「映画館でスマホOK」どう思う?

 映画を楽しんでいる最中に、ふと気がつくと隣でスマートフォンが光っていたら・・・?アメリカの大手映画チェーンが「上映中にスマホを使える映画館があってもいいのでは?」と提案したところ、顧客の強い反対にあって実現しませんでした。

 映画産業の悩みにふれた記事で、英語を学びます。(英文は、”Should you be allowed to use a phone in the cinema?” BBC News 2016/4/19付)

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☆ マルチタスクが当たり前の世代

 そもそもこの提案をしたのは、若者にもっと映画館に来てもらおうと考えたのが始まりでした。今の若者の行動様式を示す、こんな調査結果があります。

A survey in 2012 found that a majority of 18-to-34-year-olds believed using social media while watching a movie would add to their experience.
 2012年に行われた調査では、18歳から34歳までの層では「上映中にソーシャルメディアを使えるならばもっと映画館に行く」という回答が多数を占めた。

・add to:〜を増す、大きくする

◆addの熟語
 addは「加える」(他動詞)だけでなく次のような熟語をよく使います。
 add to
  His bad attitude only added to his trouble.
   彼は態度が悪いので、自分の問題をますます深刻にした。
  The game added to the fun.
   ゲームで場が一層盛り上がった。
 
 add up(計算が合う)
  The figures don’t add up.
   計算が合わない。
 add up to(合計が〜になる)
  Two and three add up to five.
   2足す3は5になる。

“Young people place a high value on being ‘always on’,” says sociologist Julie Albright. “Millennials have become very good at multi-tasking so they think nothing of looking at their phone while doing other sorts of things.”
 「若者にとって『つなぎっぱなし』でいられることが大切だ。」と言うのは社会学者のジュリー・オルブライト氏だ。「ミレニアル世代はマルチタスクが得意なので、他のことをしながら電話に目をやることを何とも思わない。」

・always on:つなぎっぱなしの
・millennials:新世紀世代、ミレニアル世代(Millennial Generation)
  1980年前後から2005年ごろにかけて生まれた世代。
  (10代からデジタル環境になじんだ初の世代とされています。)
・multi-tasking:マルチタスク(一度に複数の仕事をこなすこと)
  multitasker(同時に複数のことをする人)という名詞もあります。
・thing nothing of:〜を何とも思わない

◆think 〜 of A
 この「〜」の部分を本文のnothingからいろいろ置き換えることができます。程度や良し悪しを表す言葉が入りますが、3つ目の例のように、muchの場合は否定文で使われます。

 think highly of A(Aを高く評価する)
  He seems to think highly of you.
   彼は君を高く買っているようだ。
 think well of A(Aを気に入っている)
  Everyone thinks well of her.
   誰もが彼女を気に入っている。
 not think much of A(Aをあまり好きではない)
  I don’t think much of his novels.
   彼の小説はあまり好きではない。

 映画館でスマートフォンを使えたらいいと思う人は、実はこうした「スマホ漬け」の人ばかりではありません。

“Some of the worst offenders in terms of texting in movies are often slightly older – maybe someone who has left their children with a babysitter and is checking up on them.”
 映画館で携帯メールを打っているという点で一番問題な人の中には、もう少し年上の年代層も多く含まれている。おそらく子供をベビーシッターに預けて家に残していて、様子を確かめるためのメールを打つ人たちだ。

・offender:違反者、不快なもの
・texting:携帯メールの送受信(text messaging)
  textは「携帯メールを書く」という動詞
・check up on:〜を点検する

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☆ 映画業界の悩み

 一方で、映画のDVD化やインターネットによるストリーミング配信のタイミングが早くなったために、観客数が年々減っている映画産業界は、何とか巻き返しの手段を考えなければなりません。「スマホOK」という苦肉の策は猛反対にあってしまいましたが、その他にも、ゆっくり飲食をしながら鑑賞できる特別席を用意する映画館も増えています。

 1つのアイデアとして、メール可能(”texting friendly”)エリアを作ってはどうかという考えもあります。しかし隣の人のメールが気になる人は喜ぶかもしれませんが、映画ファンを2つのグループに分けてしまうのはどうかという声もあり、むずかしいところです。

 「そもそも『周りに迷惑な音や光を出さないように』という注意を守らせない映画館が問題だ」という映画ファンの声を重視して、「メール厳禁」を売りにするところもあります。

In 2011 Alamo Drafthouse, a cinema chain based in Austin, Texas, posted a YouTube video of a voicemail message left by a seething customer after she was kicked out for using her phone. The video went viral and Alamo Drafthouse went on to use it as a public service announcement before screenings.
 2011年に、テキサス州オースチンのアラモ・ドラフトハウスという映画チェーンは、上映中に電話を使ったために退出させられた観客からの激しい抗議メッセージをYouTubeの動画にして投稿した。この動画が口コミで広がると、アラモ・ドラフトハウスは上映前にスクリーンで流すようになった。

 しかし多くの映画館では、こうしたやり方に伴うリスクを恐れてそこまで踏み込むことができません。

The dilemma remains for other chains still struggling to attract new audiences while keeping core customers happy. The latest outcry over texting in cinemas will deter them from considering this option.
 他の映画チェーンにとっても、新たな顧客を引きつけながら従来からのコアな映画ファンにも喜んでもらうという2つの課題の間のジレンマは消えない。映画館でのスマートフォン許容という今回の提案は、激しい非難の声によって検討対象から外れるだろう。

・outcry:激しい抗議、非難
・deter A from B:AにBを思いとどまらせる

 残念ながら、たった2時間程度でもがまんできないのか?という考え方が通用しなくなった今の世の中では、両方のニーズを満たす名案が近い将来出てくる可能性は低いようです。

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