ハイテク時代でもなくならない、MLBのサインあの手この手

野球の試合を見ると、コーチが1球ごとに身振り手振りでサインを出しています。これはどのくらい意味があるのでしょうか?MLBのチームの本音を英語の記事で読んでみます。
(英文は、”In a High-Tech Era, Baseball Teams Still Talk With Their Hands”, New York Times, 2016/7/13)

In the moment of pause between pitches, a batter steps back and takes a peek at the third-base coach. The coach executes a series of taps on his body and the batter turns back and prepares for the next pitch. 
 ピッチャーの次の投球までの間合いに、バッターが一歩下がって3塁コーチの方を見る。コーチは何度が自分の体をたたき、バッターは打席に戻って次の投球に備える。

(単語チェック)
pause:中断、小休止
step back:後ろに下がる
peek:ちらっと(そっと)のぞく(見る)こと
taps:軽く打つ(たたく)こと
turn back:引き返す、元に戻る

プロ野球の試合を見ていれば、打席のたびにくりかえされる光景ですね。手で耳をさわったり、何度も拍手したりといった、言葉以外の(nonverbal)手段でいろいろ伝えていますが、見ている観客にはこうしたサインが何を意味するのかはまずわかりません。わかっているのはそのチームの監督、コーチと選手くらいです。ところが、実はそもそも意味がないサインも多いそうです。

現代のプロ野球では、練習にバーチャル・リアリティの機械を取り入れたり、バットスイングをセンサーで分析したり、打球や投球の軌道を科学的に分析したりと、ハイテク化が進んでいます。

その中で、コーチからバッターへ、またキャッチャーからピッチャーへのサインだけは変わることなく使われています。これは本当にそんなに重要なのでしょうか。

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☆ サインの本当の目的

For the most part — according to managers, coaches and players from several teams — the goal of signs is not to deceive an opponent, but rather to make sure a team's own players understand what they are supposed to do. 
 いくつかのチームの監督、コーチ、選手に聞いたところ、ほとんどの場合サインの目的は相手チームをだますことではない。むしろ自分のチームの選手が何をしなければならないかをしっかり理解させることだと言う。

(単語チェック)
for the most part:大部分
manager:監督
 もっとも、アメリカのプロスポーツで監督をmanagerと呼ぶのは野球(MLB)の場合で、バスケットボール(NBA)ではhead coachと呼びます。アメリカンフットボール(NFL)、アイスホッケー(NHL)もcoachまたはhead coachが多くmanagerはほとんど使いません。
deceive:だます、欺く
opponent:敵
supposed to:〜することになっている、〜しなければならない
 What am I supposed to do?
  私はどうすればいいのですか?

野球のサインの元になったのは、南北戦争の時に軍隊で使っていたものです。これなどはまさに自軍内での指示の徹底が第一ですね。野球の試合でサインを出すのはヒット・エンド・ランやバント、盗塁などの時です。

試合を組み立てる立場の監督が、刻々と変わる状況に応じて選手を最も効果的に使うための作戦を選手に伝えるために使うものですが、相手の目をくらますよりも自分たちの選手に戦術を徹底するために出すサインならば、あまり複雑にし過ぎて誤解のリスクは取りたくないでしょう。

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☆ 「サインの8割はダミー」の声も

Joe Espada, the Yankees' third-base coach, said he keeps the complexity of his signs to a minimum, preferring to change the sequence or touches in his progressions rather than to add new ones. "Little bit more complicated for the opponents, not so much for my guys," Espada said.
 ヤンキースのジョー・エスパダ3塁コーチは、サインは複雑さを最小限にとどめることにしている。一連の動きの順番や体の触り方を変えるが、新しい動きを加えることはあまりしない。「相手にとっては少し複雑でも、味方にはそれほどでもないようにする」とエスパダコーチは話している。

(単語チェック)
complexity:複雑さ
keep 〜 to a minimum:〜を最小限に保つ
sequence:順番
progressions:一連、連続

間違ってはいけないのでサインは「味方にはそれほどでもなく」単純にするとしても、「相手にとっては少し複雑に」するために、サインは必ずしも本物ばかりとは限らないというのが1つの作戦です。選手にとって一番大切なのは、ここを間違えないことかもしれません。

One of the common tricks teams use is an indicator touch that alerts players of when a certain play is on. For instance, touching a certain spot before continuing with a sign progression — or forgoing that spot — can tell a player whether the sign is real or a decoy. Other teams use someone in the dugout to send the signs, rather than a coach on the field.
 よくあるしかけの1つは、何かのプレーを行う時を知らせるために体のどこかに触れるというものだ。たとえば、体の特定の場所を触ってから一連のサインに戻る、またはその場所に触らない、といったことでサインが本物か偽物かを選手に伝える。また、グラウンド上のコーチではなくダッグアウトの誰かがサインを伝えるという方法をとるチームもある。

(単語チェック)
indicator:指示するもの
 何かを測定する計器、自動車の方向指示器などの意味でも使われます。
 また経済指標はeconomic indicatorです。
alert:注意喚起する、警告する
 名詞「警告、警報」も同じalertです。
 また形容詞(警戒した)も同じで、次のフレーズはよく聞きます。
  Stay alert。(油断するな)
on:出番が来て、始まって
 We are still on for today.
  今日の約束に変更はありません。
 電気や機械のスイッチが入る(または入った状態)のもonです。
  The light should be on at all times.
   そのランプは常時点灯していなければなりません。
for instance:たとえば(for example)
continue with:〜を続ける
forgo:〜を控える
decoy:おとり、サクラ
dugout:ダッグアウト
 もともとは防空壕のような場所のことです。日本の野球の実況では「ダッグアウト」も「ベンチ」も使いますが、ベンチと言っても長椅子のことだけでなく選手の控えている場所全体を言います。

多くのチームは、サインが盗まれないようにひんぱんに変更するようで、時には試合中に変わることもあるそうです。

それでもシカゴ・カブスで3塁コーチに立つゲイリー・ジョーンズのように、「サインの8割はダミーと言ってもいい」言うコーチもいます。この言葉をその通り信じられるかどうかわかりませんが、チーム同士の心理戦は続けられているようです。

テレビではほとんど選手の姿しか映りませんが、球場に行ったらコーチの動きもよくチェックすると、面白いかもしれませんよ。

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