イギリス初の女性首相を目指した、メイ新首相の素顔

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イギリスのEU離脱の結果首相が交代して、女性のテリーザ・メイ前内相が7月13日に新首相に就任しました。これまで日本のニュースではあまり名前の出なかったメイ首相とは、どんな人なのでしょうか?英語で読んでみましょう。
(英文は、”Who is Theresa May: A profile of UK’s next prime minister”, BBC News 2016/7/12)

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The 59-year-old home secretary's carefully cultivated image of political dependability and unflappability appears to have made her the right person at the right time as the fallout from the UK's vote to leave the EU smashed possible rivals out of contention.
 59歳になる内務大臣のメイ氏は、政治家としての信頼性と平静さを兼ね備えたイメージを着々と作り上げてきた。こうした人物像は、イギリスが国民投票でEUからの離脱を決めた結果首相レースのライバルたちが脱落した時に、まさに最高の選択に見えた。

(単語チェック)
home secretary:(イギリスの)内務大臣、内相
 イギリスの内務省は、出入国管理、セキュリティ、治安等に関する政策を担当する役所で、警察、国境局、保安部(MI5)などが管轄下にあります。
cultivated:育てた
 cultivateは「(田畑を)耕す」から「(植物などを)育てる」、さらに「(能力を)養成する、(人を)洗練させる」といった意味に広がります。
dependability:信頼性
 depend(頼る)+ able(できる)の名詞形です。
unflappability:(物事に動じない)平静さ
 flapは「はためく、ひらひらする」から「動揺する、あわてふためく」
 un(反対)+ flap(動揺する)+ able(できる)→動揺させられない
right person at the right time:適切な時期に現れた人
 right man in the right place(適材適所)と似ています。
fallout:副産物、予期しない影響
 動詞でfall outは「結局〜となる」
 It falls out often that rich men are not blessed by God.
  金持ちが(最終的に)神の祝福を受けられないことは良くある。
smash:(敵を)打ち破る
contention:闘争、争い

メイ首相は、政治家になった当初から英国初の女性首相を目指していました。実際にここ数年は将来の首相候補の1人に数えられていましたが、キャメロン政権が当分続くと思われていたため実現はまだ先のことと思われていました。

ところがEU離脱が決まりキャメロン首相が辞任したことにより、党内が結束して推せる首相候補として、メイ氏が急浮上しました。

☆ 無人島に「ヴォーグ」の予約権を持っていく

In the early days at Westminster she became known for her exuberant choice of footwear - her kitten heels became famous in political circles in the noughties, while she named a lifetime subscription to Vogue as the luxury item she would take to a desert island.
 国会議員になって間もないころ、彼女はいろいろな靴を履いて現れることで評判になった。キトン・ヒールの靴は2000年代の政界で有名になったが、彼女自身も「無人島に持っていくぜいたく品」の中に雑誌「ヴォーグ」の生涯購読権を挙げているほどで、ファッションに熱心なことがわかる。

(単語チェック)
Westminster:イギリス議会
 ウェストミンスター(正式名称はCity of Westminster)に国会議事堂があります。(日本で言う「永田町」です。)
exuberant:豊富な
footwear:履き物
 footwearは集合名詞なので複数形にはなりません。
kitten heels:キトン・ヒール
 kittenは「子猫」。
 女性用の3.5cm~5cm程度の細くとがったヒール。当初はハイヒールに慣れない少女の間で流行しましたが、その後女優のオードリー・ヘップバーンの影響で大人にも広まりました。
noughties:2000年から2009年の10年間
 noughtは「ゼロ」のことで、イギリス人はzeroよりnoughtをよく使います。
subscription:(新聞・雑誌などの)購読予約
luxury item:高級品、ぜいたく品
desert island:無人島
 desertには、名詞「砂漠」と、形容詞「無人の、荒れ果てた」があります。

☆ 「サッチャー首相」に悔しがる

メイ首相は1956年に英国国教会の司祭の家に生まれ、早くから政治家を志してオックスフォード大学に進学しました。卒業後はイングランド銀行で働き始め、1997年に下院議員に初当選。2010年のキャメロン政権の内務大臣に就任しました。

大学時代の彼女について、当時の友人がラジオ番組でこう話しています。

"I cannot remember a time when she did not have political ambitions. I well remember, at the time, that she did want to become the first woman prime minister and she was quite irritated when Margaret Thatcher got there first."
 私が覚えている彼女は、いつも政治的な野心を持っていました。当時から自分が絶対にイギリス最初の女性首相になりたいと思っていたのをよく覚えています。そしてマーガレット・サッチャーがその座についた時にとても悔しがっていたことも。

(単語チェック)
ambitions:野心、大志
prime minister:首相
irritated:いらだって
got there:目的を達する
 get thereは「そこに到着する」が最初の意味です。
 Try again, you’ll get there in the end.
  もう一度やれば、最後にはうまくいくよ。

しかし政治家としてのスタートは、決して易しくはありませんでした。

She first dipped her toe in the water in 1992, where she stood in the safe Labour seat of North West Durham, coming a distant second to Hilary Armstrong, who went on to become Labour's chief whip in the Blair government. 
 彼女の最初の国政選挙は1992年、ノースウェストダラムで立候補した。ここは労働党が圧倒的に優勢な選挙区で、彼女は大差の2位で落選した。当選したヒラリー・アームストロングは後にブレア政権時代に労働党の院内幹事長になった。

(単語チェック)
dipped her toe in the water:足を踏み入れた
 dip one’s toe inで「(新しいことを)試しにやってみる」。the waterが付いても同じです。
stood:(選挙に)立候補した(←stand)
Labour:労働党(laborはイギリスではlabourとつづります)
distant:大差の
chief whip:(イギリス議会の政党の)院内幹事長

しかし5年後の1997年、彼女は別の選挙区でついに下院議員に当選すると、その2年後には「影の内閣」の教育大臣になり、2002年には党の実質的ナンバー2である議長(Chairman)に女性として初めて選ばれました。

(イギリスでは野党第1党の党首が「影の首相(Leader of the Opposition)」に就任し、国会議員から影の閣僚を任命して影の内閣(shadow cabinet)を組織します。選挙で勝った時に直ちに政権を担当する準備をしておくためです。)

その後党内の要職を歴任して、今回ついに首相になったメイ氏は政界で「冷たい」「難しい」と評されることもあります。その冷静さを「氷の女王」と呼ぶ人もいます。

ただそれは、サッチャー元首相が「鉄の女」と呼ばれたように、メイ氏の強力な指導者としての素養と、落ち着いて確信を持って進む力が認められている証拠かもしれません。

首相として最初の仕事は、EU加盟国との離脱に関する難しい交渉になりますが、どんな手腕を発揮するか注目されますね。

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