じことも、彼の念頭にあったのかもしれません。

 ムーア氏の発言の翌日行われた女子決勝で、有利と言われたウィリアムズ選手はアザレンカ選手に敗れました。この事件の影響があったのかはわかりませんが、こういう雑音はやめてほしいですね。

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