外国人と居酒屋に行ってみよう その1

こんな時にこんなフレーズ
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近年、居酒屋は外国人にとても人気があります。
居酒屋に出てくる料理が珍しいからというよりも、居酒屋というスタイルそのものが日本独特のようで、「居酒屋で食事がしたいから連れて行って」なんてことを筆者がガイドの仕事をしているなかでもよく言われます。

何でも少しずつ選べるのがすばらしい

日本人にとっては日常の一部である居酒屋は、実はとてもすばらしいシステムなんです。
一緒に食事をする仲間どうしが、それぞれの好みのものを注文し、それを全員でシェアすることができるのです。外国人旅行者にとっては、限られた旅行日程のなかで食事回数というのは実はそんなに多くありませんから、ひとつの食事チャンスにおいてさまざまな料理を味わえるのはとても都合がよいのです。
昼に寿司、夜には天ぷらを食べて、明日はラーメンとそば…うなぎはいつ食べよう?……そんな風に食事計画を立てていくのも大変ですから、ずばりここはワンストップサービスの居酒屋が有力な選択肢となってくるわけです。写真掲載のあるメニューならなおさら、日本風に見えるものを片っ端から注文していけるので便利です。この点が外国人に隠れた恩恵をもたらしています。

さあ、次のように誘ってみましょう。

・Do you feel like drinking at our local type alcohol spot?
(日本人のふだん行く感じのところで飲んでみませんか?)
・Do you want an Izakaya experience? It allows you many food choices at reasonable prices.
(居酒屋体験してみませんか? 安くて、食べ物のチョイスもたくさんあるんですよ。)

雰囲気が好き

人によっては「安いからいい」「気楽だからいい」といった視点で居酒屋が好きな人もいるかもしれませんが、それもあながち間違いではないでしょうね。
サラリーマンが取引先の相手と食事をするのに、割烹やフレンチレストランに連れて行っては堅苦しいままでいつまでも相手と打ち解ける気がしませんし、しかもそんなに高額な経費が使えないのが一般的です。逆にファミレスの場合は、ビールを何杯もおかわりする雰囲気ではないため1時間でパっと出ないといけない気がする、なんて気忙しさがつのります。
居酒屋ならゆっくりと、自分たちのペースで会話を深めていけるのがいいですね。とはいえ、週末の繁華街では2時間制で席を空け渡さなくてはいけないこともありますから、この点だけ注意が必要です。
次のように特徴を説明できます。

・Izakaya is a cozy space for everyone, not like a formal restaurant.
(居酒屋はフォーマルなレストランと違って、誰にとっても居心地がいいんです。)
・Prices are reasonable so you can choose lots of dishes from among here.
(価格がお手頃だから、ここからたくさん選んで注文しても大丈夫ですよ。)
・We are supposed to stay here up to two hours as it is Friday today.
(今日は金曜ですから、座席は2時間制になっているんです。)

座席は? 靴は?

ご存じのとおり、居酒屋にもさまざまな座席タイプがあるので、お連れの外国人が靴を脱ぐのがいやな場合はテーブル席のお店に連れて行ってあげましょう。日本人は靴を脱いだらリラックス感を得るのが一般的なのでしょうけれど、逆に外国人にとっては「いつもと違う」感じで落ち着かない」のかもしれません。
事前に確認してあげてください。

・Do you want to try a Tatami seat?  It’s a Japanese experience if you don’t mind taking off your shoes.
(たたみの席に座ってみますか? 靴を脱がないといけませんけれど日本風の体験になりますよ。)
・This is a typical seat, “Horigotatsu”. You take off shoes first, and put your legs in.
(これはよくある「掘りごたつ」というものです。靴を脱いだら、脚を入れるんです。)
・Which do you prefer, a table seat or a bar seat?
(テーブル席とカウンター席ではどちらが好みですか?)
・It’s full-house now. Do you mind sharing a table with other customers?
(あいにく満席のようですが、相席ではいけませんか?)
・Use those slippers when you go to the restroom. You don’t need to get your shoes back from the shoe box.
(お手洗いに行くならあのスリッパを履いてください。わざわざ靴箱から自分の靴を持って来なくていいですよ。)

おしぼりが評判よし

日本人が当たり前と思っていてその価値を見落としているものの1つに、おしぼり文化があります。
お客が着席したら、メニューとともに人数分のおしぼりを店員が配ってくれますよね。最近ではチェーンのファミレスなんかだと布製のおしぼりを配ることがなくなり、味気ないフィルムに入ったウェットティッシュだったりしますが、居酒屋ではまだまだおしぼりが健在です。このおしぼりが、外国人に「気が利くぅ!」と人気なんです。肌に触れたときに気持ちが良いように、客に配る直前までヒーター(あるいは冷蔵庫)の中で保管しておいてくれますから、なるほど確かに好評価なのでしょう。
サービスのよい店だと、ラストオーダーを注文したらおしぼりを替えてくれますが、これも再評価されます。おしぼりは次のように説明してあげましょう。

・Here’s your hot / cold towel. This is offered to each customer for hand sanitation.
(はい、これがあなたのおしぼりです。すべてのお客に手拭きとして配られます。)
・Cold Oshibori are used in summer and hot Oshibori are used in winter, which is Japanese hospitality.
(夏には冷たいおしぼり、冬にはあたたかいおしぼりになります。これが日本流おもてなしです。)
・It makes you feel like a first class passenger in a flight, huh?
(飛行機のファーストクラスのお客さんみたいな気分を味わえると思いませんか?)

「お通し」は不評

逆に評判がいまいちなのが「お通し」です。「突き出し」なんて言い方をする場合もありますね。
注文してもいないのに、なぜか小皿が出てきて、300~500円の料金がとられます。たまたま大好きな食べ物だったらラッキーですけれど、ほとんどのケースがそうではないわけですから、強制的に小皿を提供されるこの文化をうまく外国人に説明するのは簡単ではありません。
次のように言って、なだめてみましょう。

・This is a kind of appetizer, called “Otoshi.” It is a Japaneze style bar charge.
(これは「お通し」っていう前菜みたいなものです。日本流のバーチャージみたいなものです。)
・This is a welcome-appetizer. We can start chatting now with this small dish.
(これは一種のウェルカムディッシュです。これがあれば今もう食べながらおしゃべり開始できますからね。)
・It’s absolutely no good for stomach if we go drinking beer first when hungry. So ready- to- eat food is helpful.
(空腹にいきなりビールは胃に悪いですから、すぐに食べられるものがあるのって助かるんですよ。)

あなたのお連れする外国人にどうしても食べられないものがあれば、あなたから店におことわりを入れてあげましょう。
お通しの内容がエビやカニなどの甲殻類ならば「アレルギーなのですみませんが…」と言い出しやすいと思います。ほかに外国人が苦手とするサザエ、生魚系、また昆布巻きなども、「何かほかのものに替えていただけませんか」とダメもとで伝えてみるとよいでしょう。チェーン店では対応が難しいかもしれませんが、個人経営の店ではなにかしら処置をとってくれることも期待できます。

さあ次の記事では、いよいよオーダーの場面です。どんなものが喜ばれるでしょうか? お楽しみに!

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