モハメド・アリの「職業病」パーキンソン病との闘い

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6月に死去したプロボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ(本名カシアス・クレイ)さんは、30年以上にわたりパーキンソン病を患っていました。主に遺伝子によると言われるパーキンソン病ですが、プロボクサーであることも要因だったという記事を英語で読んでみましょう。
(英文は、”Head trauma may have contributed to Ali’s Parkinson’s” USA Today 2016/5/4)

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■パーリンソン病の原因はボクシング!?

Boxing may have contributed to his illness, but genetics was likely a bigger factor, experts said. “It's bad luck on top of genetics,” said Ole Isacson, a professor of neurology at Harvard Medical School who met Ali several times. People who lose consciousness through head trauma are at 50% higher risk of Parkinson's than those who don't, he said.

ボクシングが彼の病気(パーキンソン病)の原因になった可能性があるが、恐らく遺伝的特徴の方が重大な要因だっただろうと専門家は言う。「遺伝の上に不運が重なった」とオーレ・アイザックソン氏は語った。彼はハーバード・メディカル・スクールの神経学の教授であり、何度もアリ氏を診察したことがある。彼はまた、頭部骨損傷によって意識を失うと、パーキンソン病の発症リスクはその経験がない人よりも50%高まるとも言った。

contribute:〜の原因となる
(例)A shortfall of oil is contributing to the tight electricity situation.
  石油の不足が電力事情ひっ迫の原因になっている。
 通常は「〜に寄与する」ですが、記事ではボクシングもアリ氏のパーキンソン病発症の原因となった可能性が高いと言う意味でcontributeを使っています。
 また、ここのmayは「〜の可能性がある」の使い方です。
genetics:遺伝的特徴
likely:多分、恐らく
on top of:〜に加えて
neurology:神経学
lose consciousness:意識を失う
trauma:(身体的な)外傷
 ここでは心理的な「トラウマ」とは違う意味です。
head trauma:頭蓋骨損傷、頭部外傷
Parkinson’s:パーキンソン病(Parkinson’s disease)

パーキンソン病は、アルツハイマー病と並んで頻度の高い、進行性の神経変性疾患と考えられて、日本では難病(特定疾患)に指定されています。40歳以上の中高年の発症が多く、特に65歳以上の割合が高いのが特徴です。

症状には、安静にしているときにふるえが起こる、動作の開始が困難になったり動作が全体に緩慢で小さくなる、力を抜いた状態で関節を動かした時に抵抗がみられる、バランスを崩しそうになった時に倒れないようにする反射が弱くなる、などの特徴があります。

アリ氏は引退後にパーキンソン病にかかり、死ぬまで長い闘病生活を続けました。1996年のアトランタオリンピックの開会式で、病気のため震える手で聖火の点火用のトーチに火を点けた姿に、世界中の人々が彼の病気を知りました。

■もし、アリがボクサーとして戦い続けていたら!?

Ali was diagnosed in 1984, three years after he retired, but his neurological problems were evident in his later fights. In some ways it was good that Ali was forced to retire early. If he'd continued to fight, he might have done more damage to his brain.
アリ氏は現役を引退した3年後の1984年にパーキンソン病と診断されたが、彼に神経の問題があることは、晩年の試合にはっきり表れていた。いろいろな意味で、アリが早い時期に引退を余儀なくされたのは良いことだった。もし彼がボクサーとして戦い続けていたら、彼は脳をもっとひどく傷めていただろう。

diagnose:〜と診断する
「診断、診断結果」はdiagnosis
neurological:神経学的な、神経学に関する
evicent:明白な
later:より最近の→ここでは、引退が近づいた時期(晩年)という意味
in some ways:ある意味では、いろいろな意味で
force:(〜すること)を余儀なくさせる
do damage to:~を傷める

アリ氏がパーキンソン病を患ったのは偶然ではなく、試合で何度も脳しんとうを経験するボクサーとしての経験によるものが大きいと見る専門家は少なくありません。こうした脳の損傷は「パンチドランク症候群」と言われることがあります。

打撃を繰り返し受けると脳の神経細胞が変質するため、ボクシングとパーキンソン病との間には極めて強い関連があるとの見解も出ています。特にアリ氏は、スパーリングのパートナーに対して「頭をめがけてパンチを打て」と指示していたこともあり、そうした練習がパーキンソン病を誘発した可能性は大きいと指摘されています。

■パーキンソン病研究を支援したアリ

In some patients, events like head trauma or medications can “unmask” disease that's still in its earliest stage, said Michael Okun, national medical director of the National Parkinson's Foundation, which focuses on ways to help patients cope with their disease. 
患者によっては、頭部外傷や投薬治療といったことがきっかけで、まだ初期段階にある病気がはっきりと病状を現すことがあると、マイケル・オークン氏は語る。彼はパーキンソン病の患者の闘病支援の方法に特化した全米パーキンソン財団の全国責任者だ。

patient:患者
medication:投薬(薬物)治療
unmask:~の正体(実際の姿)をあばく
un-(反対の)+ mask(マスク)=「マスクを外す」
medical director:院長
National Parkinson’s Foundation:全米パーキンソン財団

ボクシングは、相手の頭を力いっぱい殴るということが認められているスポーツで、アマチュアボクシングでは危険防止のためにヘッドギアを着用しています。プロ、アマを問わずボクシングは禁止すべきだという議論もずっと以前からありますが、パーキンソン病を発症したボクサーであるアリ氏は、この病気の研究を支援してきました。

Ali was also an active fundraiser for Parkinson's, particularly supporting the Muhammad Ali Parkinson Center at the Barrow Neurological Institute in Phoenix.
アリ氏はパーキンソン病研究のための資金調達に積極的に貢献していた。中でも(アリゾナ州)フェニックス市にあるバロー神経研究所にモハメド・アリ・パーキンソンセンターを大きな役割を果たしている。

focus on:~に重点を置く(重点的に取り組む)
fundraiser:資金調達の担当者
Barrow Neurological Institute:バロー神経研究所

アリ氏はアメリカ議会の公聴会で、パーキンソン病について証言し、社会がこの病気にもっと関心を持つように訴えたことがあります。動かない体で精一杯訴える彼の闘う姿は、現役時代と変わらない感銘を与えたのでした。

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