ESPNから読み解く、サムライブルーの内実 前編

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ESPNはスポーツ専門チャンネルということもあって、ESPNサイトに掲載されいている記事は知識がないと読みきることができません。その点が親切に書いてくれているジャパンタイムスとは違うところです。

とはいえ、今回取り上げる記事は、先日発表されたワールドカップロシア大会の日本代表メンバー選出に関する記事。日本人であるみなさんなら、読むことができると思います。西野監督のコメントの訳も掲載されています。短い記事なので、それほど負担はないと思います。
ぜひ読んでみてください。

今回は、まず記事前半の部分を取り上げます。次回は、後半の西野監督のコメントの英訳について調べてみたいと思います。

ESPNサイト情報
Japan name World Cup squad;
Arsenal’s Takuma Asano among those cut
ESPN May 31 by John Duerden

記事のタイトル

Japan name World Cup squad;Arsenal's Takuma Asano among those cut
「日本はワールドカップ代表選手を発表した。しかしアーセナルの浅野拓磨は選出されず。」

このタイトルを見た時、浅野選手はア―セナル所属ではないのでは、と思った方もいるかもしれません。しかし、浅野選手はアーセナル所属です。ビザの関係で英国でプレーすることができず、現在はドイツのチームにレンタルというかたちで所属しているのです。そのへんの事情をしらないと、このタイトルでは中途半端に混乱しますよね。これは英語とは関係ないことですが、このへんがESPNなのです。

肝心な英語のほうを見ていきましょう。

name
動詞です。直訳的には「名前を挙げる」です。この場合は「選手名簿を発表した」という訳になります。

World Cup squad
ワールドカップ代表チームという意味です。
squadには軍隊や警察の隊という意味がありますが、スポーツチームという意味でも使われます。

セミコロン;
このセミコロンは接続詞のかわりと考えられます。
この場合はbutを意味します。日本語にしますと、「しかし浅野拓磨は選出されず。」ということです。

Arsenal's Takuma Asano among those cut

実際はドイツのチームでプレーしているのですが、プレミアリーグのアーセナルに所属としたほうが、事実でもありますし、聞こえがいいということです。

among those cut、この語順は文法的には倒置法の一種です。
among thoseはいうまでもなくWorld Cup squad、選出メンバーのことです。
そしてなんと驚いたことに、浅野選手はcutなのです。省かれていた、選出されなかった、ということです。この記事を書いた記者から見ると、かなり驚くべきことだと表現されているのです。それであえてcutを後に持ってきているのです。ここでアーセナルと書かれた意味がはっきりしてきますね。プレミアリーグの名門アーセナルに所属している選手なんですよ、その選手が落選するなんて、という驚きを強調できているのです。
ここではbe 動詞 was は省略されています。

記事の文章

Takuma Asano of Arsenal and Leeds United's Yosuke Ideguchi were among the players cut as Japan confirmed their final 23-man squad for the 2018 World Cup.
「アーセナルの浅野拓磨とユナイテッドリーズの井手口陽介は、日本が2018年ワールドカップ代表メンバー最終23名のチームメンバーを最終的に発表した際に、その選出選手リストから省かれた。」

井手口選手がユナイテッドリーズ?と思われた方もいるかもしれません。井手口選手も浅野選手と同じ状況にあります。プレミアリーグのリーズに所属しましたが、浅野選手と同様に労働ビザの取得ができず、スペインのチームにレンタル移籍されているのです
この文章では、浅野選手と井手口選手が主語です。受動態でwere cutとなっています。選ばれなかったという意味です。タイトルではamong thoseでしたが、ここではamong the playersとなっています。

23-man とは23人の男子ということですが、23-manという形で形容詞としているため複数形のmenにはなりません。また、confirmedは最終的な発表であるという意味を表しています。
接続詞でasを使っていますが、asを使うのはこの記者のクセのような気がします。

Coach Akira Nishino opted for experience as young midfield duo Asano and Ideguchi, on loan to Stuttgart in Germany and Cultural Leonesa in Spain respectively, failed to make final grade after being named in the preliminary list of 27 earlier in May.
「監督の西野朗は経験というものを選択し、一方で、若いミッドフィールダー二人、それぞれドイツのシュトゥットガルトとスペインのクルトゥラル・レオネサにレンタル移籍中の浅野と井手口は5月はじめに選出された予備的な27人のリストには登録されたが、最終メンバーに入ることはなかった。」

opt
optは日本では教科書に出てこない単語ですね。
たった3文字の簡単な動詞ですが、日本で英語を勉強しているとあまりお目にかかることはありません。
optは選ぶ、選択するという意味です。optは自動詞で、for+名詞あるいはto不定詞が続きます。
名詞形のoptionだとなじみがありますね。

coach
意味は同じですけれど、監督という言葉は使わないのですねコーチ、coachです。ヘッドコーチを意味しています。trainerなんて言ったりすることもあります。
野球の監督の場合は、managerということが多いようです。ただし、英国ですとサッカーの監督もmanagerです。
映画監督ですとdirectorですがスポーツチームの監督には使われません。
注意してくださいね。

make grade
failed to make final gradeは最終的には選ばれなかったという意味ですが、直訳的には最終試験に落第したとか失敗した、あるいは成功を収めることはできなかった、ということになります。

Kento Misao of Kashima Antlers was the third player to be dropped while Sanfrecce Hiroshima midfielder Toshihiro Aoyama withdrew through injury.
「鹿島アントラーズの三竿健斗は3人目の落選の選手であり、サンフレッチェ広島ミッドフィルダー青山敏弘は怪我のために離脱した。」

withdraw
撤退するという意味です。

through
よって、という意味で、原因や理由を示しています。

Veterans of the 2014 finals such as Shinji Kagawa, Keisuke Honda and Shinji Okazaki were all selected.
「2014年の最終メンバーであったベテラン勢、香川、本田、岡崎は選出された。」

veteranという単語は色々な意味がありますが、ここであえて言うならば「退役した軍人」というところでしょうか。現役だとしても老兵といった意味になります。
形容詞であるなら「歴戦の」とか「老練な」というように訳すこともできますが、ここでは明らかに名詞として使っていますから、この記者の本音の部分が出ているのではないかと思います。

浅野拓磨選手を特に取り上げているのには、実は理由があります。
2017年8月31日に浅野拓磨選手はアジア予選のオーストラリア戦で大活躍したからです。その時、浅野選手は貴重な先制点を挙げて、今回のワールドカップ出場決定に大きく貢献していたのです。

浅野選手は30mを3.67秒で走ることができます。これはウサイン・ボルトのスピードを上回る記録です。あのウサイン・ボルトでさえ、30mの記録は3.78秒なのです。

まとめ

浅野選手や井手口選手がビザの関係で英国でプレーすることができなかったのはなぜなのでしょうか。
それはイングランドサッカー協会の定める規定と関係しています。
イギリスでは自国選手の出場機会を確保するために、プレミアリーグにおいてEU以外の選手を獲得する際は、その選手が代表選手として一定の経歴の水準を満たしていなければならないという規定をイングランドサッカー協会は設けているからなのです。

従って、浅野選手は日本代表としてのキャリアが不足だったといえるでしょう。
次回は今回取り上げた掲載されたている西野監督のコメントの英訳部分をご紹介します。

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