日本の食文化を外国人に説明してみよう(定食編)

こんな時にこんなフレーズ
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いまや日本食レストランは世界中にあふれていますが、それでもラーメンや寿司、天ぷらなど決まったものが中心になりがちですね。外国人旅行者が日本に来てはじめて、「へえ、これも日本食なんだ!」と驚くことは至極当然と言えます。
そのとき、あなたは英語でどう説明しますか? This is miso soup. (味噌汁)/ This is Japanese pickles.(漬物)といったモノの説明だけでなく、ぜひそこにもうひとこと付け加えてあげたいものです。これは日本人にとってどういうものなのか、デイリーな食べ物なのか特別なものなのか…etc。材料と味付けだけでなく、文化的側面でも話を膨らますことができたら最高のおもてなしになります。本日は、通訳ガイドである筆者が、ガイド現場でよく説明する食べ物・食文化を数回にわたってご紹介してまいります。本記事はその第一弾です。

その①「定食」という概念をわかってもらう

 「定食」をあらためて定義するとどういうことだと思いますか? 外国人のお客さんには、まずは「定食」がセットメニューであること理解してもらうのが一番です。「a set meal」と言ったり「a combo」と言ったりできますね。そして、コース料理のように1皿ずつ順番に出てくるのではなく、「at the same time」(同時に)それらが提供されるというのも説明のポイントです。ワンプレートで提供されるのではなく、大皿と小皿と椀と、それぞれ目的に応じた器の組み合わせで出される点も日本文化らしくていいですね。
 さあ、では「定食」がどういった構成になっているのか、また日本人にとってどういうものなのかを説明してみましょう。

・It has a main dish, a side dish, a pickles dish, a soup bowl, and a rice bowl.  Mainly five items are served in a tray.
(主菜、副菜、漬物、味噌汁、ごはんの5種類がお盆に乗せて運ばれてきます。)
・It is thought to be an ideal meal of perfect nutrition.
(栄養面で完璧な食事だと考えられています。)
・People mainly eat Teishoku at lunch time.
(定食はたいてい昼食時に食べられています。)
・Most of the Teishoku restaurants show several choices of main dish and side dish on the menu. 
(たいていの定食屋では、主菜も副菜もいくつかの中から選べるようになっています。)
・Teishoku is a daily style for Japanese people, so it is not suitable for 10 year’s wedding anniversary.
(定食は日本人にとって日常のものですから、結婚10周年記念の食事には向きません。)

その②ビジネスマンの戦闘食としての「定食」

外国人観光客の行くようなレストランには、もしかして「定食」はないかもしれませんね。しかし、オフィス街を見てみるとどうでしょう。どこもかしこも「定食」屋ばかりではありませんか。外国人のお友達と築地寿司街に行った帰りには、徒歩ですぐの新橋・日本橋といったオフィス街へぜひ足をのばしてみてください。ここでは観光色はゼロなので、典型的な日本のサラリーマンのランチタイムが垣間見えてよいコントラストになります。さあ、定食屋の集まる通りを歩きながら説明してみましょう。

・There are countless of beer restaurants for office workers around here, but at lunch time they operate as a Teishoku restaurant to serve only Teishoku.
(このあたりにはサラリーマン向けの居酒屋が多いんですが、昼食時にはそれらが定食専門の定食屋になるんです。)
・Customers can eat at the same restaurant for a whole week if they choose “today’s special” every time.
(「本日のおすすめ(日替わり)」を注文することで、一週間毎日同じ場所で食べることだって可能です。)
・Some of the Teishoku restaurants give customers a free serve of rice.
(ごはんについてはおかわり自由になっている定食屋もあります。)
・Most of Teishoku cost around 800 yen, which is affordable for young workers.
(多くの場合、定食は800円程度なので、若い世代のお財布にもやさしいのです。)
・Teishoku gives you a balanced-nutrition and its portions is basically big, so there are a lot of Teishoku fans in Japan.
(定食は栄養バランスも量もしっかりあるので、定食好きの日本人は多いですよ。)

その③どんな食べ物が「定食」に入っている?

では、定食の1つ1つのアイテムについても見ていきましょう。主菜はしっかり名前がついている料理が多いですが、副菜となるとその店オリジナルのものになっていることもあり、必ずしも訳語がぴたりと当てはまらないこともある点が唯一、説明のうえで難ですね。筆者の場合は、酸っぱそうな和え物であればmarinade(マリネ)と言ってみたりして、毎度うまく逃げているような状態です…。

・Items for main dish are mainly Japanese food, but sometimes Chinese ones, Western ones are available such as MaBoDouFu and hamburg steak. 
(基本的に主菜は日本食ですが、ときどき中華料理や西洋料理だってあります。マーボー豆腐やハンバーグなんかがそうですね。)
・When it comes to Tempura Teishoku and Sashimi Teishoku, prices are higher than others.
(天ぷらや刺身の定食となると、ほかの定食メニューよりは値段が高くなります。)
・Simmered vegetables are quite popular for side dish.
(野菜の煮物は副菜として定番になっています。)
・This is what we call “natto”, fermented soy beans. If you don’t want to try, I’ll ask a waiter to change for other items.
(これがいわゆる”納豆”なんですが、もし嫌だと言うことなら何かほかのものに換えてもらえるよう店員さんに頼んでみますよ。)
・Spices are not given personally. Check the tray for pepper.
(スパイス類は個別に渡してもらえません。胡椒ならトレイを見てみてください。)
・Soy sauce bottle is for everyone’s use. Please don’t forget to put it back on the tray after use.
(しょうゆ差しはみなで使うものなので、使い終わったら元に戻しておいてください。)

 いかがでしたでしょうか。我々の生活の一部になっている「定食」ですが、実は外国人、そのなかでも特に西洋人にとってはなじみがない食事スタイルなんです。こうしてあらためて説明してみると、「定食」のすばらしいところに気づくでしょう。「定食」で有名な大戸屋チェーンも、アジアを中心に出店しています。国外でも「定食」ファンが増えることを願ってやみません。

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